第五十九話 オリュンポスの神々
輝きが収まり、そっと目を開ける。
…………言うならば混沌ですよね。
その空間は摩訶不思議で、黄土色だったり赤色だったり…………意味が分からない。まさに混沌。
そして十一の巨人──神様が俺達を囲むように見下ろしている。
たぶん彼らがオリュンポス十二神………十一柱しかいないのはゼウスは除かれた状態だからですかね?
『異界より招かれし、旅人達よ』
うわ喋った。
驚きながらも、目の前の神様を見る。
女神様だと思う。
まだどんな神様か分からないですけど、横にアテーナ様がいるので、きっとヘーラー様。天界の女王様だと予想してます。
『私は天界の女王ヘーラー。ゼウスの妻であり、神々の女王でもある』
わーい、当たったー。嬉しいです。
俺は横の女神様──まあ十中八九アテーナ様ですけど──を見る。
するとアテーナ様はウインクをしてきた。
胸元から鋭い視線が送られてきますねぇ………。
『私はアテーナー。芸術と守護を司る戦女神よ』
『僕はアポローン。光明の神だ』
次々と、神様が自己紹介をしてくる。
アポローン様の次には地母神であるアプロディーテー様。戦神アレース様、アポローン様の双生児とされている月の女神アルテミス様。豊穣の女神デーメーテール様。鍛冶神ヘーパイストス様。伝令の神ヘルメース様。海の神ポセイドーン様。そして炉の女神ヘスティアー様………ヘーラー様から時計回りに俺たちを囲んでいる神々はホントにオリュンポス十二柱でした。ゼウス様はいませんが。
『私達は王──ゼウスの暴走を止めるために、貴様等を呼んだ』
ヘーラー様の言葉に、周囲のプレイヤーさん達が困惑気味になる。
当然、俺も困惑気味ですが………ツキちゃんに浴衣の裾を引っ張られる。
「………おにぃ、話、謎」
「………多分ですけど、これが運営側の措置でしょうね」
俺は………俺達は良く知っている。『WF』が不当で理不尽なゲームイベントを作らない事を。
多分、いや絶対に、これが攻略の要。
「俺達と神様が一緒に天空神ゼウスを止めるのが、このクエストの要なんですよ………たぶん」
神様達にも、きっと『定められた役割』がある。
ツキちゃんが首を傾げているので、もう少し詳しく説明する。
「予測ですが、例えばアテーナー様は戦女神ですから、共に戦うかもしれません。アポローン様とアルテミス様は火力支援をするかもしれませんし、ヘーパイストス様は武器強化のバフを掛けてくれるかもしれません………後はイベント内ストーリーでの役割があり、そこまで行けば勝利──とかですね」
「………謎」
多分ですからねぇ。
俺は予想しながら再び話を──あれ?
何故か皆さんこちらを向いているのですけど。
何故ですか? なんで神様まで? ちょっと風神雷神の絵を思い出しました。関係ないですね。
『………お前がアテーナーが言っていた『ショウ』という異界の旅人か?』
「え?………は、はい」
何故かヘーラー様が話しかけてきた。
…………神様と話せて嬉しいですよ? でも何ですかね? 悪寒がします。
『大丈夫だ。害悪にはならない。ただ、よくそこまで私達の事を知っているな』
………あくまで予測ですがね?
俺は少し冷や汗をかきながら──ゲームだから錯覚ですけどね──返事をする。
「は、はい。俺は伝承とかが好きなんで」
『ふむ…………アテーナーが面白い奴だと言うだけあるな』
え? アテーナー様そんな事言ってたの?
俺がアテーナー様の方に顔を向けると、顔を斜め右上に反らし、器用に口笛を吹いているアテーナー様がいた。
「………もしかしてですが……さっきの当たってました?」
『ああ、大体は当たりだな』
…………ヘーラー様って男勝りな口調してるなーって思いました。
『まあいい。貴様らの支援を私達がする。貴様等は王を、ゼウスと殺すつもりで戦え!』
Oh………歓声の凄さに耳塞いじゃいましたよ。
サブタイを十二柱としなかったのはゼウスがいないからです。
十二柱でもいいのですが………なんか違うような気がしましたので。




