第二話 アバター作ります。チャットします
「へぇ~。これが仮想空間ですか」
仮想空間に初めてきて、出迎えたのは見渡す限りの雲海の中。
しかし浮遊感などはなくて、とても不思議な感じがします。
《電脳空間へようこそ!》
雲海以外の景色を求めて辺りを見渡していると突然、目の前に青っぽいウインドウが表れた。
少し驚きました。
「ん~と、どうすればいいんでしょう?」
《まずはあなたの電脳世界での姿。アバターを作りましょう!》
俺の目の前に『自動でアバターを作る』『一からアバターを作る』『ランダム』の三択が現れる。
………『自動』で。
というわけで自動を選択すると、目の前に『スキャン中』の文字………ああ、顔面スキャンですかね。
数秒でスキャンが終わり、詳細設定に入る。
身長の設定や大まかな体重の設定等、スキャンではわからない情報を入力し、プレビュー画面のアバターを少しずつ自分の体格にしていく。
数分もすれば、俺のアバターは完成。
その後、チャットを開くために『メニュー』を呼び出し……たいわけですが、どうすればメニューを開くかわからないという事態に直面しました。
感覚的なものなんですかね?
「あ、開きました」
試行錯誤すること数分。頭の中で念じればでてくるっぽいですね。
「チャットは……ああ、ありましたありました。なんて見えづらい場所に……」
自分的にはもう少し文字が大きくてもいいと思うんですけど……。
そんなことを考えながら俺はチャットの文字をタップ。
すると『フレンドチャット』と『掲示板』の二つの文字が表れる。
俺は『フレンドチャット』を迷うことなくタップ。
たぶん『掲示板』はあの掲示板なので行く気ないです。基本見る専なので。
その後、会話するフレンドを選ぶ等の作業をして、フレンドとのメッセージ空間に移動した。
■■■■
「お~、なんか『待機場所』感がありますね~」
近未来感の溢れるカフェのような空間で、ひとりそんな事をぼやいていると、後ろからカタッと軽い足音がした。
俺はそちらを振り向く。
「お~い! 君がショウかな?」
「ええ、初めまして。ですかね? シロさん」
俺は先ほど会う約束をしたフレンド─シロさんと無事合流できた。
そんなシロさんの事を一言で言うならば『戦友』または『好敵手』という表現が適当ですかね。
ログイン時間がよくかぶっていたので、対戦をしたり共闘したりが多くあり、そこからフレンドになったのですが──まさか女性だったとは。
そしてVR内のシロさんはTHE・引きこもりと言う感じに白い。
肌の白さもですが、髪の毛も白い。まあVRだから色は変えられるからなって言われたらそこでおしまいなんですけどね。
現実でも眼鏡をかけているんですかね? 眼鏡も装着しています……というか眼鏡なんてあったんですね。俺なんて白Yシャツに黒のスラックスですよ。
「それにしても凄いですね。VRの世界って」
「そうだね。まるでもう一つの現実みたい」
「仮想の現実って言うだけはありますね──あれ? シロさん。なんかキーボードチャットのときと口調違いますね。もしかして、こっちが素の口調ですか?」
「うん。そうだよ? もしかして──こっちの口調のほうがよかったかい?」
シロさんは俺の質問に対し、キーボード時の宝塚口調で返してくる。
う~ん………そうですねぇ。
「俺的には宝塚口調よりそっちの口調のほうがいいと思いますけど………でも、そういうのは自分の好きなほうでいいと思いますよ。俺は」
「つまらん回答をするね……………でも、それがショウっぽいところかな」
シロさんは通常の口調で話すことにしたらしい。最後のほうは聞き取れませんでしたが。
ですがねぇ………今までのシロさんっぽくないだけで、本当に俺はいいと思ってますよ?
「そうだ、私の秘密を知ってしまったんだ。ショウの秘密も教えてくれないかい?」
シロさんは楽しそうに言う。
その後に「私のように言葉使いでもいいんだぜ?」と、言われた。
「あ、完全にゲーム情報ですけど………」
俺は自分のゲーム『実積』をシロさんに言う。
まあ基本的にパズル系の上位が多いかな? 恥ずかしいですね。
「ん? それが君の秘密かい?」
「秘密ってほどでは無いですけど…………はい」
シロさんは「ほう、パズル系大会の………」と呟いている。
「何か皆さんに言えて無かっただけなんで、秘密としてはどうかと思いますが」
俺は自分の大会実積を見られて恥ずかしいと思う内心を見せないように、ふとわいた疑問を投げかける。
「そういえば、VRで会った意味って何かあるんですか?」
話が結構脱線してましたが、もともとこの話を持ちかけてきたのはシロさんでした。
もしかしたら、なにか理由があったのかもしれないですね。
…………なかったかもしれませんが。
「う~ん………まあ、テストみたいなものかな?」
「テストですか」
「そうテスト。私の家ってたまに電波が悪い時があるから、今のうちに登録したりしておきたくてね。まあ、そのときちょうどオンだったのがショウだったってだけで、もしかしたら違う人とやっていたかもしれないね」
シロさんの家、電波が悪いことあるんですか。
俺の家は通信速度も快調なので、あまりわからない問題ですけど。
でも、俺の住んでるところがそういう場所だったら、電波状況のいいうちに登録とかはしておきたいかもですね。
「そうだ、シロさんのところにも届いていたってことは、『ソフト』も一緒に入っていませんでしたか?」
「ああ、入っていたよ。それも、最新作のあの『ソフト』がね」
シロさんが悪い笑みを浮かべる。
シロさんってやっぱこのイメージが強いんですよねぇ。なんか似合います。その悪い笑み。
「もしかして、そのソフトって──」
「いや、一斉に言ってあっているかどうか試してみないかい?」
シロさんのその遊びに俺は──乗る!
面白いことは全力で! 我が家の家訓ですから。
「いいですよ。それじゃあ『せ~の』のかけ声のあとに一緒にいいましょう」
「ああ、いくぞ。せ~の」
「「Various world online!」」
俺達の声は見事に一致した。
そして一瞬間が空き、同時に吹き出した。
「まさかおんなじソフトをくれるなんてね!」
「はい! 『WF』としては意外ですね」
俺達はその後も少し話し合い、いつか『VWO』の世界で一緒に冒険することを約束して、チャットルームから退出した。
ゲームしろよ………せっかくのVRなんだからこんな機能あったらなー、とか思いながら書いてたらいつの間にか書いてたわけですが………




