第八話 チュートリアル始めます
俺は今日の分の家事や勉強を終わらせ、『VWO』の世界へ。
正確には晴天の草原。『VWOのスタート場面』にいる、のですけど……。
いやぁ、初めてプレイするゲームはきちんと説明書を読んだ方がいいですね。
なんせログインしてチュートリアルをやろうとしたら『スタート場面から、チュートリアルをお選びください』とか書かれているんですよ?
その後スタート場面への行き方が分からず一旦ログアウトして説明書を読んで、再びスタート場面に来たわけですが……あ、そもそもログアウトしたらスタート画面いけるじゃんってなりました。二度手間でした説明書さんすいません。
──ところでこれ『TAP TO START』押せばいいんですかね?
ってところで迷って現在、ゲームを初めて10分くらい経ちました。
でもあれですよね。迷っていても時間は過ぎるだけなんですよね……押すよ。押しますよこの『start』ボタンを!
当たって砕けろと『start』ボタンを押すと、『チュートリアルを開始しますか?』と出てきた。
ああ……俺の数分間って一体なんだったのですかね……。
気をとりなおして『yes』を選択すると、またあの妖精さんが顕れる。
《お久し振り? で~す!》
「数日ぶりです。ピクシーさん」
俺は挨拶を返す。ピクシーさんは《別にさんつけなくっても──》とおっしゃっていますが無理です。逆にそんなことできる輩なんているんですか?
《チュートリアルを受けるんですね?》
「はい、フレンドにやっておいた方がお得。って言われたので」
《そうですか。良いフレンドさんなんですね》
「自慢のフレンドです」
プレイスキルも一流ですからねぇ……俺達は話が脱線を戻すことに。
他人と長時間話すのは苦手ですけど、こう言うネット上でならやり取り可能なんですよねぇ……。
《それではvarious world online βテスト版チュートリアルを始めます。
チュートリアルにも種類があり、一つのチュートリアルにつきかかる時間は大体30分くらいかと思われます》
「先生! 種類は何種類ありますか?」
《ショウ君。良い質問ですね。
チュートリアルは大きく分けて三種類あります。
一つ目が近接戦闘系のチュートリアル。
二つ目は後方戦闘系のチュートリアル。
三つ目が生産系のチュートリアルとなっております》
生産系は一番時間がかかりそうだと思いました。
《あ、チュートリアルでは、もっていないスキルも試せますので》
「先生、全部やります」
俺は即答した。
だって全部試せるんですよ? やらなきゃ損損。でしょ。
《わかりました。ですが、使用できるスキルは最初から自由に設定できるスキルだけですので》
「はい。わかりました」
《それではまず、どのチュートリアルをやるか……やる順番を決めましょう》
「決まっています。『近接』『後方』『生産』の順番で」
俺はさっき話を聞いたときか検討していました。
……本音を言うと、後方戦闘系はあまりやらなそうですけどね。
《わかりました。それではチュートリアル専用のフィールドへ移動しますよ》
ピクシーさんは驚きもせず、事務的に言い、俺は青白い光に包まれフィールド移動をした。
■■■■
移動した先は、道場的な場所だった。
《それでは、『近接系』チュートリアルを始めていきます。──と、言いたいところですが、『ステータス』はもうご覧になりましたか?》
「はい」
ピクシーさんは「よろしい!」と言い、次に進める。
《まあまずは、ご自身で持っている近接系スキルの武器を使いましょう》
「わかりました……最初は『刀』ですね」
俺がそう言うと、何故か『木刀』が目の前に出てきた。
「……あの、なんで木刀?」
《ま、まあ、刀ではありますし、攻撃できますし……》
「……そうですね」
ピクシーさんが少し目をそらしたので、大体の察しはつきました。これはあれなんですね? 運営の悪ふざけなんですね?
ちょっとだけピクシーさんに同情します。
《自分の所持している物は、一部を除いて全部『説明』を見ることができます。メニューから『Item box』を見つけて選択。そのあと『武器』ボックスから『木刀』の細かな説明――ステータスが読めます。実際にやってみて下さい》
俺は言われた通りに『メニュー』を操作する。
そして、『木刀』の説明がこちら。
――――――――――――――――――――
名前:初心者用木刀
武器カテゴリー:刀
耐久:100/100(固定)
効果
攻撃力+5
Lv10まではさらに+5(初心者用装備専用効果)
耐久固定
説明
初心者用の木刀。
一応、切ることもできる。
――――――――――――――――――――
まず運営に言いたいことは一つ。
地味に強くないですか?
