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Various World Online  作者: 束白心吏
第二章第一節 ディオニュソスの獣
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第八十九話 チュートリアル リターンズ 『魔法』編

 剣のチュートリアルを終えた俺は、再びもとの空間へと戻ってきた。


『あ、ショウさん。お疲れ様です』

「お疲れ様です。ところで隣の方は?」


 今の景色と合わせると不自然な感じしかしないアバターが手をひらひらと振る。


「ボクはこのゲームの運営………GMってヤツだよ」

「へぇ………まあ、接触してきたということは『WF』では無さそうですね」

「はは、良くわかっていますね」


 けらけらと笑う男………俺よりも狐に向いているであろうGMを、俺は睨む。


「おお怖い。ボクは暴力が嫌いでね」

「そうですか」

「釣れないねえ」


 ………()()()()()ねぇ。

 まあ、その方が俺的には楽なんですけども。


「ボクはキミに面白い話を持ってきたんだよ」

「………」

「まだこの世界………『VWO』は未完成でね」

「………」

「『WF(かれら)』は未完成であることを完成といっているんだ」

「………」

「だから、ボクの手で完成させようと思ってるんだ。なぁに、キミはただ協力してくれるだけでいい」

「………あなたの言う『完成』とは?」

「いい質問だ………やはりボクの目に狂いはなかった!」


 大袈裟な反応を返す彼。

 ミステリアスな雰囲気はどこかに飛んでいきましたねぇ。

 それに、この人は交渉には向かない人種ですね。


「ボクはこの世界を完璧に管理しておきたいんだよ。

 この世界は大半のことをコンピュータに任せていてね。人の手が入ることなんて珍しいが………やはり我々も手を加えたいのだよ!」


 天を仰ぐような動作をしながら、述べる姿………すんません。痛い人にしか見えないです。

 それに、人の手が全域に届かないと判断したのなら、それでいいと思うんですけどね?


「それに神話でだって神様は全能であるべ──」


 ………巫山戯たことのたまいますねぇ。


「すいません。その話の返答はNOとさせていただきます」

「──なんだと?」


 彼が俺を睨み付ける。

 いや、神話で全能はいませんよキリスト教信者さん?


「キミは理解してないようだ………どれだけ偉大な計画かを」

「? 不完全であることの………人の手が加える必要がとこにあるんですかね?」

「あぁ?」


 怖い怖い。

 俺は『WF』の言い分もわかりますからねえ。

 それに人として、この人とは関わりたくないですねえ。


「支配するのはいいですけど、全てを手中には無理ではないですかねぇ?」

「そのためのキミだよ」

「全てを管理とは、全てをリアルタイムで診るということですか」

「ああ。キミ達を使ってね」


 うーん。却下ですねぇ。

 ますますやる気がなくなりました。


「──では、管理してどうするんですかねぇ」

「あぁ?」

「──管理して手を加えて………彼らにも人権はあると思いますがねぇ」

「………貴様、調子に乗ってんじゃねえぞ」


 敬称、変わりましたね。

 とはいえ断ったのは正解でしたね。

 彼はあれです。ほら、理想の高い人………意識高い系? とやらです。

 俺苦手なんですよね。

 それに野心もありそうですし………。


「………まあいいです。俺はその提案には乗れません。チュートリアルに戻してください。

 ………ユーザーに優しいという定評は嘘だったんですかね?」

「………後で後悔するからな」

「俺はこの選択、満足してるんですけどねぇ」


 彼は消えていった。

 ………さて、一波乱ありそうですが………。


──運営より『必要経験値倍加の祝福』が贈られてきました。

──運営より『全ステータス低下の加護』が贈られてきました。

──運営より『スキル使用制限の祝福』が贈られてきました。

──運営より『悪魔の加護』が贈られてきました。


 ………うわー。地味な嫌がらせで。

 俺はログをスクショ。

 そして数枚コピーして俺のスマホやらネットやらに送っておく。


「ピクシーさん」

『はい。録音してありますよー』


 グッジョブです。


■■■■


『──では、チュートリアル『魔法』編を開始致します』


 GMを名乗る変人が去って少しして、チュートリアルが再開された。

 時刻は二十三時四十分。まあまだ時間はありますね。


『まずは魔力操作を習ってもらいます』

「………? 重たいですね」


 β時、あれほど簡単にできた魔力操作が難しくなっていた。


『β時代と難易度は何も変わらないですが………まさか!』


 ピクシーさんが消える。

 ? まあ、微動だにしないわけではないのですが………お、できるようになった。

 そして、ピクシーさんも現れた。

 青い顔をした、ピクシーさんが。


「どうしたんですか?」

『………ショウさんの端末にアバターの行動を大幅に阻害するプログラムが侵入していました』

「ああ、運営からの」


 まあ名前からしてロクでもないモノだと思っていましたが。


『気づいていたんですか?』

「ええ、後で解析しようかと」


 洋士さんと共に。

 ………まあおばあちゃんにはバレないようにしないとヤバいのですが。


『………では、プログラムは別の所に保存しときますね』

「ええ、うまく偽装しておいてください」


 再びピクシーさんが消える。

 ………心なしか、体が軽くなった気分です。


『プログラムの移動完了です!』

「お疲れ様です」


 俺は洋士さんに解析を依頼しておく。

 とはいえ、本来なら送り返すのが礼儀なのかもしれませんが。


『一応、私の瞳から得た映像は記録されてますよ?』

『ナイスです』


 俺はメニューからログを呼び出す。

 過去のログから、運営のいい人………もとい苦労人へと繋がるためのデータを取り出そうとした結果。


──operation error


 操作不能ですって。

 それじゃあ外部から後ほど連絡しますか。

 ………では。


──スキル『魔力操作』を習得しました


「できました」

『では、魔法について説明していきます』


 待ってました。

 実は『妖術』使いたかったんですよねぇ。


「まずは『風魔法』からです」


 ………ですよねー。

 とはいえ、五行の中の『木行』が風に分類されてましたが。


『風の魔法の初級魔法は『風の球(ウインドボール)』です。詠唱は『風魔法』で《風よ集え》。『陰陽師』で《風よ。我が掌に》です』

「掌以外にも出せますか?」

『──出せます。掌の部分を変更することで可能です』


 へぇ………まあやってみましょうか。


「《風よ。我が掌に》」


 俺の掌に、透明な球が出現する。

 ………風が少し吹いていますね。

 ピクシーさんも難なく成功させていますね。


『その他魔法、魔術もやり方は同様です。では、これで魔法チュートリアルを終わりにします』


 AIのその台詞と共に、俺はログアウトする。

 ………さて、運営に報告しましょうか。

 あんまり考えていませんが、この運営さんはちょっとした派閥みたいなのがある──って設定があります。

 まず変態こと『WF』。

 中立派の常識人達。

 そして過激派の少数の変態。

 接触してきたのは過激派さんです。運営視点でちょっとした零れ話ってのも面白そうですね。β分だけ書いてみようかな……。

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