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再会

ルディウス視点です。

エルミナは今、女子寮の自分の部屋にいるはずだ。

そして俺は男子が入れるギリギリの場所でエルミナが支度を終えて出てくるのをただひたすら待っている。


約束はしていない。

そもそもエルミナは俺の存在にまだ気付いていないだろう。


しかしこの場所は非常に気まずい。

通りかかる女子が俺をチラ見していく。

紳士の行動ではないことはわかっている。一歩間違えば通報されかねない。

それでも、エルミナに会いたかった。



遠く、ドアが開く。

目が合うような距離ではない。

でも俺にはわかる。

柔らかそうなプラチナブロンドが光を反射して、まるで彼女のためだけに光が集められたようだ。



パーティーといってもこの学院で着飾るパーティーは卒業パーティーのみだ。

今日は各々、私服で参加するゆるい催し。


(あれがエルミナの私服姿――)


エルミナは深い緑色のワンピースを着ていた。

露出が多いわけではないのに胸元が美しくカットされたデザインで、自然と肌に目がいってしまう。

すらっとした手足――ずいぶん背が伸びた。

白い肌、細い腰――ちゃんと食べているんだろうか。


そして俺を見つめる、パッチリとした大きな瞳。

海のような深い青が驚きで少し見開かれる。


「エルミナ…」


緊張で声がかすれた。

会いたかった。すごく会いたかったんだ。


「ルディ…?嬉しい!こんなに早く会えた!」


そう言って駆け寄ってきては、ぴょんぴょんと俺の腕につかまってくる。

可愛すぎる。死ぬかもしれない。


「お前…どうしてここに?体は?もういいのか?」


他にもいろいろ話したいことはたくさんあったが、まずはこれが聞きたかった。


「うん。全然平気!もうずいぶん風邪も引いてないの。約束したものね」


そういう彼女の頬は血色がよく、唇もぷるんとツヤツヤしている。

元気なのは本当のようだ。


「そうか…」

「ずっと家で家庭教師の先生に教わっていたんだけれど、どうしても学校に通ってみたくて。お父様とお母様にお願いしたの。一年だけ、だけど」


エルミナは少し寂しそうに笑った。両親の説得に苦労したのかもしれない。


「私、今すごく楽しみなの!ふふ、クラスメイト!よろしくね」

「あぁ。何かあれば俺を頼っていい…じゃあ、行くぞ」


そうしてエルミナの手をそっと引く。

壊れないように、傷付けないように、そっと。


「どこに行くの?」

「入学の式典が終わった後は、歓迎パーティーだ。ホールでやるから。連れて行く」


エスコート…エスコートだ。

俺は、紳士だから。


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