第四十六話 信者は語る。彼は信者でないと
『やっはろー! 今宵も戦じゃー! 宴じゃー!』
『『『『YAAAAAAAAAAAAAA!』』』』
………いえ、宴ではなく祭では?
茫然とする俺をよそに、着々と進行していく司会。現実時間午後六時を回った。
毎度お馴染み………今日で二回目ですが細かいことはさておき、まだイベントのオープニング中なので、俺は一旦ログアウトして、夕食の準備を行う。
俺の出番は現実時間の夜九時前後。
ですから午後八時までに夕食を食べて風呂に入って、ゲームしたらすぐ寝れるように──まあ食器洗いをしないとなんですけど。
俺は他の人の試合を観ずに『VWO』の世界から居なくなった。
■■■■
午後七時半過ぎ。
思ったより早く家事が終わったので早くにログイン。
現在も試合が行われていて未読メッセージの欄にゲンテさんからの一勝したという通知がありました。
きちんと返信も送りました。
『さーて! それじゃあ連続でいくよ! ショウ vs コウジ!』
あ、もうですか? 早くないですか?
ちなみに会場外に大会参加プレイヤーがいる場合、時間になると強制的に準備室に転移させられるらしいですよ。
俺はスキルを大幅に取り替えて準備完了のボタンを押す。
押せばすぐに転移。岩山ステージに転移させられた。
『今回のステージは『岩山』! 制限時間無しのデスマッチ! レディー、ファイト!』
ちなみに毎回大先生のスタートの合図は変わります。
岩山も俺の得意分野。
でこぼこした道はよく通ったものです。木が無いので周囲が良く分かりますし。俺は頂上を目指して走る。
VR内の俺が出せる最高速度で走る。
現実では出せないであろう速度で頂上まで残り数メートル。
頂上の前で俺は止まった。
「…………見えない……ですか」
俺は下を見渡していない事を確認。
抜刀して『桜花』を発動。
この『桜花』というアーツは『分身を一分間作る。攻撃されれば解除され、プレイヤーは攻撃者に急接近できる』というアーツであり、逆奇襲に使えるアーツ。
ちなみに分身がある間は大きく動けませんが、使用者本人は他者から見えなくなります。
「………隙あり!」
横の崖から、俺の分身を狙った一撃のナイフが飛ぶ。
投げられたナイフを攻撃と判定し、分身は霧散。俺の体は強制的に投げた主の元に向かう。
「な、分身……」
「俺は分身じゃないですよ」
急接近してきた俺に驚きを隠せていないコウジさん。
俺はその隙に関係なく『鋼鉄刀【神楽】』で『一閃・即撃』で右腕を『切断』する。
部位切断の時は一定の割合のダメージが入る。首は即死ダメージの例外として、片腕2.5割片足も同様。手首足首なら一割のダメージが入る。
そして部位欠損というデバフを発生させ、出血という毎秒0.1~0.01のHPを削られるデバフに陥る。
出血は十分で終わるデバフですが、大体の場合出血デバフ終了前に倒れます。そんな長期決戦にはならないので。
俺は早く戦闘を終らすために『絶断』を発動。
「舐めん………な!」
「『鏡花』」
コウジさんの短剣による一撃をカウンターで返す。
狙うは首。 先ほどの『桜花』は唐突だったので狙いを定められなかったのですが、こっちはある程度の準備ができます。それに『鏡花』のカウンター時は自分の体感時間の流れが数秒だけのびます。
その間に首に刃を届かせることはできるわけです。
『試合終了ー! 勝者はショウ! おめでとー!』
俺はコウジさんに歩み寄る。
コウジさんは斬られた首を触っていた。
「ありがとう御座いました。いい勝負でした」
「……あんまりいい勝負だとは思わないけどなぁ………でも、いい経験だった。ありがとうな」
あ、この人『WF』信者じゃない。
わかる。喋ればわかる。
特に苦労人っぽさもなく、頬を赤くしていない………彼はどうやら一般人ですよ!
俺達は握手をして、試合は終わった。
戦闘兼スキル/アーツの説明回になってるなこれ。




