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リオンとユインの籠作り

狼の獣人の村にいた頃の話です。

 グリフォンの兄弟、リオンとユインは何かを作ったりすることが好きだ。この狼の獣人の村に到着してからも多くのものを作っている。

 以前作ってくれた木の枝と紐を使った置物だけではなく、他のものも作っているのだ。ひそかに私はリオンとユインがどんなものを作るかというのをいつも楽しみにしていたりする。



「今度は、何、作ってる?」



 リオンとユインが二人そろって、歌を歌いながら何かをしているのを見て私は近づいた。こうやって機嫌が良い時は、大抵二匹は何かを作っているのだ。リオンとユインは仲良しな兄弟で、いつも二人でものづくりに励んでいる。



「ぐるぐるるるるる(籠を編んでるんだよ)」

「ぐるぐるぐるるるるる(それぞれで作ってるんだ)」



 二匹は器用な事に、前足を使って木の籠を編んでいた。これは獣人たちがやっていたのを真似しているようだ。それにしても上手でびっくりする。



 グリフォンたちの中でも器用さはそれぞれ違う。

ユインとリオンはこうして楽しそうに籠を編んでいるけれど、他のグリフォンたちはこうはいかない。特にレイマーは戦闘は得意だけど、細かい作業は苦手なようで、こういうことをやっているのを見たことがない。

 ユインとリオンの母親であるワノンが得意なところを見るに、血筋なのかなと思う。レマとルマもこういうことをするよりも遊ぶ方が好きみたいだし。



「二匹とも、上手」



 私がそう口にすれば、二匹は「ぐるぐるっ」と嬉しそうな声をあげた。



 私も教わって籠を作ることもやっているけれど、私より上手だと思う。籠は生活の中で使えるものだし、作ってもらえれば皆も喜ぶ。戦闘面だけではなく、こういう所でも村の役に立っているグリフォンたちが凄いなと思う。

 私も出来ることを少しずつ増やしているつもりだけど、グリフォンたちほどこの村の役には立てていない。とはいえ、私の家族がこれだけ凄いのだと思うと嬉しいという気持ちの方が勝っている。




「一緒に、やってもいい?」

「ぐるぐるっ(もちろん)」

「ぐるっぐるるるっる(一緒にやろう!)」



 二匹が作っているのを見ていたら私もやりたくなって、二匹の間に座り込む。そしてユインとリオンに習いながら、木の枝を編んでいく。時折、二匹が「ぐるぐるるるる(こうしたほうがいいよ)」などと教えてくれる。



 先に作っていたユインとリオンの籠が出来上がった。とても綺麗に出来ている。二匹は私が籠を編み終わるまで傍にいてくれた。編み終わった籠は、ユインとリオンが作ったものよりは不格好だったけれどもなんとか形になっていた。



「二匹とも、凄い」



 そう口にしたら、ユインとリオンはまた嬉しそうに「ぐるるるっ」と鳴いた。



 出来上がった籠をアトスさんのところに持っていけば、「ありがとう」と笑って私の頭を撫でてくれたのだった。





 こうしてユインとリオンと一緒にものづくりをすることも楽しいなと思ってならない。


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