巡り19
スウリと再び会い、話を聞いたスウリは信じられないと言いたげに父様に噛み付いていた。
「全員連れてヒサキと街に連れてってやれ!って本気なの!?責任もてないわよ私!」
“私を説得してこいとお前が送り出すからこうなった。”
うんざりそうに父様がそれだけ言うとハルワがことの次第を説明してくれた。
“籠から出ない。籠の中では喋らない。何か危険があればすぐ帰る。危険がなくても帰れと言われたら帰ることが条件だ。”
特に雌仔竜達に聞こえるように父様が睨んでいた。
“何かあれはヒサキと私の間で意識共有してるようにしておくから、すぐヒサキに知らせるし、ヒサキに言ってね。”
とハルワは行くと決まればノリノリで事の成り行きを楽しんでいた。
スウリが籠をとってくると、雌仔竜達は一応おとなしくしていたが、キャッキャッと騒ぎだしたため、更に父様の顔が険しくなった。
一緒に行くムラサキも不安でしかないが、雌仔竜達とともにいる方が自分の感度が上がっている気がするので、一人でついていくよりも、楽しみでもある。
雌仔竜達はヒサキにも家の中にいるスウリの母様にも警戒心があるようで、やはり、スウリは特殊なのだなと感じる。




