第八十八話 チュートリアル リターンズ 『弓』編?
『これより、武器チュートリアル『弓』を開始──』
突如、音声にノイズ。
空間の一部に穴があき、そこから一つのアバターが降りてくる。
「………また、戻ってきたのか」
『ショウさんのお陰ですね』
降りてきた人物は私に語りかけてくる。
「彼か………不思議な者だ」
同意する。
ショウさん………いえ、『ショウ』というプレイヤーは、NPCを彼と同じ人間のように扱う。
故に、不思議に思う。何故? と。
『どこか、底の無いように思えます』
「やはりね。まあ元気にやれているならいいや。チュートリアルを始めようか………まあ、データを送らせて貰うだけなんだけど」
そう言って、彼はメニューを操作していく。
データが送られてきた。
それは『弓』に関する必要な情報。
そして──
『これは秘密………いえ機密情報のはずです』
「………必要なんだよ。必要なことなんだ」
彼は苦虫を噛み潰したような表情で言う。
ここに彼のプレイヤーがいれば、『折角の美形がもったいない………』と己のことを棚上げして言うことだろう。
「彼──ショウには『協力者』………いや、テスターになってもらう」
『………ショウさんのプレイ時間に支障をきたすようなら、却下しますが?』
「それは彼の判断によるね。そもそも、テスターになればお金は入るしゲーム内よりも時間の流れが遅いからね」
『………私は、交渉に協力しませんからね?』
「それだけ、ご執心ってことかな?」
そう聞かれ、少し動揺してしまう。
どうなのか………己に問う。
………。
『そうです』
「へぇ………」
それは彼にとっても驚きだったようで、興味深そうに見ている。
とはいえすぐに「あー、やめやめ。悪い癖だ」と止めたが。
「とにかく、僕はスカウトを行う。それに口出しは厳禁だ」
『ショウさんは一人の意見には執着しませんよ………』
半ば受けると確信しながらも拒んだ。
彼はにこやかに笑う。
「とても人間味が出てきたね。やはり彼は不思議だ」
『彼じゃなくて『ショウ』さんです』
「そうだね。僕もショウと呼ばせてもらおうかな」
その後、ショウさんが来るまで、沈黙が辺りを支配する。その事に不快感は覚えない。だって、私は人工知能だから。不快だなんて、思わない。そう。人工知能だから………。
チュートリアルをこんなに分割して描く小説、きっとこれくらいですよ。βのやつも含めれば軽く五話以上使ってますからね。




