仔竜2
王は、ウールの挨拶も早々に切り上げさせ、紫竜について興奮気味に尋ねた。
「宰相から聴いたが、竜王、紫の竜が生まれたというのは真か?」
「はい、我が絆の相手の子として。
この竜は伯爵直轄領の棲家にて生まれたわけではないのですが、親の竜達が他の竜と共同して、竜王を護りたい為、竜の棲家に仔竜達がうつれるようになり次第、移りたいとのことです。ですので、紫竜の今後について、王様にお力添えいただきたく、急ぎ馳せ参じました。」
「それはもちろんだ、我が国を守護する竜王を護るのは王家の務め。
して、具体的には?
宰相からも聴いておるが、どうしても棲家にてではないと駄目であろうか?王宮内の竜舎の方が更に手厚い支援ができると思うのだが…」
「竜の機嫌を損ねぬのが一番肝要かと。」
「はぁ…そうか…そうだな。だが…せっかくお生まれになったのだ、私からも直接挨拶させていただきたいが、無理だろうか?」
「それは竜王の成長次第かと…今は紫竜が小さい為親の竜は過敏に警戒しておりますが、いずれは紫竜が竜王ですから、自ら決めるようになっていくのでは?そのときに再び、今度は竜王自身と会う段取りをつける方がよろしいと思います。」
「竜とは何年成長に刻を費やすのかのぉ?私はそれまで生きているか…」
高齢になってきた王は気にしだした。
「王様は若い頃から規則正しい生活をされています。しっかり紫竜の成長を待てますよ。」
やり手の宰相がフォローをいれる。
「とりあえず、棲家は王宮に一番近いウルル伯爵領でいこう。ウルルには早馬ならぬ竜騎士団に届けてもらえるよう私から出しておく。他の伯爵と大臣たちにも明朝伝えよう。棲家にうつれるまでの護りも、竜騎士団員3名を連れて帰ってくれ。選抜に希望はあるか?そなたがいた時の竜騎士団員達が良ければ信頼関係がある方が良い。希望を叶えよう。」
「ありがとうございます。」
話の早い王と宰相で助かった。とウールは思った。
準備が調うまで、ウールは王宮の一室に留まるように宰相に言われたが、竜騎士時代の知り合いの家に泊まれるように待っている間に段取りをつけてしまったため、丁重に断った。




