第百十七話 狐の対峙
あっという間に街から離れ、どこともわからない不思議な空間………そうですね。言うなら『なぞ○ばしょ』。しかしBGMもありませんし、何より──
『ふん。狐とはいえ、奇襲には敵わんか』
──目の前にターゲットである黒い狐、『テオメソスの狐』がいるんですよね………。
記憶を遡ること数分前。俺はヨウゲツさんと行動中、『テウメソスの狐』に拐われました。そして辿り着いたのが真っ暗なのに自分の姿と『テウメソスの狐』の姿がはっきり見えるなぞ○ばしょに来ていたというわけです。
パーティーも強制解除されて、フレンド機能も一部制限されて………普通だったら孤立してる状況なんですが。
『急に何なんですか?』
「あ、お疲れ様です」
『………いえ、はい。察しましたので黙りますね?』
別に黙る必要ないのでは? まあこれ完璧にエラーというか異分子ですよね。ピクシーさん。
『まあよい。羽虫の一匹がついていた程度。関係ないな』
うわぁセリフに漂う王者の風格。少しイラっと来ますが………そういえば七つの罪源の一つって憤怒と書いて『イラ』と読みましたね。ラテン語でしたっけ? 関係ないことですが。
『まあよい──狐。かの常世の者より賜りし遺物を寄越せ』
「『遺物』………ああ、あれですか」
俺は懐にしまっている呪符を取り出す。なるほど『遺物』でしたか。どおりで『鑑定』できないわけです。まあ『鑑定』はレベルも上がらずじまいで本当に訳のわからないスキルなのですが。
『それを差し出せ。さすれば我は貴様に干渉せん』
狐さんがそう言いますと、俺の目の前にシステムウィンドウが現れる。そこには新たなクエストの内容が載っている。
新たな『SQ』──クエスト名『贄と贄』。内容の最後には丁寧に『このクエストは分岐点です』という謎な文面が。まあ大体わかりますがね。
「嫌です。何なら、この場で退治しましょうか?」
『ほざけ』
「ええ………呪いてあげますよ!」
咆哮と共に、九つの尻尾から自由自在に動くビームを放つテウメソスの狐。全弾命中──とはならず全て彼方へ飛んで行きました。
俺はその横で見ながら、最初の『呪術』を発動する。
「『いんが感性』」
陰と因果の掛け………そして“感性”と“感”情的と特“性”を表すとはフレーバーテキストからの引用。これは『陰が感性』とも『因果感性』とも読めるのが楽しいですね。効果はえげつなく、まず俺と狐さんのHPが同じくらいになって、俺にも狐さんにも『沈黙』『防御上昇』の付与効果がついて、かつスキルが一部封印されます。上から『陰の特性』『陰の感性』『陰の感情』というデバフですね。ちなみに俺にもかかるのは《陰陽師》スキルのアクティブアーツが一つ『人を呪わば穴二つ』というスキルの影響ですねー。Lv2で習得したこれは、相手方から呪いをかけられても同様の効果を示すので便利です。
さて、土俵は同じ。二対一なのでこちらが多少有利ですかね?
「じゃあマリンさん。援護はお願いします」
『了解です!』
妖精姿のピクシーさんに指示を出して、俺は右手に呪符を持って唱える。
「掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば 祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと 恐み恐みも白す──」
『なんだその魔術は!』
魔術じゃないですよ………とはちょっと言えるほどの余裕がないですねぇ。過剰分のMPをHPが請け負ってますからねぇ………チリチリとした地味な痛み。それに耐えて、最後の一言を紡ぐ。
「──《大祓詞》」
戦闘回は文字数が多くなるので結構苦手。無双とかも書ける人は凄いと思います。私が書くとどうもキャラクターが滑稽に見えてきて仕方ないというか……そも私も滑稽な人間だから仕方ないのかもしれないですね。文章は鏡。鑑ではない。
あ、ストックは遂に一つとなりました。佳境なんですけどこれがまた難しい。もう少しゆっくり構成を練りたいので、この投稿以降更新が不定期となります。個人的な理由でホントすいません。
ついでにお知らせ。
第二章第一部の投稿後、メンテナンスと銘打った全体改稿を行います。主な改稿点は描写の追加ですね。描写不足で分かりづらい点もいくつか見られたのでそこらを修正できればと。なお開始日時、終了日時は未定です。
※そういえば本文中最後の詠唱は完璧なコピペですけど大丈夫ですかね?




