第二十二話 新スキルです
「………ふぅ」
昨日のような珍事件………のようなイベントがありましたが、俺は今日も今日とて『VWOβテスト』の世界でのんびりと満喫しています。
今日もLvが1上がり、現在の俺のステータスも結構バランスが良くなってきて楽しくなってきたってのもありますが。
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名前:ショウ
Lv8
職業:刀使い
サブ職業:調理師
ステータス
HP:80/120
MP:100/100
EP:60%
力:30(+10)
知力:26
器用:33
敏捷:32(+8)
運:23
スキル
戦闘系
《刀Lv6》《短刀Lv6》《体術Lv4》《隠密Lv3》
《索敵Lv4》《無属性魔法Lv2》
生産系
《料理Lv5》《裁縫Lv5》《育成Lv5》《鍛冶Lv4》
その他
《楽器Lv3》《歌Lv4》《魔力操作》
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「………やっぱり効率が悪いですね。もっと………」
スキルレベルが上がり難いのは仕方ないとして、です。ステータスをバランス良くしてますので、効率を求めるのはお門違いなんですけども。
考え事をしながら森の中を歩いていると、『索敵』スキルの警告音が。どうやらモンスターが近くにいるようで………。
「はぁ………悪い癖になってまずねぇ」
考え事って駄目ですねぇ………周囲が見えなくなる。俺は『万華刀』で狼を一閃してから街へ。
仲の良い門番さんに、いい狩人さんがいないか聞いてみましょう。
「ん? 腕のいい狩人? ああ、ヘルトさんの場所へ行くといい。あの人は腕もいいし優しいからな」
「ありがとうございます」
門番さんは、ヘルトさんの居場所も教えてくれた。本当ありがたいです。
さて、弟子させてもらいますか。
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「すいませ~ん」
数分後、俺は門番さんに教えてもらった家の目の前で何回も呼び出しをしていた。
ちなみに、さっきのすいませ~んで………まあ、10回以上はいってますね。
………留守ですかね?
「…………誰だ?」
ドアが開いたと思ったら、ほんの少ししか開けてくれませんでした。まあ常識ですよね。俺、端から見れば怪しい者ですし。
出てきたのは若い男性でした。この人がヘルトさんですかね?
金髪で無精髭が生えていて睫毛が短い少し細目な少し残念な長身男性ですが………短期な人なのですかね? なんかそんな雰囲気を纏ってますし…………門番さんは優しい人って言っていたけど。
「すいません。狩りを教えてください」
「断る」
「まあまあ、そう言わずに少しお話を──」
「俺にはねぇ」
狩人のお兄さんがドアを閉めようとする。
俺は慌ててドアノブを引っ張る。
そして開けようとする。
狩人のお兄さんとの綱引き状態になった。
「………ま、待ってください。俺は、あるんです」
「俺、には、ねえ、から、帰れ!」
断る! と大声で叫びながら無理矢理ドアを引っ張る。
すると、少しだけお兄さんが笑ったような気がした。
「こらこら、人ん家のドアを引っ張りあうでない」
その声でお兄さんが力を抜いた。
俺はついつい尻餅をついた。
「………ふむ、なかなかいい腕をしておるのぉ」
「………じいちゃん。出てきちゃいけないってば」
「? ………?」
ほら、驚いているじゃねぇかよ。というお兄さんの言葉とじいちゃんと呼ばれた男性の笑い声が聞こえる。
「で、どうしたんじゃ? この小僧」
「じいちゃんの弟子になりたいんだってよ」
「………別に追っ払わなくてええわい。儂も久しぶりに狩りがしたかったしのぅ」
俺が驚いているといつの間にか、話が進んでいたらしく、弟子入りが決定していました。いえ喜ばしいことなんですが何ですかこのトントン拍子。
そしてご老人の頭の上にある黄色っぽい色の『?』マークが気になります。
「そうじゃ、儂の狩猟の仕方は少々特殊じゃからの」
「どんとこいです」
そういうと、ちょっと待っておれとお爺さんは家の中に消えていってしまいました。
それからしばらくすると、お爺さんが黒い服を着て出てきた。
聞いてみたところ、どうやら戦闘服らしいです。
「………お主はその服装で狩りをするのか」
「はい。俺の戦装束なんで」
俺は自分の着てる浴衣を見ながら言う。
………動きづらそうだな。って思いました。
「そうか、それでは初歩中の初歩じゃが、『隠密』は使えるかの?」
「はい」
俺とお爺さん (この人がヘルトさんらしい)は歩きながら問答を行う。
門番さんの所もヘルトさんのおかげでスルーできた。
凄い有名人です………いえ、俺は顔パス出来ないんですよ。まだまだ顔見知りが少なくて………。
「よし、それでは『エーゲ大森林』に入るぞ」
「はい」
へぇ、この森はそんな名前だったのですか………ん? エーゲって海でしたよね?
