第百十九話 けいかい
「止まれ!」
道なりに進むこと………一時間? これといった戦闘もなく、時間も見ないで、エルフなピクシーさんと散歩するように進んでいたのでわからないんですよね。何時から歩いていたかわからないので現在時刻を見てもわからないという………あ、今現実時間は午前一時五十分です。『VWO』内は四時二十分。ちょっと明るくなってきたかなー程度の時間ですね。おはようございます。
そんな時間ですし、そもそも街もないような山奥というのもありますが、人と会うとは夢にも思わず驚いてしまう。それも警戒? されているのだから尚更。
「え、えーっと? どうしました?」
「貴様、ヘラの手の者か?」
「はい?」
ちょっと話がわかりません。ヘラ? というとゼウス様の妻のヘラですよね?
困惑している俺に知らないだろうと勝手に思ったのか、向けている短剣を腰の鞘に納めた筋肉質な男性は、その雰囲気を柔らかにする。
「旅の者か………すまないね。少人数で村に来る者がいるから、てっきりヘラからの回し者かと疑ってしまった」
「いえ、それは大丈夫ですが………」
とりあえず、聞きたいことが二つあります。
まずヘラ様と因縁がある点が一つ。次いでこの先に村があるということ。
ヘラ様との因縁はクエストの香り………つまり面倒事でしかなさそうなのでさておいて、村ですと?
「この先に村があるんですか?」
「ん? ああ、キミはもしかしてテウメソスに向かう途中なのかい? 今はやめておいたほうがいいと思うけど………うん。この先には『イノイ』という村があるよ」
イノイ………ですか。むー、ヨウゲツさんがいればまた色々わかるのかもしれませんが、生憎俺一人のみ。ピクシーさんも地理の知識はありませんし、まあわからないが増えたということですね。
「本当ですか? じゃああの塔は………」
「うん。想像の通りだと思うよ。あれは見張り用の塔だ」
今は、このお兄さんの話を信じるしかなさそうです。
■■■■
『えーっと? テウメソスの狐に捕まって強制的に始まった『SQ』をクリアしたら結構先のマップにいて、ショウさんの好奇心に任せて暗い中を北に進めば偶々村を見つけて………凄い冒険しましたね』
「一応は冒険者ですからねー」
お兄さんに連れられて『イノイ』へとやってきた俺とピクシーさんは、宿屋でログアウト前の雑談をする。ピロートークみたいなものですね。
そういえばピクシーさん。妖精姿で飛び回りながら開いているメニューを見てますけど酔わないんですかね?
『冒険者て………あれ? 確かに言葉的にはあってるのに釈然としないですね』
「ちょっと酷くないですかね?」
まあ色々あったのは事実ですけどね。
ちなみにヨウゲツさん達はログアウトしたらしいです。明日以降移動開始とのことも聞きました。まだ『イノイ村』のことを伝えられていないので、朝にでも言伝てで喋ろうかと。
「それじゃあ、俺もそろそろ落ちますか」
『ですね………もう二時過ぎですよ』
「ありゃ。生活習慣が乱れてきてますね」
直すの大変なんですよねぇ。と考えながら、俺はログアウトのボタンを押した。
急がば回れ。つまるところ迂回は吉。
そんなわけで連続投稿となりましたおはようございます。話の路線からそれると途端に筆が乗りますね。楽しいからヨシ!
タイトルでも遊べたし久しぶりに執筆を楽しいと思えたので、このまま書きます。




