第百九話 冒険するだけがゲームではないと思うんですよ
「来ないですねぇ」
と、俺。
「来ないなぁ」
と、ヨウゲツさん。
「来ないねー」
と、エラくん。
男三人、海に向かいかれこれ数十分。
ついに一人の男がキレた。
「あー! 何で俺達こんなことやってんの!? ここゲームだぜ? もっと冒険したくね?」
ヨウゲツさんにそう言われ、俺は約半刻前の出来事を思い出す。
一通り買いたいものを買った俺達は商会を出て、男女で別れて行動することになりました。
なおエラくんは男性側でついてきてます。男ですから。
「よし! つまみを探すぞ!」
ヨウゲツさんは意気揚々と街へ駆り出す。
先ほどの店であれほど買ったのにまだ懲りてないと? ふふふ、それはいけませんねぇ。
「それじゃあ駄目な大人は置いといて、子供の俺達は武器屋にでも行きますか」
「うん!」
それじゃあ──と俺達がヨウゲツさんを背に武器屋に行こうとすると、肩に手が。怖。
「おいおいショウさんよぉ………俺達ソウルメイトだろぉ?」
「俺、ノーマルなんで。レギ○ンメイトの間違いでは?」
「某カードゲームの話じゃねえよ!?」
「そういえば『WF』がVRの無料アプリを公開したらしいですよ」
「え? マジ? 後でやろうぜ──って、話をそらすなよ!」
………話題逸らしは失敗ですか。
しかしこれ以上つまみを買われても──というか俺達未成年なので飲めませんし、お茶に合いそうな菓子も買いましたので必要ないんですよね。
しかしやはり、目的の品の量が少なかったことに憤る、その勢いで明らかに面倒な討伐クエストまでちゃっかり受けたヨウゲツさん。俺達を巻き込む気満々でした。
「さあ! 釣りじゃ釣りじゃー! 害悪は天誅なり!」
「そう簡単に釣れる訳ないじゃないですか」
「ちくしょお! 無駄にリアルに作るなよ『WF』ぅ!」
三つのウキが波に揺られプカプカと漂うサロニコス湾の一角。
ヨウゲツさんの叫びがこだまし、市民の皆様から冷たい視線を向けられてます。
「そもそもヨウゲツさん。俺達より──」
俺は隣を見る。
目的の魚ではなく、普通の釣竿で何匹も釣るエラくん。
「彼にボス釣ってもらいましょうよ」
「? あ、また来た!」
エラくん。数分に一度は釣ってます。
いえたぶんこれ、『運』が影響してますよね?
俺もヨウゲツさんも振ってないですからねぇ………。
「ねえアキ──ショウ兄! これ調理してよ!」
「いいですねぇ」
魚料理は好きですよー。
燻製に塩焼きに炭焼き………刺身もいいですが──
「ギリシャ風の魚料理ってのも気になりますねぇ」
「お、それは俺も食わせてもらっていいか?」
もちろんですよー。
俺は再びウキに集中する。
………。
………………。
………………………。
「来ませんねぇ」
一旦素針を引き、もう一度。
やっぱ距離が近いのがいけないんですかね?
でもボスですしねぇ………色々試しましょう。
「ショウ。何かしらを始めるようだから言っておくが………現実の釣りで使えるテクは全て意味がなかったぞ」
「………なら、このゲームならではの方法を模索しましょうか」
とはいえそれって、ほぼ一つしかないですよねぇ。
試しに俺は釣竿に魔力を流す。
んー、糸にまで流すのは中々疲れますねぇ。
「──! おいショウ! 来たぞ!」
俺は一気に引き上げようとして──重た!?
「ちょ、ヨウゲツさん! ヘルプ!」
「おう! 待ってなぁ!」
ヨウゲツさんと共に引っ張る。
重た………っけど、無理とまでは………!
限界まで力を入れ、釣り上げた魚は宙を舞う。
「「──はぁ!?」」
思わず素っ頓狂な声を出す。
けれどそれくらいの驚愕をしたんです──
──宙を舞う。巨大なシルエットに。
すいません忘れてました許してつかぁせぇ。
ま、書き貯めもなくなる寸前なんですけどね! だから細かく章を分けたという黒歴史レベルの裏話 (笑)




