第26話 状況説明
食後、全員に事情を説明する。
「今日、俺は仕事を受けたんだ。内容は盗賊退治。場所はここから半日ほど行った場所にある村だったんだが……。」
「多くて手におえないとか?」
ウリアさんが聞く。
「いや、そっちは問題なかった。」
「あ、そうなんだ。」
「じゃあ、依頼は終わったんですか?」
続いて、オルガさんが聞いてくる。
「終わったことは終わったんだが……、とんでもないことがわかってなぁ。」
「「「「とんでもないこと?」」」」
この時点で全く関係ないリンちゃん以外の声が揃う。
「ああ、実は――――――――盗賊団と領主、そして冒険者ギルドのギルマスが裏で繋がっていた。」
「「「「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
まだ直接関係ないリンちゃん以外、全員声を揃えて叫んだ。
「お客様どうなされました?」
店員さんが慌てた様子で扉を開けて入ってきた。
「ええ、ちょっとサプライズが効きすぎで、みんな叫んじゃっただけです。ご迷惑をお掛けしました。」
想定していたので、頭を下げて謝罪する。
「あーそうだったんですか。それではごゆっくり。」
店員さんは頭を下げて部屋を出ていく。出ていったのを確認してから。
「さて、とんでもない事態になったんだが、状況説明と問題点を言うぞ。」
直接関係ないリンちゃん以外が頷く。リンちゃんちょっと待ってな、すぐ関係ある話になるから。
「まず一つ目、依頼主である冒険者ギルドのギルマスと討伐相手の盗賊団が繋がっていた。依頼自体は完遂済み。盗賊団は全員確保している。問題点は、このままこの町の冒険者ギルドに達成報告をすると、握りつぶされる可能性が非常に大きい。」
「冒険者ギルドとしては、まだ、達成報告を受けていません。」
「なるほど、もし達成報告をするとどうなる?」
ウリアさんからの指摘に、オルガさんが答える。
「そうですね。通常ならギルドや衛兵の牢屋に入れて、処罰ですね。」
「おそらく、逃がしてもう一度盗賊団をさせるか、口封じだな。口封じの対象に俺も入っているだろうが、ギルドからはそういうことはしないと予想される。理由は高ランクの冒険者だと思われてるからだ。」
「何故?」
この辺りの事情を知らないリンちゃんが聞いてくる。
「ああ、それは、一応ギルマスは俺のことを『いきなり高ランクになったため冒険者証の発行に手間取っている間の休暇で王都から来た冒険者』というふうに思っているから、いなくなると王都の冒険者ギルドから調査員が来ることになる。それを恐れているから、口封じを出来ない。というか、既に口封じのため、盗賊団に情報を流しているだろうから、これ以上の手駒がないと想像されるからな。」
「そう。」
「二つ目の問題点は、領主も繋がっていたということだ。」
「問題?」
リンちゃんはこれが大問題だと気付いていないみたいだ。
「ああ、この場合、ギルマスの不正を領主に訴えることが出来ない。なぜなら、裏で繋がっているからだ。すなわち、この町で事件を解決することが出来ないということ。」
リンちゃんはやっぱりわからないようで、頭にハテナを浮かべているようだ。
「簡単に言えば、王都まで行って解決してもらうと言うこと。なので、明日、王都に向かう。」
「だから我々『青薔薇』もここに呼ばれたのだな。」
「ああ、皆さんには王都までの道案内を頼みたい。そして、オルガさんには、証言者として一緒に行ってもらいたい。」
「オレは?」
「シンプルに付いてくるか、それとも、ここで待っていて、冒険者ギルドや領主の様子を確認するか……、どっちが良い?」
「行く。」
「そうか。じゃあ、来てくれ。」
「ん。」
「そういえば、今更なんだが証拠ってあるのか?」
「ああ、言ってなかったな。盗賊団の首領を捕らえてる。」
ウリアさんの質問に答える。
「「「「……。」」」」
直接関係ないリンちゃん以外黙る。
「とりあえず確認させてくれないか?」
「おう。」
「盗賊団を全滅させて、アジトで証拠となる物を見つけたと言うことで良い?」
「んー、正確に言うなら、全員捕まえて言うことを聞かせている。で、王都の冒険者ギルドで告発するために証拠と共に町の外にいさせている。」
「おい、それは逃げられるんじゃないか?」
「それは大丈夫。盗賊団を捕まえたときに召喚した子に見張らせているから。」
あー、やっぱりチートだなあって目で見られる。
「で、あんた何召喚したん?」
「ああ、ピクシーとアルラウネだな。偵察要員と捕縛要員。」
「ほー、なるほどなぁ。ピクシーなら姿を隠せるし、アルラウネなら蔦で捕縛できるなぁ。」
「そうそう、で、今町の外で監視してもらってる。まぁ逃げ出したとしてもルナがいるから簡単に捕まえれるよ。」
フェンリルがいるからなあ。大抵の事はなんとかなる。
「で、俺はこの後、町を出て首領たちと合流。オルガさんは休みを取ってリンちゃん、青薔薇の皆さんと明朝出発。町の外で合流という流れの予定。質問は?」
「そうだね、私たちは予定を1日前倒しにするだけだから問題はない。」
青薔薇の皆さんも頷く。
「準備しとく。」
リンちゃんも問題ないみたいだ。
「私は急に休む理由を用意しないといけませんね。」
確かに、オルガさんが王都に行く理由がない。
「そうだなぁ……、例えば、証人として行ってもらう形はどう?」
「証人?」
「例えば、俺とリンちゃんが結婚することになったので、王都の冒険者ギルドにその旨を伝えて、冒険者証をこっちに持ってきてもらうために、オルガさんに行ってもらうとかは?」
「オレと結婚してくれるか!」
「例えばって言っただろ。それで、俺が依頼を受けてしまったので行けなくなって代理で妻になるリンちゃんと一緒にこの町にいた青薔薇の皆さんを護衛として王都に行ってもらう体で行くのはどう?」
「なるほど、それだと王都に行く理由になるね。」
「しかも、女だらけで行くさかい、男はついていきにくい。」
「私も、休暇ではなく出張扱いになりますね。」
「じゃあ、さっき冒険者ギルドに行ったことは、この件を処理してもらうためにということで説明できるね。ここにみんなを集めたのは、リンちゃんとの顔合わせで。」
全員頷く。この場は解散し、翌日に備えた。




