第七十六話 Calamity keraunosu 延命世界と世界終了
いづれ終わりは訪れる
『安らかに眠りなさい──ハーデース』
ヘラ様が新たな神様の名前を出す。
──冥界神ハーデース様ですか………。
ハーデース様は地面からにょきっと出てきた。
いや、どういう出かたしてんですか………。
『お呼びですか? 女帝殿』
『あのバカ夫を冥界に縛りつけておいて。ああもちろん、女に合わせては駄目よ』
『………わかりましたが、時間がかかりますよ?』
『暴走の一つや二つくらいなら、抑えられるわ。ああ、ついでに客として扱いなさい。永遠に』
………そういえばどっかに『ヘラ様は嫉妬深い』とか書いてあったような………実際そういう話もありますしね。
そして『客に扱う』って………冥界閉じ込めろと同義では? いえ、口には出しませんよ? 怖いですし、長生きしたいので。
俺は疑問に思いながらも『万華刀』と『連技の鋭刀』を納める。お疲れ様です。
それに合わせ、俺はメインスキルにある『無属性魔法』を『体術』に変更。
………ん~、達成感がありますねぇ………。
『………』
『あら? どうしたのアナタ?』
『黙れ』
ゼウスが起き上がる。
そして右手に『雷霆』の槍を作り、ヘラ様に突撃する。
『危ない!』
ゼウス様とヘラ様の間に、楯を持った女神様が割って入る。
言わずもかなですね。『アイギスの楯』を持ったアテナ様。
『もう………もうお止め下さいお父様!』
アテナ様はゼウス様の『雷霆』の弾く。
………そういえば『雷霆』は『アイギスの楯』で防ぐ事が出来ると聞きますね。良くゼウス様が娘であるアテナ様に貸し出しているというのも。
それに弾いたのはペルセウスの『メデューサ討伐』伝説があるからですかね? とりあえず最高ですね。
『まだ続けますか?』
『………チッ、もう好きにしろ』
ゼウス様がそう言うと、ハーデース様がゼウス様に触れる。
『では皆さん。ご機嫌よう』
ハーデース様とゼウス様は来た時のように消えていく。
………いや、まあ良いですけどね?
『………ヘルメース』
『はい』
ヘラ様の一声で、他の神様方が仕事をする………女帝の異名は伊達じゃない。
そしてヘルメス様は『死出の旅路の案内者』だから蘇生も可能ってことですか。
俺達は隅の方で合流することに成功した。
「よう、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「お疲れー」
「ん」
「中々良いイベントだったな」
そうですねー。
そんな和気藹々とした雰囲気の中、鈴の鳴るような音が響く。
俺達はそちらを向く。
『いやー、お疲れ様でしたぁ………ヘラ様達もお疲れ様です』
『よい、労いは我らがすべきことよ』
出てきたのはピクシー先生。
そしてヘラ様はピクシー先生と会話した後、俺達プレイヤーを見た。
『皆の者! 今回の戦果誠に大儀であった! 我は神々の代表として礼を言わせてもらう。
そなたらのお陰で『秩序』は保たれた………本当にありがとう』
そう言って、ヘラ様はゲートっぽい何かを作りだす。
そして、その周囲に神々が集う。
『さて『異渡人』達よ………別れの時だ。感謝している。さらばだ』
そう言って、十一柱の神々は消えていった。
う~ん………何か達成感。
『さて、それでは皆様………クエストクリアおめでとうございます!』
そうピクシーさんが言うと、広場の中心に『Calamity keraunosu ~Quest Clear!~』と表示され、俺達の目の前には『Congratulations!』と表示される。
「ん? 我の前には『you're a masochist』と書かれておるのだが?」
お~、ユニークなお言葉をいただけたんですねアイギスさん………すいません。滅茶苦茶引いてます。
俺以外にもツキちゃんやシロさん。ゲンテさんも引いてます。
『は~い、皆さんお静かに! これより『貢献度』順に報酬を渡してくよ~? なお、名前の発表とかはしません!』
