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不安

エルミナ視点です。

「エルミナ?どうした、大丈夫か」


名前を呼ばれて見上げると、ルディがいつの間にか目の前に来ていて、俯く私を覗き込んでいた。


「あ、あの…」

「もう部屋に戻ろう。送る」


短くそう言うと、周りを確認するように視線を巡らす。


「え…戻るの?いいの?」


ミリーゼたちも心配そうにまだ帰らないでくれている。


(大事な出会いの場、ルディはいいの?)


口には出せない不安が積もっていく。


「俺はお前を送るために残ってただけだから。でもこれ以上はダメだ。寮長、エルミナもらってくけどいいか?」

「は、はい。どうぞ!!」

「行こう」



そして私の手を握って、ぐんぐん出口に向かって歩いていく。


(は…速いっ)


足がもたつく。

目の前で談笑している男子生徒たちがいる。避けられないかもしれない。

ぶつかるのを覚悟で、心の中で先に謝る。

その時、ぐっと強い力で手を引かれた。腰にはルディの手が添えられている。


(!!)


力尽くで進行方向を変えられたのだとわかった。

男子生徒とはぶつからずにすんだが、強い力と速いスピードに翻弄されている。




この力強さが、すごく好きだった。

まっすぐ、迷わず、私を一人ぼっちの世界から連れ出してくれた――とても元気な男の子。

(好き、好き…大好き)




ホールを抜けたルディが一息ついて、私の顔を見て…驚いた表情をした。

そして目を閉じて、「悪かった」と一言謝って――



そのあと私たちは何も話すことなく、女子寮の前…さっき再会したあの場所で別れた。


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