運命1
チッタが連れてきてくれた先には黄緑色の竜が座っていた。
地上に降り立ち、チッタが近づくと、場所を代わるかのようにその竜も立った。その大きな躰の下からは、4つの卵が顔を出した。
スウリは驚きながら、歓喜の声を上げた!
「チッタ、チッタお父さんになるの!?
いつの間に番を見つけてたの!?
男同士の秘密つてこれ!?
話して欲しかったわ!
はじめまして、黄緑色の竜さん。私の名前はスウリ。よろしくね。」
“はじめまして。スウリ。私はミツハリよ。
チッタから話をたくさん聞いていて、私は早くあなたに逢いたかったわ。この卵から仔竜が生まれるのと同じくらいに。”
ミツハリはとても落ち着きのある竜らしい。
チッタもあまり騒ぐ竜ではないから似たもの夫婦らしい。
“ミツハリ、夕方には生まれるかと思ったが、まだだったか”
“ええ。でも、見て、昼よりも更にヒビが大きくなってきたわ。”
“確かに。もう少しだな。温めるのを代わろう。食事に行ってくれ。”
“ありがとう。食べたらすぐに帰ってくるわ。”
チッタとミツハリ、会話のわからない人から見れば、グルグルとうなりあってるだけにきこえるが、スウリにはとても思いやり深い会話が聞こえるので、自然と笑顔がでる。
絆を結んだ竜の番を見られることは無いから、チッタのお嫁さんをまさか見ることができるとは思ってなかったから、とても嬉しいわ。
父のウールもチッタの言葉しかわからないが雰囲気で察しているのか、同じような心地らしい。




