第百二話 異常者の異常な戦闘
「うーん………確実に初心者向けでないフィールド」
「まあなぁ………」
意味深な返答をするヨウゲツさんはさておき、俺達は西に広がる大地。フィールド名『タブロス』を南西に直進する。
目指すはピレウスの中間にある街。カリテア。
ちなみにカリテアはピレウスの東側にある街なので、経由する場合はピレウス直進ルートから大幅に外れます。
そしてピレウスとカリテアの間には『モスチャット大草原』という面倒で広大なフィールドを横断する必要がありまして………。
「んじゃ、ちょうどいい敵さんもいましたし、お手本どーぞ!」
「誰行きますー?」
そこで戦闘の練習でも、と。個人的には装備が整ってるシロさんがいいと思うのですが………そういえば何故に整っているのでしょうか。
………チュートリアル、ぶっ飛ばしました?
「んじゃあショウやれよ」
「はぁ………では、やらせていただきます」
俺は謎の人──神からもらった札を取り出す。
どうせ、魔力で書く──いえ、書けるんでしょう?
想像通り、魔力を指に集中させ札へ向けると、選択肢が思い浮かぶ。
──そして『詠唱』も。
「《風の精よ・風の弾にて・敵を射ろ》」
札に模様が浮かぶ。
どうやら、言葉にすれば魔力が吸い上げられるようで。MPも少し減りましたね。
そんな考えも束の間。魔法は発動し、たまたま近くいたターゲット──プロブレーマヘローナに直撃。
………まあ陸亀ですし、何か怒って突進してきますし。
俺は抜刀術の構えを取る。
目を閉じ、息を吸って──吐いて。
目を開けると、もう陸亀はすぐそばに。
反応もできずに、俺は陸亀の突進を受ける──
「はい。終了です」
──理由がありませんね。
「「「「「は?」」」」」
俺は陸亀の横から首を断ち、プロブレーマヘローナをポリゴン片に還す。
んー、どうやら傍観者にも効くようで。
「これ、パーティー戦闘では使えないですねぇ」
『え? ショウさんってパーティー組むんですか?』
痛い所を………そういえば、皆さん静かですねぇ。
ふと皆さんのほうを向くと、先ほど亀を倒した方角を見てあんぐりとしている。
「いや………は? 何したの?」
ヨウゲツさんが驚きの声を上げる。
いやはや、人を騙すのって結構面白いですねぇ………。
「どうしたんですか? 狐につままれたような表情してますが」
「………あ、お前狐か………天職ならぬ天種族じゃねえか」
「あんまうまくないです」
点を上げるなら8点。もちろん100点満点中8点。
天種族って………なんか天使族とかいそうですよね。
「………で? ショウ。さっきのは?」
シロさんが不思議そうに問いかけてくる。
他のヨウゲツさんとピクシーさんを除いた三名も同様に、不思議そうな、知りたそうな顔をしている。
………ふふふ、そんな顔されたら──
「秘密です♪」
──って、言っちゃったじゃないですか。
さて、それじゃあレベリング頑張りますか。
■■■■
少しとどまりレベリング兼バトル練習を始めて早数分。
あー、俺の初戦闘って結構スパルタだったんですねぇ。
現在俺のLvは5。
SP50にBP20と結構溜まりました。
SP6使って《鑑定》と、20使って《祝詞》。面白そうなので10使って《天文学》を習得。ついでに《風魔法》と《体術》も。
これでSP14。取っておきます。
ちなみに《剣》スキルのレベルが1つ上がっており、新アーツを習得できるそうですが………うーむ。『アトリビュート・ソード』か『ソード・アップ』か………悩みどころですねぇ。
前者が属性付与で後者が剣攻撃の全てに補正………今回は『ソード・アップ』にしておきますか。
あー、カウンターアーツまだですかねー。
ちなみに《風魔法》は『風流』という風を送るアーツを。《体術》では『打拳』という殴るだけのアーツを習得しました。
ついでに《感知》スキルもレベルアップして現在3。
レベル2で感知領域が5メートルまで広がり、3では10メートルくらいまで広がりました。
………それじゃあ、レベル1は2.5メートルくらいですかね? 四捨五入して3メートル? まあいいですけど。
ちなみにこれもアーツらしく、現在『感知領域Ⅲ』となっています。
「──まあ、これくらいか?」
「お、早いですねぇ」
いつの間にかLv5になっていたヨウゲツさん。
エラくんも3ですし、そろそろ行きますか。
………その前にBP振り分けて、と。
いつも通りSTRとAGIに………ではなくSTRとINTに9ずつ。AGIに残りを投入。
シロさんはLv6になり、ツキちゃんトアちゃんは4に。
んー、なんか強いですね。まあいいですけど。
「それにしても、思考が単純すぎる………」
「ははは………ボスに期待だな」
ヨウゲツさんが苦笑する。
しかしまあ、仕方ないのでしょうかね。単純な攻撃なのは。
まだ低レベルの敵ですし………回避または防御特化の面倒な敵はどこに。
「それよりショウのスキルが気になる………」
「プライバシーの侵害ですよ?」
そう言うと、何故かシロさんとピクシーさんが反応する。
………どうしました? というかピクシーさんが反応する理由がわからないです。
「まあ、気ぃ取り直して、そろそろ行こうぜ?」
「ですねー」
そういえば《料理》スキル。まだ使ってないんですよねぇ………街についたら、食材買って調理してみますかね。




