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Various World Online  作者: 束白心吏
第一章 βテスト編
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第五話 疲れはV字回復しません。

あれはただの後回しです

 数分後、マッピングしながら街を歩いたのはいいのですけど……。


「全然人に話しかけることができないです……」


 買い物は少々心許ないからできないんですよねぇ……本当、コミュニケーション方法が極端ですいませんでした。

 フレンドさん誰かいないですかね? いなかったらヤバいですよ?

 そんな事を考えながら広場のベンチに腰かけてメニューを開き、俺は『friend』の六文字をタップする。

 さてさて……あー、シロさんはいませんね。残念。で、ですけど別に、フレンドは一人だけじゃありませんし? だ、大丈夫だと信じたいですね? ……たぶんいるはずですから。


「あ、ゲンテさん居たんですね。この街に」


 俺はフレンドリストから、今ログインしているフレンドさんに連絡をする。

 仕方ないじゃないですか。人と話せない……もとい外見が同年代の方との会話は大の苦手なんですから。それに探すほどフレンドはいませんし。

 メッセージを送信した数分後、ゲンテさんから返信が届いた。

 内容は街の名前とチュートリアルはやったほうがお得という神託のようなお言葉。

 マジありがたいです。あ、街の名前はアテネって名前らしいです。情報ゲット。地図も更新されましたね。

 とりあえず……もう、今日は疲れました。

 近くで宿でもとって、さっさとログアウトして寝ましょうか。


■■■■


「はぁ~、疲れました~」


 俺は机にうつ伏せになり、全体重を預ける。

 時刻は翌日の昼休み……朝から雨がザーザー降りで洗濯物を室内に干したりして憂鬱だったのもありますが、それを差し置いてもホント疲れました。眠いですけどまだ午後の授業があるんですよね……。


「あれ? どうしたの? 真茅くん。次の時間は移動教室だからはやくお昼を食べたほうがいいよ?」

「あはは……ありがとうございます」


 はぁ、昼食食べるのもダルいですねぇ。


「おいおい、白峰さんに話しかけられてそんな返答する人間初めて見たぞ」

「……仕方ないですよ。疲れているんですから」


 浩平が勝手に俺の前の席の人の椅子に座る。

 手には購買で買ったと思われるパンと飲み物がある。

 ……ここで食べるんですね。


「そんで、なんでそんなに疲れてんだ?」

「……ちょっと長くなりますけど」

「ああ、いいぜ」


 俺は弁当を取りだしながら言う。


「昨日、帰ってから家事をしたりといつも通りしたんですよ」

「おう、なんかお前らしいな。その行動」


 俺、浩平からどんな人間だと思われているのです? なんかそっちが気になるんですけど。


「まあそうなんですけど。その後のんびりゲームでもしようと思ってゲームをしたら……」

「あー、夜更かししてしまった。と」


 浩平くんが話を予想した。

 だが残念でしたね浩平くん。いえ、ワトソ○くん。

 そんな理由じゃないんですよ。


「単純に疲れただけで、夜更かしはしていませんよ?」


 マッピングが楽しくてついつい、ですね。

 しょーもない理由すぎて、言うのが恥ずかしいんですよね。


「え? 夜更かしじゃないのか?」

「するはずがないですよ。朝は忙しいんですから」


 朝は大変なのです。

 朝食を作ったり弁当作ったり、洗濯したりして。


「へぇ~。それは少し意外だな。晶の場合、夜更かししても学校に来てそうな雰囲気あったし」

「さすがに、夜更かしして学校休むなんてしませんよ」


 まあ、夜更かししないのが一番なんですけどね。

 だから時間厳守は大事。そう思っております。


「そういや、何のゲームで遊んでいたんだ?」

「ん? ああ、『various(ヴァリアス) world(ワールド) online(オンライン)』です」

「え? お前、『VWO』やってるの?」

「はい」


 浩平くんにへぇ~、お前も流行にのるんだなぁ。と言われた。

 いや、のっちゃ悪いですかね?


「いや、晶の場合。自分の好きなものにどっぷりハマるだろ?」

「そうですね」


 断言しましょう。『worry-free』にクソゲーはない (※個人の感想です。一般的にはネタゲー工場として有名です)。

 そんな俺に、苦笑しながら浩平くんは言う。


「うん。だから流行にのるのが珍しいと思って言っただけだ」

「そうですか?」

「おう」


 ハッキリと言いおりましたよ。ワト○ンくん……じゃないや浩平くん。

 でも否定出来ない……それがホントに悔しいです。


「真茅くん? あの……」

「はい? どうしました? 白峰さん」


 おっと、黙考していましたか。これはいけない癖ですね。

 白峰さんは俺に筆箱を差し出してくる。

 え? 何故お持ちになっておりまして? 


「真茅くん。筆箱落としてたよ」

「え……ああ、すいません」

「……おい、そういう時はもう少し反応したほうがいいぞ?」

「語彙力とコミュニケーション能力がなくてすいません」


 どうせ俺はコミュニケーション能力皆無ですし。

 俺は何て言えば良かったんですか? と思いながら筆箱を受けとる。

 そんな俺と浩平くんのやり取りを聞いて困惑気味な白峰さん。


「ええと……」

「ああ、すいません。浩平くんのことは気にしなくてもいいですよ」

「あ、うん」

「おい晶、そして白峰さんも! 無視だけは止めてくれません?」


 浩平くんのそのに思わず吹きそうになるのに耐える。

 白峰さんの表情からも、困惑は消えていた。


「そうだ、晶」

「? どうしました?」

「時間」

「……あ」


 時計を見ると、休み時間も残り数分だった。

 さっさと食べ終えた俺は次の──あ、移動教室でしたか。


「ごめん。浩平くん。白峰さんも」

「いや大丈夫だ。遅刻ギリギリでもな」

「それ、冗談に聞こえない」

「冗談じゃないからな」


 ええ!? と、思ったが、良く考えてみれば納得できる。

 浩平くん、授業中寝てるし。

 白峰さんは大丈夫だよ。と、天使のように言ってくれた。


「そうだ、『VWO』って来月からだよな?」

「そうなんですか?」


 少し早歩きで廊下を歩く俺達。

 あれ? ……ああ、βテストはそうでした。


「βテストは今月からですよ?」

「え? 入江くん。『VWO』のβやってるの?」


 急に白峰さんが話に入ってきた。

 驚きながらも、俺は白峰さんの言葉に肯定する。


「はい、昨日から初めました」


 白峰さんが驚きの表情で告げてくる。

 え? 俺の方は状況を認識出来なくなってきた。


「本当? 私もやっているんだ。もし良かったら真茅くん。一緒に遊ばない?」

「? 『VWO』でですか?」

「うん」


 白峰さんが俺を誘う……だ、と。

 夢か何かですかね。


「ちょっと浩平くん。俺の頬をつねってくれないでしょうか?」

「残念だったな晶。俺はもうやった。これは夢じゃないぞ」


 え? 夢じゃない。それじゃあ現実ということですか?


「分かりました。それじゃあ、何時頃にします?」

「……そうだねえ。あ、今週の土曜日ってどう?」


 土曜日ですか……どうせ休日は家でだらだらしてるだけですし、大丈夫ですよね。確実に。


「大丈夫だと思います。それじゃ、待ち合わせは──」


 その後『VWO』の話が長引き、授業に遅れそうにはなりました。

完全に日常回じゃないか…

私はVRゲームの作品を書いているはずなのに…

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