第七十話 Calamity keraunosu 繧?≧髴翫?邇と短剣使い
『生きてるか?』
私の目前の周囲一帯を飲み込んだ光が消えた後、ゲンテさんから『パーティー・チャット』がきた。
『俺は無事ですよ』
一番最初に返事をしたのはショウだった。
『私も無事だよー』
『ん』
『我があんな矮小な技で殺られるとでも?』
私のパーティーメンバーは全員無事だったらしい。
だけど、多くの前衛を失ったのは手痛い事だと思う。
「(それは………仕方ないことかな)」
何にも動作についての情報が無いのに、あんな初見殺しを見破れという方がおかしい。
きっとこのイベントを考えた人間は相当イカれているよ………あ、そういえば『WF』か。じゃあイカれててもしょうがないね。
「よーし、私は絶対に生き残るぞぉー!」
私は闘志を無理矢理燃やす。
例えゲームだと──これはただの記録だと、そう言えるけど………私はこの世界が、この世界に住む住人が初期化される事が許容できない。
それくらい面白くて、楽しいこの世界を。
この数週間で、小さくない沢山の思い出が詰まったこの場所を守りたい──だから、私はゼウスを止める。
私は短剣『テーセウス・リリーフ』と『乙女への救済』というユニークスキルとユニーク装備を持ってるプレイヤー。これはある住人から──ヒッポリュトスさんという人から貰ったこの短剣………これで私は私のやれる事をやる。
まずは戦況の把握だ。
とはいえ私にわかるのは、絶望的なまでの前衛の少なさ。そして圧倒的なまでの殲滅力をゼウスが持っていること。まだ情報は少ない。そんな中、確実に、絶対にゼウスを止める。その攻略法を、構築する。
私は大きく『溜め』をするゼウスの行動を見守る。
ゼウスが槍を向けている方向にはゲンテがいる。
ゲンテがゼウスのタゲを取っている。きっと攻撃を避ける算段があるのだろうと思い、私は観察に集中することにする。
『避けて!』
だから急に『パーティー・チャット』がきた事に驚き、一時的に観察を止めてしまった。
ゼウスから視線を逸らしてしまったのだ。
その間に、槍は建物にぶつかって爆発をした。音だけでも、それがわかった。
『すいません。さっきのは唐突でしたね』
『本当だよ。もうちょっと早く言ってよもぉ』
『すいません………』
ショウは私の冗談半分の言葉に、簡単に謝ってしまう。
そういう所が、やっぱりショウらしい。
『それでどうしたの? ショウから通信をしてくるなんて』
珍しい事だ。いつもは『メッセージ』を使うのに。
だが、そんな疑問もすぐに解消された。
『メッセージを打つ時間がもったいないです』
『そうだよねぇ………』
今は重大なイベントの大事な場面なのだ。
今から文章を書くより、普通に通話したほうが手っ取り早いに決まっている。
『まあいいです。まず報告ですけど──さっきの技。あれが『雷霆』です。確実に』
『あれが………』
確かに、あの破壊力は恐ろしい。
あれを食らえば、どんなプレイヤーでも一撃で全HPを持っていかれるだろう。神話で世界を、宇宙も焼き尽くしたと語られているらしいけど、あれは誇大な表現なんかじゃない。事実なのかもしれない。
『あれでも、威力は抑えられていますよ。ですが多分、あれが今は限界の威力だと思われます』
確かに、ショウやゲンテがいう『伝承』の『雷霆』とは威力も範囲も次元が違う。
弱すぎるという意味で。
『それじゃあ、倒せる可能性は………』
『五分五分です』
そうだよね。確かにそうだ。
まだまだ攻撃パターンを全て知った訳ではない。過信はいけないね。
それにHPを減らせば、その分威力が上がっていくかもしれない。
『じゃあ、報告は終わったので』
『うん。お互い頑張ろうね』
そう言って、通話を切った。
さあ、頑張ろう!
サブタイの文字化けは仕様です。
復元はほぼ不可能かと。そうなるようすごく頑張りましたので。
(※ネタバレにはなりませんが、分かれば後々の物語が面白くなるかも………です)




