第8話 魔石
冒険者ギルドに入り、受付カウンターに向かい、そこにいた受付嬢に声をかける。
「すみません、聞きたいことがあるんですか……。」
「はい、どうされま――――あれ、ヤマトさんじゃないですか。」
おろ、俺の事を知ってるのか?と思ってよく見ると、オルガさんだった。
「オルガさん、無事こっちのギルドに移籍できたんですね。」
「その節はお世話になりました。一応仮移籍扱いになってます。ちゃんと移籍したら向こうに情報がいっちゃいますから。それで、何を聞きたいんですか?」
「受付がオルガさんでよかったです。話が早くなりそうなんで。鉄道を作るのに魔石が欲しいんですが、購入できますか?」
「ああ、なるほど。まず、冒険者が魔石を購入することはあまり有りません。そして冒険者ギルドでは、そんなに魔石を置いてませんね。主に商業ギルドに卸しています。」
「鉄道製造として俺に卸せませんか?」
オルガさんは難しい顔をした。
「私の方じゃなんとも……。上の方の人に頼んでください――――って、ギルマスに頼んだら二つ返事で許可が降りますよ。」
「せやな。ギルマスにとっちゃ俺の方がコネになるからなー。」
伊達にアダマンタイト級に昇格が決まってるだけないからな。それに昨日は恩を売りそびれてたし。
「とりあえず、ギルマスに聞いてみるね。で、ギルマスは?」
「はい、呼んできますね。たぶん応接室に行くことになるので、あとでお連れしますね。」
そう言って、オルガさんはギルマスを呼びに行った。
応接室に行ってしばらくするとギルマスが慌てて来た。
「はぁ、はぁ、ヤマト殿、お待たせしたっ。」
息を切らせながら、応接室のソファに座る。
「いや、そこまで急いでませんよ。お茶をどうぞ。」
職員さんが淹れてくれたお茶を飲んでもらうため勧める。
「おお、すまん。」
そう言いつつお茶をすするギルマス。
「ふー、さて、なんのようだ?」
「ああ、魔石を売ってくれないか?」
「魔石?いくらでも採れるだろう、あなたなら。」
確かに冒険者なら自力で採れるだろう。だけど……。
「ちょっと時間が足らないかな。今はルナもリーフも街での一般常識を学んでいるところだから狩りに行けないしな。」
「そうか……、なら必要なだけ持っていくがいい。」
お、太っ腹。……と言うより、恩を売っておきたいだけか。ま、直近は明後日使う分だし、いいかな。
「じゃ、遠慮なく。じゃあ魔石を見せてくれ。」
「ああ、エリーシャ、持ってきてくれ。」
「いいんですか?ギルドマスター。」
疑問をぶつける職員さん。
「構わん。彼はミスリル級冒険者だ。それにまもなくアダマンタイト級に昇格する事になってる。」
「えっ、ミスリル級?アダマンタイト級に昇格?」
目が点になる職員さん。
「なんかそんなことになっちゃって。すみません。」
「いえいえいえ、ヤマトさんは悪くないです。昇格をさせたギルマスが悪いんです。ギルマスに勝手に上げさせられたんでしょ。」
ジト目でギルマスを見る職員さん。
「で、元々どの級だったの?」
「あー、木級でした。でもギルドの内規で昇格らしいですよ?」
俺の台詞にギルマスもうなずき、
「内規の昇格、アダマンタイト級の項だ。『国に匹敵するような実力、または国が敵対することを諦める実績』に当たる。こいつは召喚術師で、ピクシーの一団を召喚できる。あとフェンリルだな。」
「……確かにアダマンタイトですね。」
「実績……というかまだ依頼を完遂してないんでまだ昇格はできんのだが、すでに見込みはついとるんで、俺の一存でミスリルまで上げた。」
「実績がない、ですか?」
ギルマスは頷く。
「ああ、諸事情で依頼完遂できてないだけだ。内容は機密だからエリーシャ、君にも言えん。」
「そうですか、わかりました。では魔石を持ってきます。」
そう言って職員さんは赤い髪をなびかせ、魔石を取りに行った。
「お持ちいたしました。」
「うむ。」
応接室に魔石が何種類か持ち込まれる。
「これが魔石だ。小さいのはゴブリン、大きいのはオークやトロールの魔石になる。」
「じゃあ、研究のためにいくつか貰っていいか?」
「例の事業関係か?なら問題ない。持っていってくれ。」
例の事業――――鉄道建設の事だ。今回ので複数の魔道具に通信できる魔道具を作れれば今回も役に立つはず。試験にちょうどいいし。
「じゃ、遠慮なく。」
そう言って魔石を一杯貰っていった。




