第八十三話 種族決定と名前
さて、今時刻は二十三時五十分。
正式サービスまで残り時間あとわずかなんですが、嬉しいことにメイキング中は時間加速が六十倍──現実における一秒が、仮想現実では一分になるのだとか。
これはプレイヤーさんが過度に激しい動きをしないから再現できると、チュートリアルAIさんことピクシーさんが言っていました。ちなみに今後さらに速くできるようになるとも。一周回って怖くないですか? ちなみに正式サービスでは現実の四倍の速度で時間が流れるとか。
「──では、待ちに待った『種族ガチャ』を引きますか!」
俺は引き継ぎ要素である『レア種族確定ガチャ』を回す。
出てきたのは──
《妖狐》
──え? 妖の狐? あのいたずら好きな化け狐ですか? まあそれは関係ないかもしれませんね。
実はギリシャ神話で狐が化け物として育てられた話があったような………いたちごっこみたいな話だとしか覚えてないんですけどね。
『え? 普通にレア種族ですね』
いや、声に出さないでピクシーさん。俺だって驚いているんですから。
それにしても………狐ですか。
数秒してガチャ結果が反映されて、俺の腰の当たり………より少し下くらい? にもふもふとした尻尾が一尾。
うーん。まあ九尾がよかったですけど、モフモフしているのでいいでしょう。ちなみに俺の新しいステータスは、AGI高めの紙装甲………つまりはほぼβの時と同じです。
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名前:ショウ
年齢:16(4/21)
種族:妖狐
職業:
Lv1
HP:150/150
MP:150/150
STR:15
VIT:15
INT:15
DEF:10
MIND:10
DEX:20
AGI:50
LUK:15
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この ()内は誕生日ですか。とりあえず自分にあった種族になれたってことで。
次、ピクシーさんですね。
『あ、私は別にレア種族じゃなくていいですよ』
「いえ、チケットあっても無駄ですし………今使いましょうよ」
俺はガチャを回す。
ただこれ、ガチャというより太鼓の○人の携帯ゲーム版とかで見る『おまかせ』のような選択のしかたなので、ガチャなの? って感じはするんですよね。
《アーチエルフ》
エルフ族最古の種族。
………最古ですって、また凄いの来ましたね。
先生どうします? これ、引いて大丈夫でした?
『マジかよ………』
先生、キャラ崩れてます。
でもそれだけ、ヤバいキャラ引いたってことですよね。
………そして、何故《妖狐》にはそんな一言の説明もなかったんですかね。
『………ま、まあこれでいいです。エルフなら弓とか魔法とかでのサポートが全般ですし』
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1/2
名前:(NPC)
年齢:0(8/31)
種族:アーチエルフ
職業:
Lv1
HP:200/200
MP:200/200
STR:20
VIT:20
INT:20
DEF:20
MIND:20
DEX:20
AGI:20
LUK:10
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………うわー、すごい整ったステータス。さすがアーチエルフさんです。
そして謎の数字1/2………スライドしまーす。
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2/2
名前:(NPC)
年齢:4(10/16)
種族:妖精
職業:
Lv1
HP:60/60
MP:600/600
STR:1
VIT:6
INT:60
DEF:1
MIND:12
DEX:9
AGI:9
LUK:2
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極端過ぎませんかね!?
ここまで極端だと謎の納得をしますけど。
「それにしても、なんで二つもステータスが?」
『それは運営の意図的なモノですね。
個人としてのアバターと、サポート妖精──ショウさんならイマ○ンでもわかります?』
「? ジョン・レノンの曲ですか?」
『そっちじゃないです!』
ピクシーさんが快活にツッコミを入れる。
いや、わかりますよグリム○ーツですよね。俺はヴィ○ドロ推しなんですが………それはさておき。
『用は『戦闘力は皆無だけどサポートキャラとして優秀』なキャラですよ』
「なるほど『一撃が二連撃になるあのイ○ジンと似たようなもの』ですか」
『間違ってはいませんが直接的な攻撃はできませんよ?』
「それで名前はどうします?」
『妖精のほうにショウさんが名前をつけてください。エルフのほうは私がつけますよ』
えー、俺ネーミングセンスないですよ? それにピクシーさん呼びは確定ですし。
………ではまず見た目的な所から。
妖精なピクシーさんは流れるような白髪にぱっちりとした翡翠色の瞳をしてます。各パーツはバランス良く取り付けられていて、少し浮世離れした印象を持ちますね。
肌の色は病的なまでに白く、身を包んでいるのがノースリーブで翡翠色のワンピース。似合ってます。
「翡翠にしときます?」
『単純なのもありですし名付けてもらおうとしている側が言うのもあれですけどもう少し捻ってください』
えー………それじゃあピクシーさんという名前から攻めますか。
ピクシーってイングランドとかの伝承に出てくる妖精でしたよね。たしか悪戯好きの妖精パックと何か関係があったような………よし。
「パックにします?」
『誰が日常的に妖精王を困らせてる悪戯好き妖精ですか』
ピクシーさんそれ似合いますよ………結構、悪戯好きじゃないですか。というか天然ですかね?
「それじゃあマリンで」
『誕生石からとりましたね。それじゃあ──エルフは『パラス』で』
早! さすがAI………もしかして決めてました?
それはそれとしてパラスですか………。
「アテナ様に殺されますよ?」
『………その可能性には気づきませんでしたし、あれ、確か事故でしたよね?』
ですよねー。そもそもアテネ様と友達でもないので戦うことも喧嘩することもないでしょうし。
もしかしたら会うこともないですよ。
『それにしても、本当に引き継がなくてよかったんですか?』
「いやぁ………スタートラインくらいは皆さんと一緒がいいですよ」
というかチート並におかしかったですからね。あのステータス。
最初から強くても楽しいかもしれませんが、自分のアバターを育成するのって、途中行き詰まることもありますが何だかんだで楽しいんですよ。
「それじゃあ次行きますか」
『ステータス設定ですね。私の後釜は誰でしょう?』




