別れ5
しかしトウラスが言い返す。
「ですが、たとえ絆の相手がいるフェニックスでも、守護獣が他国の守護獣を襲うのをあまり守護獣の王達が良しとしないため、戦争では乗ったり、飛んだりという手伝いはしても基本は人対人の戦いをしています。守護獣の王である王竜をフェニックスが襲うことは無いのでは?」
「『あまり』であろう?国への忠義に厚い者を煽動し、その絆の相手を使って実際他国の守護獣の王を仔の時点で襲った過去がフェニックスにはある。」
「その時その仔はどうなったのですか?」
「その時はあわやというところで逃したと言う言い伝えだ。」
「では…」
「あぁ相手がフェニサス国の可能性があるだけにこのままここに仔竜を置いて置くのは危険だ。赤毛達は明日もう一度森に入ろうとしている。今夜にでも闇に乗じて移動すべきだ。」
「ウール様、チッタに伝言を。仔竜は移動に耐えられそうかも聴いてください。」
「わかった。」
「トウラス、伝書バトを。王都に近い棲家のウルル伯爵様に。いつでも受け入れてくださるようにはしてくれているはずだ。」
「わかりました。」
「チッタからだ。数回地上への休憩を入れて様子を見ながらになるが、棲家への移動了解したとのことだ。しかしまだ飛べないから、二匹ずつ背にしがみつかせることになる。親は攻撃があっても避けることしかできぬ。三匹すべての竜の護衛を願うとのことだが良いか?」
「了解です。しかし、サマルは赤毛の後を追わせます。どこへ報告に行くか確認せねば。」
「そうだな。チッタが仔竜2頭乗せれば私はチッタとともには動けん。サマルの補佐に回る。」
「竜騎士をお辞めになってるのにありがとうございます。」
そうと決まればと、慌ただしく、男達はテントの片付けや荷まとめなど各自分かれていった。