てことで、手元に『クリア報酬』という窓が表示される。
まず目についたのは『戦闘面NO.1貢献者』という文字。
………いや、考えないでおきましょう。
報酬は基本で『武器』または『防具』の引き継ぎ。
または今までの生産データ『削除』。
はたまたスキルの正式サービスへの引き継ぎ。
あ、ちなみにユニークスキルは強制的に引き継がれます。例えヘッドセットを変えようとも、脳波が同じなら逃れられないらしいですよ………怖っ。
それ以外にも色々ありますが………俺は『生産データ完全削除』をさせていただき、基本的に引き継ぎできるものは引き継ぎさせてもらいます………『お金』とかアバターとか名前とか。
ユニークスキルは強制です (二度目)。
それ以外にも『スキルポイント倍加チケット』という正式サービスでしか使えないチケットがあったのですが………似ている『スキルポイントチケット』を貰いますね。
ちなみに効果は似ていません。
一通り引き継ぎ等を終えた俺は、同じく終えたゲンテさんと雑談。
会話内容は引き継ぎの話になる。
「ゲンテさんは何を引き継ぎしました?」
「俺はこのアバターと名前。そして金だな………ユニークスキル『処刑人』も。お前は?」
「俺も同じですねぇ………ユニークスキル『陰陽師』もですし………あ、そういえば『レア種族確定チケット』とかは?」
「残念な事に、俺も『special tester world elements』をやっていたんだなぁ………持ってるわ」
はぁ、とため息をはくゲンテさん。
タイミングよくシロさんの引き継ぎも終わったようで。
「二人はどこまで引き継ぎした?」
「「最低限と強制引き継ぎだけです (だ)」」
「へぇ………まあ私もだけど………皆もユニーク持ってたんだ」
ああ、シロさんもですか。お仲間ですね。
そしてツキちゃん、アイギスさんも引き継ぎを終わらせ雑談に興じていると、大鐘の音と共に、誰もが一度は聞いたことのあるであろう曲──蛍○光が聞こえてくる。
………時刻はもう二十三時五十五分ですが、何故に店風の演出? いや、まあこれ絶対『WF』やってますよね。
なお、悲報ですが俺達のパーティー全員『ユニークスキル持ち』でした。
俺が『陰陽師』。
ゲンテさんが『処刑人』。
シロさんは『懇願聖女』と武器『テーセウス・リリーフ』。
ツキちゃんは『水彩銀河の光彩魔女』。
アイギスさんは『偏愛紳士』。
………アイギスさん。貴方何やったんですか?
それはともかく、ツキちゃんのユニーク『水彩銀河の光彩魔女』………いいですねぇ。闇夜に踊ります? それとも宇宙にばらまかれた星々に尋ねます?
それにシロさんの『懇願聖女』。クエストの報酬らしいですけど、武器の『テーセウス』という部分や武器ジャンルが短剣であるところからしてアリアドネー様関係してますね。
それにしても『処刑人』って………何ですか? どうしたんですかゲンテさん。もしかしてあれですか? 使ったんですか? ハルバード。
………そう考えると俺の『陰陽師』って結構『普通』な部類に入るんですね。
効果は『ユニーク』を名乗るに相応しいと思いますし。
「よし、じゃあ俺達も解散するか」
ゲンテさんが言う。
そうですね。もう残り二、三分でサービス終了ですし………現実時間で。
「それじゃあ、お疲れ様。また正式サービスで」
シロさんがログアウトする。
「さらばだ皆の者………また会おう!」
アイギスさんがログアウトする。
………少々ユニークスキルの由来がわかった気がしました。
「よし、じゃあまたな。あ、そうだショウ。後で『英雄チェス』やろうぜ」
「いいですよ」
ゲンテさんもログアウトする。
残ったのは俺とツキちゃんのみ。
「………それじゃあ、俺達もログアウトしましょうか」
「ん、正式サービスに期待」
ええ、俺も正式サービスには期待してます。
俺達はほぼ同時にログアウトした。
もう少しで、死神が足下に………




