第百八話 一番の特権?
「あ、あのっ! お助けいただきありがとうございます」
崩れた荷台に隠れていた栗色の髪の少女が出てきて、俺たちに礼をする。
あー、クエストが続いているんですねぇ。
「いえいえ、お怪我はありませんか?」
「は、はい………」
まあ回復も何も出来ませんが。
怪我も無さそうでなりよりですね。挙動不審ではありますが………あの皆さん? 何ですかねそのジト目。視線だけじゃ何言ってるかわからないですよ?
「奥様見まして? あの子ったらまた無自覚に………」
「ええ見てましてよ。全くまたライバルが………」
「ガチでわからないので井戸端会議は止めてくれませんかねぇ!?」
まあ俺もからかう時はやりますけどね? 人のことを言えないですね。
………さて、真面目にやりますか。
「よろしければ、私の祖父の店に寄って行きませんか? お安くしますよ?」
「う、これは迷いますね………」
どうします? とヨウゲツさんに視線を向ける。
「消耗品も少なくなってきたし、食料品も売ってるんだよな?」
「はい! 衣類から食料品まで、幅広く扱っていますよ!」
スーパーマーケットですか。大型の。
まあそれはさておき、決定ですね。
俺達は商人の少女に連れられ、『ピレウスの街』へと入っていった。
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「おお! 娘を助けてくれたとは………改めて礼を言わせてくれ」
………茶々入れるようで誠に申し訳ないのですが、クエストってまだ続いているんですかね?
お店の奥、応接間にて俺は思う。
いえ不満とかでなく。普通のクエストでこんなイベントあるとか力入れすぎじゃないですか? 最高ですが。
「恩人達。この商会の系列店で物品を買う時は安くするよう皆に言っておこう。メタ・メトイコスの名に誓おう」
「わ、私の名前にも誓います!」
そう言って、二人は紙に何かを書く。名前ですかね?
書ききったのか、メタさんは紙を掲げる。
すると紙は光だす。眩しいです。
「ここに『メトイコス商会会長』メタ・メトイコスは誓う!」
「こ、ここに! アマリア・メトイコスは誓います!」
俺は紙をよく見る。
眩しくて見えにくいですが………あー、これあれですね。俺達の血、必要なやつ。
「ではここに、あなたがたの血を垂らしてください」
はい。俺は差し出された針を指に刺す。
おお、本当に血が出てますよ。凄いですね。
俺に続いてヨウゲツさん。トアちゃんシロさんツキちゃんの順に針を刺す。
そして紙に血を着ける。
「これで、皆様も私達の契約が出来ました。是非とも、我が商会を贔屓していただけると助かります」
「商魂逞し!」
誉め言葉です。と、メタさんは笑う。
ヨウゲツさんも困惑。『皮肉です』とは言いづらい雰囲気ですねぇ。
彼らにも元ネタ……というか名前のモチーフとなった神様がいたりするのですが思い出せないです。たぶん商業神なのですが。




