第二十話 好奇心に負ける
十一時十数分くらいに、俺は『VWO』の世界から出る。
んー、朝から凄いイベントに巻き込まれましたねぇ………では昼食の準備でも始めますか。
伸びをひとつして寝台から起き上がる。
──トントン
十一時五十分頃、俺の家にたぶん花月ちゃんが来た。
俺は早速玄関へ向かう。
「おにぃ。ご飯」
「いらっしゃい。もう少しで出来ますよ」
俺はそう言って花月ちゃんを家に入れる。
花月ちゃんによれば、翔真くんもそろそろ帰ってくるとか。
ちなみに今日のお昼は冷やし中華です。去年分のそうめん完食記念の。
「はいはーい。デザートにゼリーもありますから食べ過ぎないでくださいねー」
「デザートは、別腹」
「そうそう! あ、おかわりあるの?」
ありますという意味を込め頷く。いやぁ、成長期ですねぇ………俺も成長期の筈なのですが、何故食欲がわかないのでしょうか?
二人の前に冷やし中華を持っていき、その後に自分の冷やし中華を置いて花月ちゃんの前に座る。
ちなみに花月ちゃんは俺が目の前に座らないと不機嫌になります………あの日は翔真くんと共に震えました。
「「「いただきます」」」
少し多く用意しただけの冷やし中華は、瞬く間に無くなった。
翔真くんの食いっぷりがすごい。
「「「ごちそうさまでした」」」
午後は我が家で勉強をして、夕食を食べて帰るらしい。
こりゃあ勉強教える事になりそうです。
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俺はその日の夜、翔真くんと花月ちゃんが家に戻ったのを確認してから、扉の鍵を閉めて自室のベッドにダイブ。
即座にHMDを被り『VWO』にログインした。
「ふぅ………今日は疲れました」
俺は生産場に向かいながら呟く。
………明日も早いですし、タイマーは十二時半くらいでいいですかね。
生産場へ向かうまでの間にある露店を見ながら、少し早足で生産場に来ました。
いやぁ、今日も今日とて賑わってますねぇ。
生産場は三つの区画があり、西側──前方には調理場。北側──右側には鍛冶場。そして南側──左側には農園がある。
調理場と鍛冶場は普通に何時間で何円といった仕様ですが、農園は植える物によって使用料が異なるのだとか。
一切使った事ないので詳しくは知らないですけど。
俺は鍛冶場を目指して歩く。
ここの鍛冶場に来るのは今日で三回目になります。
鍛冶場はさらに細かく分けられていて武器鍛冶、防具鍛冶、織物生産場等々………多種多様です。
ちなみに、最初に使用する場所を受付で決めて、受付の横にあるドアを開ければ自分の指定した場所に入れるしくみになってたり。
さすがゲーム。不思議ですねぇ。
今日俺が向かったのは、武器鍛冶場。
シロさんに武器を作るために、です。
………なおシロさんに教わったのですが、ここまで強い武器はそうそうないらしいです。
さて、生産といきますか。
俺は個室に入って材料等を用意し始めた。
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「ふぅ………」
短剣を完成させることができました。
これは俺の作った武器の中でも『最高傑作』と言っても過言ではない代物。
一応興味本位で情報を見たのですが、『力+10』『耐久減少遅延』という文字がありました。
これを目標に、次の武器を打とうと思います。
これは後で微調整があるので、終了。
現実時間二十二時二十三分。『VWO』内時間二十時四十六分。
今日分の学校の課題や自主学習をやってしまったので、タイマーが鳴るまで何かしていましょう。
って訳で、広場のベンチに座って『BP』の割り振りやスキルを見ていた。
俺は『BP』20を『力』と『敏捷』に10ずつ振り、余りに余った『SP』を使って何か新スキルを習得しようと思ったのですが……。
なんか、スキルの横に『★』マークがありますね。なんでしょう?
俺は一応『★』マークがあったスキルを習得してみる。
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スキル
陰陽道Lv1
ユニークスキル(※このスキルはリアルスキャンを使用したプレイヤーにしか習得できません)
悪霊を祓ったり、幽霊が見えたり、幽霊と話すことが出来るようになる(会話中は一時的にマップから外れます)。
陰陽道スキルを入手できるなんてスゴいね! もしかして、そういう家系の人かな? by運営
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何故でしょう。『──の人かな?』の後ろに『(笑)』を幻視しました。やっぱ疲れが………。
まあ習得しちゃいましたし、これで御守りでも作りましょう。
こうして俺の新たな目標が決まり、俺は再び『生産場』へ行った。
そうめんって親戚からどっさり貰って来年に持ち越されますよね。まあ私の家では冷やし中華の麺として採用されることもありますが………薬味、美味しいですよね。




