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Various World Online  作者: 束白心吏
第一章 βテスト編
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第十一話 生産チュートリアル

《最後です! 生産スキルについてですよ!》

「先生! 今だいたい現在時間で何分くらい経ってますか?」


 ピクシー先生が言うには最後のチュートリアル──の前に、気になることは聞いておかなきゃですよね。俺が聞くと、ピクシーさんは少し考えてから答える。


《ショウさんが『VWO』を始めたのが20時半頃ですから、現在は──まあ22時くらいですね》


 そんなに経っていたんですか、時間が流れるのは早いですねぇ。

 ……まあそれでも充実した時間でしたから、悔いはありません。


《それ以外に聞くことはありませんね? では最後のチュートリアルを開始しますよ? まず生産スキルとは、ショウさんが持っている『料理』や『裁縫』、『育成』が生産系統のスキルに入りますね。

 まず『料理』スキルは……ほぼ現実の技術に依存ですね。まあ無くても大丈夫なスキルです。持っておくと料理の総合評価に補正が掛かるくらいしか良いところないですね》

「先生、総合評価とは」


 ちなみに『料理』スキルがそこまでの不遇スキルとは思っていなかったので正直残念だったり。


《『総合評価』とは、完成した料理にシステムが判断してランクづけをするシステムです。ランクは最低がG最高はSSS……まあSSSをスキル補正なしで出すなんてプロのシェフくらいしかできませんけど『料理』スキルのある場合もしかしたらSSSになるかもしれません》


 わかりやすいです……もう、先生呼びを普通にしてよくないですか? いいですよね。説明が分かりやすいですし。料理スキル習得できて嬉しいです (あつい手のひら返し)。


《『裁縫』も『料理』と同じです。『育成』は……ただ植物の成長速度を早めるだけですね。このスキルを持っているのでしたら『採取』スキルや『調薬』スキルも持っていた方がいいですよ》

「『採取』と『調薬』にはどのような効果があるのですか?」


 俺は『習得可能スキル一覧』を開きながら聞く。

 お、『調薬』と『採取』スキル、ありますね。


《『調薬』は薬──ポーションを作ることができます。所謂『薬師』のようなものですね。

 『採取』は採取ポイントでの採取回数が上がります》

「採取場所はどの様な場所にありますか?」

《何故か光輝いているところです。ちなみにランクの高いアイテムの採取にはスキルが必要です》


 俺はどんどんピクシーさんから情報を得る。

 ありがたいです~。


「あ、『鍛冶』スキルと『採掘』スキルもありました」

《……鍛冶とったらプレイヤーとの会話ほぼなくなりますからね。MMO何でそれはオススメ出来ませんよ》


 そうなんですよね~。俺が自分のために『鍛冶』スキルをとろうとしてるのバレちゃってます。どうしてでしょうね?

