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Various World Online  作者: 束白心吏
第二章第一節 ディオニュソスの獣
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第九十三話 その真意、神(運営)のみぞ知る

「おいガキぃ………無視するのもほどほどにしろや」


 えぇ………俺、喧嘩とか苦手なんですけど?

 指をポキポキ鳴らして絡んできた冒険者………というか荒くれ者? は、ニヤニヤと見たくない笑みを浮かべている。


「………ピクシーさん。放置という方法とて俺はあると思うんですよ」

『ショウさん。一応私今エルフなんです。パラスでお願いできますかね?』


 ………えー、説明とかしてるので別にピクシーさんで良くないですか?

 それにエルフって作品によっては森妖精とも訳されてますし、ピクシー呼びは別にOKだと思うんですよ。


『ちょっとショウさーん? 心の声漏れてますよー。そして名前で呼びましょうよー』

「それじゃあパラスさんで」

『それでいいのです』


 というかやはりアテナ様に殺されるのではないですかね?


「おい、オレ様を無視してんじゃねえよ!」


 ──あ、忘れてました。

 そして俺の目の前に『SQ【Deianira】START』の文字。


「おい外に出ろ! 上下関係ってのを教えてやるよ!」


 そう言って、荒くれ者さんは外に出ていく。

 ………まあ、肩慣らしと考えればいいですかね。


『それじゃあ、頑張ってくださいねー』


 ピクシーさんの声援を聞きながら、俺は外に出る。

 ………んー、武器が木刀なのもちょっと心配。


「よく来たな」

「最終的には出てこないと行けないですからねぇ」


 キャンセルも出来なさそうですし。


──特殊条件を承認しました。バトルフィールドを展開します。


 冒険者さんが棍棒を構える。

 俺もそれに倣い、木剣を構える。

 目の前に簡易的なルール説明が流れる。

 どうやら、俺か冒険者さんのHPが二割を切ったら終了で、魔法でも剣技でもなんでも使ってOK。

 まさに、肩慣らしには最適ですね。


「後悔しても知らねえからな?」

「お手柔らかに」


──5、4、3、2、1 BATTLE START!


「死ねや!」


 スタートの合図と共に、冒険者さんが仕掛けてきた。

 一足で近づき、横薙ぎに一閃。

 おお………怖い怖い。

 俺は剣で受け止め、その状態で『スラッシュ』を発動。


「ぐっ、オォ!」


 予想通り、冒険者さんの態勢を崩すことに成功………ですが、俺にも硬直時間。

 ──結局、硬直が解けるのと態勢を整えるのは同時でした。

 再び、剣と棍棒が交わる。

 うおっ………これは負けそう………っ!

 俺は流すようにバックステップで回避して、カウンターの『スラッシュ』を発動させる。

 ………あわよくば当たれと願いながら。


「ははっ! 遅えなあ!」


 屈むように回避して、更に追撃の横薙ぎ。

 うわっ、ヤバい。

 俺は足に魔力を集中させ、右方向への緊急離脱をはかる。

 回避自体は出来ましたが、HPの三割を持っていかれました。

 これで、俺のHPは残り四割。

 相手のHPは六割以上残っているので、完璧に劣勢ですね。


「いいねいいねぇ! さあ、もっとだ!」


 冒険者さんから魔力が吹き上がる。

 そして先ほどよりも俊敏に攻撃を開始する。

 ………え? これヤバくないですか?

 俺はジグザグに回避しながら後方に。


「オラオラァ! 避けてるだけじゃあつまんねえじゃねえか!」


 棍棒を横薙ぎに振るう態勢で突進してくる。

 ──少し、落ち着きましょうか。

 俺は剣を鞘に戻し、抜刀の構えをする。

 そして──


「──」

「ハァ!」


 剣と棍棒が交錯──


「なあっ!?」


 ──せずに、俺の姿がブレる。

 そして霧散して消えていき、冒険者さんの棍棒は地面を深々と抉った。


「──!」

「次、行きますよ」


 俺はつばめ返しの要領で『スラッシュ』の二連続発動を行う。

 まずは横薙ぎに。

 次に袈裟斬りで。

 ちなみに『スラッシュ』のCT(クールタイム)は僅か0.5秒。

 発動から0.5秒でCTが終わるので、少しの隙はできますけど………まあ、なんとかなりましたね。


「勝負あり、ですね」


 二連撃『スラッシュ』の二連擊目──袈裟斬りによる胴体へのダメージで、HP八割まで削れました。

 ………部位によって与えるダメージが変わるのは、変わってないですね。

 それに──


──WINNER! 『ショウ』!


 ──これでクエストはクリアですかね。

 とはいえ、()()()()()()()()()()()()()()

 冒険者さんがむくりと起き上がる。


「カハハ、覚えておけよ………借りは必ず返す!」

「はぁ………」


 借りだと思われたくな………行ってしまいました。

 俺の目の前には『Quest Clear!』の文字。

 ………え? 終わりなんですか? というか馬人だったんですね………気づかなかったです。

 レベルアップのファンファーレを聞きながら、俺は呆然と佇んだ。

 ゲームだからね。神様は運営だよね。

 ……ユーザーは仏様? いいえ信者です。WFに限ってはね。生みの親が断言しているので間違いない。

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