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パーティーホールへ

ルディウス視点です。

ホールへの道のりを並んで歩きながら、楽しそうなエルミナを見る。


本当に綺麗だ…

いや、小さい頃から可愛かったし、言ってしまえばそのまま成長しただけでつくりなんかは会っていなかったのにすぐに認識できるほど変わってはいない。

だけど目が離せない。

艶っぽいっていうか…すごくいい匂いもするし…

抱きしめたら俺の中に収まってしまうぐらいのサイズ感なのも、すごくいい。


「ねぇ」


ふいにエルミナが振り向いたので、慌てて目を逸らす。

完全に見すぎてた。危ない。俺は変態じゃない。


「ルディ、すっごく背高くなったね!それに声も全然違ってびっくりしちゃった。でも私、すぐにルディだってわかったよ」


へへ、と照れくさそうに笑う彼女が可愛い。俺のほうが先に見つけてたけど。


「…前の方がよかった?」


自分でいうのもなんだが、俺はガキの頃とは違う。

前よりいい男になってる…はずだ。


「前も好きだけど、今はもっと素敵!」


そう言われて思わず掌を握り込む。

部屋に一人だったら全身でガッツポーズをしているところだ。


(頑張ってきてよかった…!!)


エルミナとの婚約が決まってから、俺は生活を改めた。

元々侯爵家の生まれで、両親も美形なのを受け継ぎ、素材自体は悪くないと思う。

それでもいつどこに出ても恥ずかしくないよう、身なりを整えるようにした。

エルミナと並んだ時、劣らずにいれるよう――エルミナにかっこいい男だと思われたくて、体も鍛えてる。

頼りになると思われたくて、いつも紳士な対応を心がけている。


エルミナの家――クライン侯爵家にとって手放したくない優良物件であるよう、勉学や交友関係にも手を抜いていない。


俺の婚約してからの7年はエルミナと結婚する――それだけにすべてを注いできた。

あとは…エルミナが俺を好きになってくれたらいい。好きになってもらいたい。


「あ…すごい…」


エルミナがホールの前で立ち止まる。


「どうした?」


エルミナを見ると、自分の両手を胸の前で握り込み、少し不安そうに瞳が揺れている。


「すごい大きなホールなのね。それに人もこんなにたくさん…ちょっと緊張してきちゃった」


それはそうだろう。このホールは学院内で一番広い場所だ。

それでなくても彼女がこんなにたくさんの人の輪の中に入るのは、もしかしたら初めてかもしれない。


エルミナの前へ出て、振り返る。

俺はホールを背に、エルミナに向き合った。手を差し出す。


「みんな同じ年の、これから一緒に過ごす友人たちだ。何も怖いことはない。大丈夫だ」


そしてエルミナが俺の手にそっと手を乗せる。

その指をきゅっと握って、俺たちはホールへ足を踏み入れた。

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