《はいご覧になられましたね? このように説明を簡単に見れるのは『初心者装備』のみで、結構特殊なのですがまあ置いといて。
これ以外の武器の名前をご覧になりたいのでしたら『鑑定』スキルを取りましょう。それでは次の──》
「ま、待ってください! 武器にランクとか無いんですか?」
《……良い質問ですね。レア度はこの武器にはありませんが、通常の武器にはあります》
そう言ってピクシーさんは何処かからか剣を取り出す。
なんか何処にでもある「鉄の剣」といった感じの物を。
《この武器はそこら辺の武器屋で売っている武器ですが、ランクはF。最低ランクです。最高ランクはSSSです。まあ、SSSランクは本当にレアですし、βテストでは実装されていないランクなのですが……》
「ありがとうございます」
俺は頭を下げる。
頭を上げると、ピクシーさんの顔が赤くなっていた。
照れてるのかな?
《……説明を続けます。次は装備をしてみましょう。
一度メニュー画面に戻って『Equipment』を選択してください》
俺はメニューと数秒睨めっこをしてなんとか見つけられた。量が多すぎです。
しかし一番上にありました。
《そこを開くと、自身のアバターが装備している防具が分かります。
現在は『初心者用装備 上』と『初心者用装備 下』を装備しています。
ですが、武器は装備していないので、『木刀』を装備してみてください》
自分の身体を見てみると、俺は探検家みたいな装備をしていた。
まあそれはどうでもいいので、俺はピクシーさんの指示どおりに『木刀』を装備してみた。
《それでは、もう一度『status』画面を開いて見てください》
俺はステータスを開く。
少しだけ慣れてきた気がします。
────────────────────
名前:ショウ
Lv1
職業:刀使い
サブ職業1:
ステータス
HP:100
MP:100
力:10(+10)
知力:25
器用:30
敏捷:12
スキル
戦闘
《刀Lv5》《短刀Lv5》《体術Lv3》《隠密Lv1》《索敵Lv1》
生産
《料理Lv5》《裁縫Lv3》《育成Lv2》
その他
《楽器Lv3》《歌Lv3》
称号
────────────────────
ステータスには、『力』のところに(+10)ってなっていますけど……。
《ステータスの『力』の数値の横に(+10)となっていると思います。
この()の中は補正値しか表しません。
()外はなにも装備していない状態のステータスのみが表示されています。
この様なステータスは全プレイヤーにあり、勝手にステータスを見る場合は『鑑定』スキルを使います。まあ『隠蔽』というスキルでステータスの隠蔽ができますし、『偽装』スキルがあるのでしたらステータスの偽装もできますけどね。
次の説明に行きます。
ステータスについてです。
『力』は物理攻撃等。
『知力』は魔法攻撃等。
『器用』は生産等。
『敏捷』は走る速度等。
それらに補正をかけます。
これからBPを差し上げますので、ステータスに割り振ってみてください。
BPはレベルアップ特典またはモンスタードロップで入手できます》
ピクシーさんがそう言うと、視界の隅にアイコンが現れ光りだした。
それを押すと、『BPを使用しますか? yes/no』と出てきた。
俺は『yes』を押しステータスにポイントを割り振ってみた。
今回きたポイントは10だったので、力、器用、敏捷に3。知力に1振った。
魔法は使わなそうなんですけど、『知力』が地味に高いのですが……。
《……なんか、ステータス的にソロプレイですか?》
「はい、大体そうなると思います」
え? VRMMOなのになんでソロなん? という表情をされた。いいじゃないですか。
《……それでは、職業について説明します》
「戦闘チュートリアルはこれが終わったらですか?」
《はい、ですのでよく聞いていてください。
職業は、基本的に戦闘ようのもので『騎士』『魔法師』『神官』等、様々な職業があり、これをセットする事で、様々な補正が掛かります。
ショウさんはもうセットされていますね。β期間中は一日に一回だけ、ステータスと職業を変更できる仕様ですので、是非様々な職業でお遊びください》
へぇ……とても面白そうですねぇ。ついでにテスト感出てきたことに少しだけ感動してます。
さてでは『サブ職業』も決めますか。
職業の説明はその職業の文字列を長押しすれば見られるらしいですね。
「──それじゃあ。副職は『調理師』で」
《はい、セット完了ですね。それでは、お待ちかねの『戦闘チュートリアル』を開始します》