疑問を抱きながらも、俺は隠密を発動させたヘルトさんの後ろをついていく。
「ま、ここら辺じゃろ」
ヘルト老人は森の深部に入ってやっと歩みを止めた。
俺もヘルト老人の少し後ろで止まる。
「さて、まずは実力を見せてくれんか?」
「はい」
そうか。と言ってお爺さんが息を潜める。
俺は『索敵』して、息を潜めながら敵の――モンスターの様子を窺う。
俺の『索敵』に引っ掛かったのは一匹のはぐれ狼。
たまにいるはぐれ狼は初心者絶好の的──とまではいかないですけど、比較的倒しやすい魔物です。
俺は『隠密』行動をしながらはぐれ狼さんに近づく。
まだまだ俺は未熟者なので、そこまで隠れるのが上手いわけじゃないですけど、狼くらいからだったら隠れつづけることはできます。
俺は狼の斜め右後ろから『一閃』で奇襲の先制攻撃を行う。
刀は『斬る』ことに特化しているので、たまーに『切断』という部位欠陥を起こせるのですが………一撃で倒すと意味ないんですよねー。
ただ結構な確率で狙えはしますよ。何度も経験したので俺が奇襲で脚を狙えば、大体90%の確率で『切断』が狙えます。
ただここまで奥の狼は一撃は無理なんですねぇ………右後ろ脚が使えなくなった狼を『鋭斬』付与の『万華刀』で斬る。
それで戦闘終了。
お爺さんは──あれ? どこ見ているんですか?
俺がお爺さんの向いている方を見てみる。すると狼が群れで行動していた。
「………まあ小僧、あれは見ていろ。儂が一掃する」
俺はこくりと頷く。
お爺さんは笑みを浮かべて群れに後ろから突っ込んでいく。
狼はお爺さんの得物が届く一瞬前にお爺さんに気づく。
しかし時おすし………じゃない遅し。群れは一瞬で壊滅。全狼が死んだ。
そして俺は、ここでおかしいことに気づく。
「死体が消えない…………」
「お主等は『旅人』じゃろ。たしか『収納の術』とかいう変な技を使うと聞いておる。使って運んでくれ」
「は、はい」
俺は狼に近づいて死体を収納していく。
一応アイテムボックスの中を見ると、『フォレストウルフの死体×6』と言う文字があった。
「よし、これでお主も『狩人』スキルを覚えたじゃろ。最後じゃが──」
お爺さんはまるで弟子を見る目で俺を見る。
あ、弟子ですけどね。
「どうしました?」
「………すまんが、家までおぶってはくれんかの?」
ヘルトさんは「いやぁ最近は動くだけでも疲れるのぉ」と、暖気に言っていた。
俺はおぶって街に戻る。
街の門前には引きこもりのお兄さんがいた。
「おお、アンヤ。迎えに来てくれたか」
「そりゃあ、じいちゃんが無茶をして帰ってくるからだろ。すまねぇな。ここからは俺が背負っていくから」
「いえ、俺も勉強になりましたから」
そうか、それじゃあ達者でな。と言ってアンヤさんとヘルトさんは帰っていった。
良い家族だね。
俺は今日の戦果を見る。
スキル一覧に『狩人Lv1』という文字。
それと『万華刀』がLv5になっていた。
エーゲは海だよ!
新スキル『狩人』はβテストの間は結構なチートスキルです。彼以外にも使える人がいますが……




