01-6
「って、今転生者って言った?」
『ああ。俺、この世界に来る前は、地球でサラリーマンだったんだ。』
「で、今は二次元のマスコットキャラ万歳な萌え狙いの毛玉と。」
『ちょっ、言い方!!』
毛玉の転生者の言葉に、エルミアは少し遅れながらも反応した。
サラリーマンと懐かしい言葉よりも、地球に生まれながら、転生したのち人間ではなく、マスコットな魔物化してる事にツッコミが入る。
本人は姿に不服しかなく、尻尾で地面を叩いてるが正直怖くない。
そんな愛らしいキャラが出てくる物語は、いくつか見ていたため、ふと誰もが羨むシーンをふと思い出した。
「その姿なら、アニメでよくある、きょにゅーにダイブするやつ、できるんじゃない?」
『そ、それは良いな……』
意外とチョロい性格と判明した。
目の位置から考えて、頬と思える位置がピンクになり、生唾を飲んだ。
中身はしっかりと男だった、やっぱり見た目詐欺だ。
「抱きしめられてないの?」
『ちょーと、そんな状態じゃなくてな。』
「状態?」
『ちょーと妖怪騒ぎが……』
「…………ツッコミ入れたら良い?」
『言いたい事はわかる、うん。』
つい、冷めた目で毛玉を見てしまったエルミア。
魔物や人外種族が、そっち系を怖がるものなのか?
日本のホラーは他国から見たら怖いと、いつぞやのメディアで見たのを、エルミアは思い出した。
と言うよりも、一番気になる疑問は別の事だ。
「妖怪って、こっちの世界にもある言葉なの?」
『いや、俺がそう言ってるだけだ。』
「…………おい、そこのマスコット毛玉。」
『しょうがないだろ、生前霊感のれの字も無かったんだから! 幽霊だの、妖怪だの、一般ピーポーにはわからねーよ!』
「それもそうだ。」
久しぶりに聞いた言葉に、エルミアは頷きながら立ち上がった。
モンスターでゴースト種もあるため、誰でも見えている感覚になっていたが、地球の感覚で普通に考えたら、幽霊が見えないのが一般的である。
「感覚のズレって怖いねー。てか、妖怪なら斬れば良いじゃん、戦えるだろ。こっちだと、魔物とも言えるんだけど。」
『ゴブリンやゾンビより、幽霊の方が怖いわ!』
「肉体がある種族と比べるな。」
幽霊=妖怪と思っているのか、ゾンビと比べられている。
物理的恐怖より精神的恐怖の方が怖いらしい。