第二十四話 ドワーフは鍛冶や細工をすることはあるが『解体』は…
「ドワーフ?」
「!?」
奥の扉から出てきた小柄の人は、俺の発言を聞き取って、こっちへ向かってくる。
あれ? なんか言うてはいけへんこと言いました?
少し京都弁が混ざった謎単語を内心呟いていると、小柄な人は俺の前で立ち止まった。
そして、俺の右手を取り
「おうボウズ! 見る目があるじゃねぇか!」
握手をしながら、笑顔でもう片方の腕で俺の腕をバンバンと叩く。
うむ、地味に痛いです。
そしてダンディな声ですね。個人的に好みです。
「おいデルトン。何をそんな事で騒いでおる」
ヘルト師匠が少し遠くから、デルトンさんに話かける。
あの………なんで離れているので?
その答えは、すぐにでた。
「ようヘルト! お前がここに顔出すなんて珍しいな!」
「儂も儂の弟子もそんな叩くな。それに儂が認めた弟子じゃぞ? 見る目があって当然じゃ」
「ん? おおそうか! それでヘルト、狩人に復業するのか?」
ヘルト師匠が腕への攻撃を止めてくれました。
なるほどデルトンさんはそういう性格の方だから離れていたと。なるほどわかりました………未だに地味に痛いですね。
そして息を吸って吐くように弟子を自慢するのは止めてください? 俺──弟子のいる前でそれやられると、弟子本人が恥ずか死しますからね?
俺が痣になっていないか確認している内に、師匠達の話は俺のわからない所までいっていた。
どうせゲームなんだから痣なんて出来る訳がない。そんな常識をぶち壊すのが『WF』なんですけど今回はセーフですね。痣はないです。
「よーしわかった! オレのダチの弟子だ! オレがきっちり『解体』を教えてやる!」
デルトンと呼ばれた小さいおじさん (本当にドワーフだった)は、出てきた扉の方へと歩いていく。
あれ? 『解体』するのでは? というかそもそもドワーフは鍛冶なのでは? まあ勝手なイメージで言ってるので口には出しませんが………ドワーフって『解体』のイメージはないですよね。
まあ細工が出来るくらい器用ですし。『解体』もできそうですが………。
「おいショウ。オレに着いてこい」
そう言って俺に扉の方へと来るよう促す。
俺の名前は師匠から聞いたのでしょうか。ショウであってますけど。
俺はデルトンさんの後につづく。
扉の向こうは、少し薄暗い廊下でした。
一本道になっている廊下には、左右に多くの扉があった。
どうやらこの扉の向こうは一つ一つが別人の『解体場』で、奥には客室とデルトンさんの自室があるらしい。
俺はデルトンさんに連れられて、近くの『解体場』に入る。
扉には色褪せて見えづらいですけど『1』と書いてあった。
「よし、おめぇさん。『旅人』なんだってな! 確か魔法の鞄的な物を持っているんだろ? その中に入っている『死体』を取り出してくれ」
俺はデルトンさんの言う通り、アイテムボックスから『フォレストウルフの死体』を出す。
これは1匹でいいですかね?
あと『旅人』は『魔法の鞄的な物持ってる奴』って共通認識なんでしょうか?
「お、流石ヘルト! 切り方がうめぇな! 全部の『死体』を出してくれ!」
俺は『フォレストウルフの死体』を全部出す。
デルトンさんは「ほぉ………すげーなぁ」と、インベントリから出される死体を見ながら言う。
「これで全部です」
「よし! それじゃあ『解体』の基本からだ!
まず『解体』ってのはモンスターの『死体』から多くの素材を手に入れる為のスキルだ。
ヘルトの奴みたいに首から『切断』しちまえばほぼ全てのモンスターの素材が手に入るが………まあそれを除いても、多くの素材が手に入るスキルだ。一回実際にやってみるから少し見てな」
そう言って、デルトンさんは『フォレストウルフの死体』を部屋の真ん中に置かれている『解体台』に置く。
そして『解体』が始まった。
■■■■
デルトンさんの『解体』は綺麗だった。
なんと言うか………お見事なナイフ捌きでした。語彙力の無い俺を許してください。
俺もデルトンさんみたいに見よう見まねでやってみたのですが、中々難しいですねコレ。
でも、これはやりがいと達成感はすごいですね。
料理も昔は出来なかった俺ですけど、何回も練習して、満足できる味にまでしたのは懐かしい思い出。
んー、中々楽しくなってきました。
「デルトンさん。これはどうですか?」
今日はこれで『解体』何ヵ所目でしょう? 五ヵ所目までは数えていましたけど、集中したいし面倒になって数えるのやめてしまってですね…………。
「ウム……まあ、先ほどの部位よりゃあいいな」
デルトンさんは俺の『解体』した『フォレストウルフの死体』の脚を丁寧に検分する。
ちなみに最初は狼型の人形で『解体』の練習を数回して、その後また『フォレストウルフ』の死体を『解体』したので、最初よりはいいはずなんですけどね。
「それに少し荒いところがあるが………ま、合格かな」
俺はよっしと、心の中でガッツポーズをとる。
でも、まだまだ未熟ですし、これからも練習に来ましょう。
「………ま、精進しな」
「デルトンさん。ここはいつ来てもいいんですか?」
「おう、いつでも来な」
デルトンさんはそう言って部屋を出ていく。
う~ん。今日は疲れましたな。
細工というか工芸品だね。『解体』ちゃうよね。
ドワーフで最も有名なのは白雪姫の七人の小人だと思います。
彼らは鍛冶をしないのに、何故か私の中でも『ドワーフ=鍛冶』ってイメージは強いんですよね。やはりRPGゲームの影響ですかね。あんまりやりませんが。




