第十九話 初めて神話らしさを感じました
現実時間午前八時五十分。
この時刻。『VWO』内では午後五時四十分をさしておりますこの頃。夕日が沈んでいく綺麗な光景が広場から見えております。
そんなわけで今、俺は噴水前の広場にいた。
ここは初ログインの時のスタート地点として来ましたけど、いつも活気づいていますよね。
「ショウ。早いね」
時間ぴったりにシロさんは現れた。
シロさんはレザーアーマーを装備していた。
俺ですか? 戦闘用の装備は色々な意味で目立つから初期装備ですよ。
「いや、大丈夫。時間通りだから」
俺は私語で応答する。
いやぁ、約束したので。
しかし反応がなくなったのですが………美少女は呆けた顔も様になりますよね。
「………そうだね。本当ごめん。でも、なんで初期装備のままなんだい?」
「それは目立からで──目立つから。今は着たくないんだ」
刀ってだけでも目立つのに、さっきの時間で………まあ色々とやらかして現在に至ります。
「それじゃ、フィールドに出たら、見せてよ」
「わかった」
俺はシロさんと共に、街の外に向かう。
そういえば『VWO』始めてからパーティー組むとか、女子と一緒に歩くとか初めてのことですね。言っていてとても悲しい気持ちになりますが。
「それじゃあ御披露目で──するよ!」
「お、遂にだね! 楽しみだ!」
そんなに楽しみにしないでください………というか気を抜くと敬語が出てしまう。
俺は装備マイセットから、いつもの装備を装着する。
途端、俺の全身を光が包み、装備している物全てが変わった。
服装は初期の黄土色の服から緋色の浴衣に。
隠れてはいますが、下半身装備としてハーフパンツも装備しています。浴衣は胴装備なんですけど、ズボンなどの装備の外見が適応されなくなるんですよねぇ。
ちなみにこの浴衣には様々な効果がある。
隠れているハーフパンツも、敏捷の値を5ほど上げる優れものだったりします。
唯一変わっていないブーツは、そこら辺の店で買ったものです。
………あとで下駄を作りたいとは思っているのですがね。決定事項ですけど、鼻緒の素材になるものあります? 墓で取れた布じゃ無理っぽいのですが。
「それじゃあ、行こっか」
「………」
「シロ?」
シロさんがこちらをジーっと見つめる。
………恥ずかしいです。
「いい! いいじゃないかその格好!」
「ゲンテさんにもおんなじ事言われましたね………あ、言われた」
ぶっちゃけ、この口調も恥ずかしいです。ちょくちょく敬語に戻りますし………。
シロさんも宝塚っぽい口調なので変える気はありませんけど。
「それじゃ、行こうか」
「ああ! ショウの実力も見てみたいな! 刀を使うのは君くらいしかいないだろうしね」
まあ俺しか使えませんからねぇ………俺は『索敵』スキルを使いながら森の奥へと進む。
ちなみにシロさんは装備をそのまま、短剣を使うらしいです。
所謂、シーフですね。似合いますねぇ。
■■■■
「『鏡花』」
少し暗い森の中、俺はカウンターアーツである『鏡花』でフォレストウルフを倒す。
フォレストウルフって名前はシロさんから教わりました。
やっぱ『鑑定』取ろうか………迷いますねぇ。
「よ、お見事!」
シロさんはパチパチと拍手をする。
なんか好奇心が満たされた的な顔をしているのは気のせいですかね? 気のせいですよね? 気のせいであれ。
「ありがとうシロ………その口調を無理して使っているんなら、普通に喋ってもいいよ」
「ハハッ、少し無理してるけど大丈夫さ!」
キーボードでのチャットだったからね。あの頃は。と、付け加えながらシロさんは笑う。
やっぱり、無理してますか。
「無理はいけないよ。しんどいなら戻してもいいよ」
「──ありがとう。ショウは優しいね」
「ゲームの中ですからね。自分の自由に、思うように遊んでこそですよ」
俺は私語からいつもの口調に戻す。
やっぱ、私語の俺って対応しにくいと思うのですが。
「し、ショウまで止めなくてもいいんだよ?」
「いいえ、俺はどちらでもいいんですよ」
俺がそう言うと、シロさんが「………そ、それじゃあ私語でお願いします」と言ってきた。
清く了承すると、またレベリングを再開する。
「少し違う武器で戦わせてもらうよ」
「え? ショウ、まだ武器あるのかい?」
「ええ、自作のものですけど」
またまた地味に敬語になったことを自覚しながら、俺はショートカットに登録している『鉄短刀』を取り出す。
シロさんの短剣より少し長い。
「………ショウって何者なの?」
「…………ただの武芸者です」
何者? って聞かれると、返答に困ります。
まあ、ソロプレイヤーって事はわかってますけど。
その後も俺達は森のモンスターを狩った。
俺は採取をしながらやった。
レベリング中に俺のレベルが3上がり17。『万華刀』のレベル1上がって2になりました。
そしてどうやら『万華刀』はユニーク武器と言う武器らしいです。
改めて大事に使おうと。
「結構狩ったね」
「ですねぇ」
俺とシロさんは月明かりを頼りに森を歩く。
ちなみにシロさんは『暗視』のスキルを取得しており、暗闇での戦闘はお手のものだそうです。
………ああ、本当にどのスキル取りましょうか。
そんな事を考えながら歩いていると、他の場所より輝いている場所を見つけた。
「………シロさん。何か見えるのは俺だけですか?」
「大丈夫。私も見えてるから。そして口調戻ってる」
お、マジですね。
ですけどやっぱいるんですね。幽霊。
俺は結構慣れていますけど、初めて見た時は怖かったのはよく覚えてますねぇ。まあ好奇心には負けましたがそれはさておき。
「行きます?」
「行こう」
俺とシロさんは神々しいほど明るい月明かりに照らされた場所に向かう。
何故かシロさんは一歩下がって着いて来てるのですが………いざとなった時の肉壁にするとか笑えませんからね?
