第九十二話 アリよりのアリ
ログインしました。
そしてすぐに先ほどの『笛』の確認。
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銘:???
武器カテゴリー:神楽笛
耐久値:∞
※この武器は『鑑定』がなくても詳細が見れます
※この武器は特殊クエストのキーアイテムです。
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………。
………………。
『ちょ、ショウさん!? それ、捨てられませんから!?』
「え? なんのことですかぁ~?」
ピクシーさん面白いこと言いますねぇ………俺がこんな貴重品、捨てるわけないじゃないですかー。
それにしても、『神楽笛』ときましたか。一応舞はできますが………う、頭が。
「まあ、まずはクエストを進めましょうか」
『正規版ではギルドという組織がありますから、まずそちらに行きましょう』
ギルドですかー、俺達も作れるんですかね?
俺はフレンドからの恥ずかしいメッセージに返信しながら、ピクシーさんの案内で冒険者ギルドに入る。
中はプレイヤーで………溢れかえっていませんでした。
あれー? シロさんやツキちゃんは行列がウザいとか言っていましたが………。
『今回はワタシの独断で、フレンドさん方の使ってるギルドから少し離れた場所にある、買取専門で営んでいる冒険者ギルドの支店に案内させていただきました』
「へぇ、支店は所々にあるんですか?」
『この街には『依頼斡旋専門』の冒険者ギルドが四店、『依頼斡旋・買取専門』のギルドが三店、そして本店が一店の計八店あります』
「………まず、そういう専用のギルドの支店があることに驚きを隠せないです」
『ちなみにこういう情報は現地の方から教えられるのですが………』
「それじゃあ、これからはそういうのはナシということで」
『了解しました』
ちなみに『斡旋・買取専門』と本店の違いは酒場があるかないからしいです。
そしてそこまで大きくないらしいです。
──それにしても誰もいないと特別感ありますね。
なんかクエスト受けてるみたいで………。
『………あのー』
「? なんですかピクシーさん」
『言いづらいのですが………』
? きちんと言葉にしないと、わかりませんよ?
俺は読心術とかできませんから。
とはいえ、それだけ言いにくいことなのでしょう。
『このマップ………インスタンスになってます』
「………へ?」
………嘘ですよね?
ピクシーさんは頬をかきながら、視線をそらす。
というかインスタンスということは──後ろから衝撃。
「おうおうすまねぇな。見えなかった」
ギャハハハ! と、大男とその腰巾着が笑う。
………治安、そんな悪くていいんですかねぇ。
「すいません。すぐ退くので」
「ああ! ところで何しにきたんだよ!」
「? 冒険者登録ですが?」
また、更に笑う。
「ピクシーさん。登録はどこでやるんですか?」
『受付でやってくれますよ』
それじゃあ、いきましょうか。
シロさん達との約束もありますから、早めに登録しませんと。
「おいおい、無視はねぇだろ」
受付では、一人の女性が読書をしていた。
ふむ、絵になりますね。
「冒険者登録をお願いしてもいいですか?」
「………ええ、行っております。後ろの女性もですか?」
「はい」
「では、こちらの水晶に手を当ててください」
受付嬢は、水色の、占い師とかが持っていそうな水晶を取り出す。
俺が手を当てると、水晶が光だした。
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チュートリアルクエスト
『冒険者の心得』
・ギルドで冒険者として登録しよう CLEAR!
・依頼を受けてみよう NEXT
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ウインドウが開かれ、まだチュートリアルクエストが続いているのを知りました。
そして俺の胸元に、銀色のカードが顕れた。
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冒険者ライセンス
ランクF
NAME ショウ
Lv1
various credit:1500
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「そちらのカードが冒険者になった証です。
ランクは初級であるFからE、D、C、B、Aの順に上がっていきますよ」
説明を聞き、俺はアイテムボックスに入れる。
それを見ていた受付嬢の目が見開かれる。
「………異渡人、ですか」
「俺はその呼び名、好きじゃないですけど、それであってます」
異渡人。
異なる場所から渡ってきた人。
なんだか、俺たちがいてはならないモノ。みたいな感じがするんですよ。
………まあ、俺自身のことは種族的にも『異渡人』と呼んで差し支えないと思いますが。
「手続きは終了です。Fランクの冒険者は討伐依頼が少ないのですが………」
「採集依頼で大丈夫です」
「………では、こちらの依頼はどうでしょうか」
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依頼:フクジュソウ十輪の採集
依頼期間:なし
報酬:十輪で100VC。追加報酬あり
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お、定番の初心者クエですね。
俺はそれに決定し、資料や専用の袋──なんか異世界に迷い混んだような感覚に。
「では、頑張ってくださいね」
俺とピクシーさんは受付嬢さんに礼を言ってギルドを出る。
クエストも更新され『依頼を達成しよう』になっていました。
「おい、そこの柔男──」
「ピクシーさんあんまり喋ってなかったけどいいんですか?」
『はい。できればショウさんのお力で進めていただこうかと思いまして』
なるほど。先ほどの設定? を忠実にしてるんですね。
………ところで、先ほどの声は気のせいですよね? そう処理しますが。
「この後ピクシーさんのお披露目ですか………最初妖精姿で行きます?」
『あ、いいですねそれ! 私もただ紹介されるだけじゃ………とか思っていたので大歓迎です!
………ところでショウさん。後ろ』
ん? ピクシーさんに促され、俺は後ろを振り返る。
そこには──
「おいガキぃ………無視するのもほどほどにしろや」
──顔を真っ赤にした先ほどの冒険者がいました。
どんなクエストのキーアイテムかというと……雅楽の笛の名前にある某空想の生き物関連 (ほぼ答え)。だからまあアリ。無理矢理ですが。
そうかラグ……いつかVR内での挙動について彼らに雑談させたいです。




