第六話 逃げるが勝ち
「おい晶。ゲーセン行こうぜ」
俺の友人。浩平くんはまるで中○くんが「おい○野! 野球しようぜ!」みたいなノリで俺を誘う。
まあ乗りますよ? ゲーセン。楽しいですもん。
「今日は大丈夫ですよ」
「よっし。それじゃ、いつものとこ待ち合わせで」
「了~解で~す」
俺は自転車だけど浩平くんは徒歩なんですよね。
雨も午後には上がり、今ではいかにも夏というような日差しが俺を襲う。
……ああ、日射しが眩しいけど下り坂がサイコーです。
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「……」
「……」
俺は今、ゲーセンでゲームをしている。
勿論、オン○キですがなにか?
「……ふぅ。終了」
「まさかそれをFCするために来たのか?」
「いえ? 今日初めてやりました。この曲は」
やった曲はあれですよ? ハッピータイ○ーン。
リ○テコラボはもともとやりたかったんですけど時間がなくてですね……今回本気で挑んでしまいました。
「……いや、すげぇわ。たったの数回でそこまでできるか?」
「出来ますよ。コツを掴めば」
俺は手首を回す。
うう、腕に無駄に力が入りまくりまして……筋肉をつけねばです。
「てかゲーセン来て迷いなくオ○ゲキ始めたじゃん」
「そりゃリス○コラボですからね……やらねばですから」
実は、今日はこのゲームセンター近くのスーパーで卵の安売りがあってその暇潰しに……とは言いません。余談ですから。
その後、対戦ゲームで遊んだりしていたのですが、ある時、浩平くんが現在の俺の一番話したくないことランキング一位のことを話題にしました。
「あ、そういや晶さ、白峰さんとゲームで遊ぶんだろ?」
「は、はい。そうですけど?」
そういえば……ということもなく、先ほどハッピー○イフーンに集中していた時以外は意識してしまう話題である、白峰さんと『VWO』で遊ぶことになった話。
もしかして、浩平くんも『VWO』を……。
「それじゃさ、白峰さんの好み? タイプ? を聞いてくれないか?」
「──え? そんなの自分でやればいいのでは?」
「……それが出来ないから懇願している。って思わないんですかねぇ?」
うん。思います。だって高一の時から臆病でしたし。
顔面はいいし、すげー良いクラスメイトなんですけどねぇ……後一歩を踏み出せないシャイボーイなんですよ。ええ。
「……さすがにそれは自分で聞いたほうがいいと思いますよ? あ、時間なので」
「え? おい! 待て!」
……その周りを気にせず怒鳴る勇気があれば、『そういう』事も聞けると思いますけどねぇ。
俺はそう思いながら、逃げ足でゲーセンを出てセールに向かった。
ああ、今回も日常回に………けどこんなこともみんなみんな全部全部オーライ! ハ○ピータイフーンが吹き飛ばす!