 俺はスキルリストを見ながらピクシーさんの説明を聞く。


《『鍛冶』スキルは『器用』依存です。現実で鍛冶をやったことある人は少ないので》

「へ~。俺、やったことありますね。ちょっとだけですけど」

《………だいたいの事やってますね》


 ピクシーさんに呆れた目で見られた。

 いや、これは本当にほぼ未経験なんですよ。ちょっとしかやった事がないですから。


《『採掘』は採取の鉱石系バージョンです。『採取』は植物専門なんです》


 そうですよね。鉱石は『採掘』ですよね。『採取』とは言えませんね。


「それじゃあ、『調薬』と『鍛冶』だけ取ります」

《ポイントが1ポイント余りますけどどうします?》

「使いません」


 言い方変えれば放置です。


《じゃあ何か生産してみますか?》

「はい。『鍛冶』をやりたいですね」

《了解です。では転移!》


 ピクシーさんの言葉とともに、青い光に包まれる。

 数秒したらその光は溶け、周囲の景色は完全に変わっていた。


《さて到着です! ここでは鍛冶を一から行えますよ! 何かやってみたいまたは作ってみたい武器はありますか?》

「おお、でしたら『刀』を作りたいですね」


 俺がそう言うと、ピクシーさんに呆れ顔をされてしまった。


《もう新しい武器が欲しいですか》

「いえいえ、後学のために」


 一体いつ役に立ちますかね? 自分で言っててそう思っちゃいましたよ。

 ピクシーさんも同じような考えをしたのか、眉間にシワがよってます。


《まあ大丈夫ですよ。『刀』の情報を広めれば得するプレイヤーも出てきますしね》

「もしかして俺以外にも『刀使い』がいるんですか?」


 俺はピクシーさんの呟きに反応してしまう。

 だって『刀使い』ですよ? 同じ職業を持つプレイヤーさんがいると親近感湧きませんか? 俺は湧きますけど。


《はい。まあ『刀使い』はもうショウさんしかいませんけど、『太刀使い』はいますね》

「力強そうですね」

《そうですね。結構『力』に振らないと持てませんからね──あ、準備出来ましたよ》


 俺の前に炉や金床などの鍛冶に必要な道具やら設備やらが出てきた。


《凄い。無駄にリアリティーを追求しましたねぇ》

「ピクシーさん。これ本物以上に綺麗ですよ」


 久しぶりに見た炉や鎚にテンションが上がってしまう。

 それにこれは確実に運営(かみ)がこう言ってますよ『刀を打て』と。


《私は鍛冶は管轄外と言いますか、知らないので手出しはしません。その代わりにこの『生産場』のお頭が見てくれますよ》

「よろしく頼む」


 出てきたのはシワの深いお爺さん。

 しかし凄い筋肉をしてますね。ボディービルとかできると思いますけど。


「ショウと申します。今日はよろしくお願いします」

「ホッホッ、何、儂は基本的に見とるだけじゃ。お主の好きなようにやるがいい。

 ちなみに炉の準備は出来ておる。直ぐに作業を始めて構わんぞ」


 それではと、俺は炉の中に鉄鉱石を入れる。

 熱された炉が鉄鉱石に付着している石等の成分を溶かしていく。

 そして半分くらいを純粋な鉄鉱石として抽出。

 残りの半分から流れ出た鉄を抽出。

 次は鎚で熱した鉄を叩く。

 ここが一番印象的な場所ですよね。俺もここだけは覚えてましたよ。鮮明に。

 鎚で叩く度、鉄から火花が散る。これはまだ鉄以外の成分がある証ですね。

 この火花をどれだけ少なくできるかも、腕の見せどころなんですかね? まあ鍛造の決め手ではありますけどね。

 次は成形された鉄を好みの形──今日は刀の形をつくっていく。

 確か刀って二つに折って一つに纏めるんでしたっけ? ………いや朧気過ぎませんか俺の記憶。

 でも確か『こうやって成分を均一化させんだよ』と、祖父が自慢気に言ってた気がしますから、折って纏める作業を行いますけどね。


「ショウ。おめぇさんはナイフでも作るのかい?」


 突然、頭から質問がきた。

 もしかして間違ってました? まあ失敗してもいいです。ログアウトしたらググりますから。


「いえ、俺は『刀』を造ろうとしてるんですよ」

「『刀』……ああ、東方に伝わる片刃の剣か」


 俺は聞きながら金ブラシで表面に張っている膜を落とし、纏め作業をおこなう。

 うん。これであってるのか不安になってきました。

 でも次。繰り返し。そして形を整えたり水に浸けたりして、やっとの思いでできました。


──────────

銘:鉄刀

武器カテゴリー:刀

質:粗

耐久値:20/20

効果

攻撃力+15

説明

異渡人ショウが鉄から造りだした刀。結構重い

──────────


 ふぅ、なんか達成感はありますね。

 質もいいですし、文句はないです。

 ──しかし今更ですけど『玉鋼』使うんでしたよね。まあいいですけど。


《おお、本当に作っちゃいましたね》

「……ほうほう、面白い武器よの。そうじゃお主、『生産場』に来たとき見せてくれ。無料で強化もしてやる」

「はい。ありがとうございます」


 そう言って、頭は消えていきました。

 ピクシーさんの手によって。


 その後も『料理』スキルや『裁縫』スキルも体験したり………まあガチのチュートリアルみたいなモノですね。素材アイテムを貰いました。


「──終わりましたね」

《そうですね。そろそろチュートリアルもエンディングですよ?》


 ですねぇ……しかしチュートリアルはエンディングって言いますかね?

 それはさておいて、とっても楽しかったのは確かです。


《それでは最後に二つだけ。

 この世界のNPCには『意思』があります。

 貴方がこの世界のNPCとどのように関わるのかわかりませんが、横暴な態度はとらないでください………それだけは覚えておいてください。

 二つ目は、『スキル』は進化します!

 それでは! 『VWOβテストチュートリアル』制覇おめでとうございます。

 テスト制覇者には『初心の心得』というスキルを差し上げます! 効果はLv30まで経験値1.5倍です。

 それでは! 『VWOβテスト』の世界をお楽しみください》


 え、最後雑すぎません? 巻いてます? 先生は笑顔で手を振っていた。

 あ、これでチュートリアル終了なんですね……俺は青白い光に包まれた。

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