あと近くに来て思いましたが、幽霊さんは女性です。てかアマゾネスまたはアマゾーンと呼ばれる狩猟民族で騎馬民族なギリシャ神話に出てくることで有名な方ですよあれ──やっぱいたのですね。
俺はワクワクして近づいていく。
おや、なんか俺とシロさんに気づいたようです。
弓をつがえて警戒されているのがよーく分かりますね。
「シロさん。俺とても帰りたいです」
「大丈夫。私も帰りたい。帰りたいよ。でもねショウ。好奇心には勝てないよ」
俺もです。
だってアマゾネスですよ? 親交深めたいに決まってますよ。
『…………何者だ』
アマゾネスさん? は弓を構えて警戒感丸出しで言う。
そんなアマゾネスさんに俺は『降参』の意味で両手を上げる。
「俺も彼女も貴女と戦う意思はありません」
『…………本当のようだな』
俺の言葉に、アマゾネスさんは警戒を解く。
しかし警戒のレベルが下がっただけなのか、未だに近寄らせてはくれない。
『失礼したなその──自己紹介でもしようか。我が名はアタランテ。月の女神にして狩猟の神であるアルテミス様の使者だ』
「俺はショウと申します」
「私はシロです!」
シロさんは目を輝かせて名前を言う。
もしかして、シロさんも神話が好きなんですかね?
『改めて謝罪させていただく。
──ところで、貴様らはここに何をしにきた』
自己紹介も終わり、アマゾネスの一人であるアタランテ様から質問がくる。
………それにしてもアタランテ様ですか。テンション急上昇ですね。
「俺達はこの森で迷ってただけです」
『そうか。たしかにこの森は道を違えると迷う。夜なら尚更、か』
アタランテ様は納得したようで、俺達に近づいてくる。
月明かりはアタランテ様に着いて行き、それが後光のようで、神々しく思える。
ついに信用されましたか。迷っているのは嘘ですすいません。迷いそうが正しいです。
だって道から外れたのは意図的ですから。
『ここは危険だ。私が森を案内したいと思う』
「本当ですか。ありがとうございます」
俺は45º きっちり頭を下げる。
まさか案内をされるとは。嬉しいです。
『では、行こう』
アタランテ様は、そう言って歩きだす。
俺とシロさんは後ろに続いた。
「ねえねえショウ。アタランテさんってどんな人なの?」
シロさんが小声で聞いてきた。
知らなかったんですね。
「アタランテ様は産まれながらに森に捨てられ、月の女神アルテミス様に育てられたアマゾネスです。
人類最速のお方で、彼女と付き合う為に命を落とした者も多いですよ」
「へぇ………」
シロさんは好奇心が満たされた表情をしている。
俺は話終えるて、アタランテ様がこちらを見ていることに気づいた。
「どうしました?」
『いや、私の出生を知っていることに驚いてな』
俺はアタランテ様の言葉に苦笑で返す。
神話や英雄物語はお婆ちゃんの家にどっさりありましたからね。
「あ、私は今知りましたよ」
『わかっている。シロが聞いていたのを聞いたからな』
流石アマゾネス。耳いいですね。
『ちなみに弓の腕にも自身があるぞ』
「結婚を申し込んだ男性が弱かった時点で射抜いたんでしたか?」
『まあ、そうだな』
そんな感じで親しくなった俺達とアタランテ様。
そしてついに森を抜けた。
「ありがとうございました」
『いや、いいさ。私も久しぶりの会話は楽しかったからな──これは私からの礼だ』
《──『アタランテの祝福』を入手しました》
俺の頭の中に、アナウンスが流れる。
今のは良かったです。
そしてアタランテ様は祝福を授けると消えてしまった。
────ピピッ
丁度その時、俺が事前に設定していたアラームが鳴った。
もうそんな時間ですか。
「凄かったですねぇ………」
「まさか『祝福』貰えるなんてね………」
「──ごめんシロ。街に戻ったら落ちるね」
「うん。大丈夫。今日は一緒に遊んでくれてありがとう」
「ええ、また一緒に遊びましょう」
俺達は街の方に向かって歩きながら喋る。
その時唐突に、シロさんが「そうだ!」と叫んだ。
「? どうしました? シロさん」
「ん? 次合う時までに私も浴衣とか作ってほしいなぁって」
「作れますよ」
「へ? 本当!?」
シロさんが呆気に取られたような顔をしている。
「まあ、柄は選んでもらいますよ?」
「え、ええ!? そ、そんな……いいの?」
「ええ、大丈夫ですよ」
そもそも言ってきたのはシロさんだし。
あれ? 俺は何で生産で活躍しているんだ?
「わかった。それじゃあ、どういう柄がオススメかな?」
「一応リストアップしてあるやつが……あ、あった。この中から選んでください」
俺はとある画像を開いてシロさんに見せる。
シロさんは「ん~」と唸っている。
「もしよかったら、連絡してからに──」
「藤!」
「藤柄ですね。わかりました」
シロさんと俺は、いつの間にか街の出入口に着いていた。
俺は初期装備に戻してから街に入る。
二人で早く着きましたね。等と喋りながら歩く。
「それじゃあシロさん。俺はこれで」
「うん。また遊ぼうね」
俺は近くにあった宿にインして『VWO』からログアウトした。
初めて神話に関することを練り込んでみました。
………ホントに神話関連の話を教えてください。
『ギリシャといえばコレだよね!』みたいなことで構いません。断片的な情報でもおkです。ググりますから。




