ゼオン大陸冒険記
ブリック:戦士。斧を振り回す38歳。
ゾーム:神官。巨大なメイスを振り回す56歳。
マゼンタ:魔女。本名は誰も知らない。雷を扱う25。歳。25○歳。うん。
パック:サーチャー。苦労人、弓とナイフはお手の物。でも………な44歳。
[うるぁぁぁぁぁぁあ!]
青々とと繁る森に爽やかな日差しが差し込む朝7時。
[ぬぅぅぅぅん!!]
そんな爽やかな朝に似合わない怒号が響き渡る。
マゼンタ:「ちょっと煩いわよ!あんた達!」
赤紫色のローブを纏った女が叫ぶ。年は25位だろうか、見目麗しく深紫の髪は膝丈位まであろうか。
ブリック:「ジジイがつまみ食いすんだよ!このクソジジイ!」
身の丈190はあろうかという筋骨隆々の大男が、レースのエプロンをつけたまま手斧片手に相手を睨む。
ゾーム:「ベーコン一切れ位でガタガタ言うな若造が!お主の飯炊きは遅すぎる!」
50は過ぎただろうかという経験豊富そうな神官は、ベーコンを口に加えたまま、おおよそ神官に似合わない巨大なメイスを地面に叩きつける。
パック:「ま、いつもの朝でさぁな」
無精髭をはやした男が弓をしまいながら、ボサボサと髪を掻き、木ノ上からやってくる。
中年位の猫背な男は女が出てきた豪華なテントの前にドッカリ座る。
ブリック:「ベーコン返せ!ジジイ!」
ゾーム:「うるさいわい!」
マゼンタ:「そんなベーコン鍋に入れたら殺すわよあんたら!」
パック:「はーあ…」
清々しい森に響き渡る怒号の数々
鳥も獣も呆れて逃げて行く…
ブリック:「ほらよ。飯だ。ジジイはベーコン抜きだ。」
ゾーム:「なんじゃなんじゃまたやるのか若造が」
マゼンタ:「もういい加減にして。町にはまだつかない、お風呂には入れない、ご飯は塩気が多い、後そのエプロン気色悪い。」
ブリック:「うるせぇ!飯作るときはエプロン。正装だろうが」
パック:「だからって…レースのフリフリは無いだろうよ…」
ブリック「いいから食えよ!」
マゼンタ:「パック、町まで後どれくらいなの?」
パック:「んー…夕方には着くかな。見回したけど特に問題は無さそうだからよー」
道から少し離れた森のなかに夜営した彼らは、朝食を食べ終えた後、移動の準備を整え、街道を歩き出す。
ブリック:「マゼンタよぉ…俺の鍋なんかも魔法で収納してくれよ…あんな立派なテントも入るんだからよぉ…」
マゼンタ「い・や・よ!」
ゾーム:「若造は足腰鍛えろ。そんな体格してるくせにメソメソするな」
ブリック:「ジジイてめぇミンチにするぞ!」
ゾーム:「なんじゃなんじゃやるのか?」
パック:「前見て歩けよ…ったく…」
ブリック:「…んでよ。後ろから着いてくるお前らは何か用か?」
ザザザッ!!
ブリックがそう問いかけると茂みから十数人のボロボロのフードを被った男達が現れる。
ナイフや斧を構えながらブリック達を取り囲むように近づいてくる。
ゾーム:「野盗か。パックお前、「問題は無さそうだ」とかなんとか言って無かったか?」
パック「あん?なんも「問題は」ないだろ?」
ジリジリとにじりよってくる野盗達を眺めながら鼻で嗤うパック。
野盗達の殺気が高まった瞬間
ブシュゥゥゥ!
頭目とおぼしき男の首が落ち、血しぶきを上げる。
殺気が高まる一瞬、ブリックが駆け抜け相手の首を落とす。
何事かと理解するまもなく、12人の野盗は矢で足を地面に縫い付けられる。
いつの間にか木ノ上にいるパックの早業である。
動けずもがく野盗達に稲妻が襲いかかる。
マゼンタ:「まとめて黒焦げね。ブリック。あなたのベーコンより良い焼き加減じゃなーい?」
冷たく微笑む彼女の魔法で黒焦げにされた姿は、矢で縫い付けられたまま彫像のように動かなくなっていた。ただ一人を除いて。
野盗:「た、助けてくれ!悪かった!」
失禁しながら赦しを乞う野盗にゾームが近づく。
ゾーム:「お主…わしらが助けてくれと頼んだら、なにもせず見逃したのか?面白い盗賊じゃな」
野盗:「頼む!助けてくれ!助け…」
グチャッ!
巨大なメイスに潰され、無惨な姿になる。
ゾーム:「神はお赦しになるだろう。汝らの罪を赦す」
パック:「赦してねーんだよなぁ…いつもいつも…」
ゾーム:「わしが赦すのではない。神が赦すのだ。わしは神の御前に送るのみだ」
パック:「へいへい…お勤めごくろうさんです」
マゼンタ:「さっさといきましょ!」
何事も無かったように歩き出す4人。
しばらくして町が見えてくる。
ブリック:「やっと着いたな…」
パック:「ほらな?夕方には着いただろ?」
マゼンタ:「そんなの良いから宿!早く!」
ブリック:「後、飯だな」
ゾーム:「教会にいかねば」
パック:「はいはい…好きにしてくれ…」
一同は町に入っていく。
ここはアスタット。ヴァイン公国アスタット伯領、アスタットの町。
閲覧していただきありがとうございます。