詩を書く人へ
ここ「小説家になろう」のサイトには、毎日たくさんの小説が投稿されますが、その中には詩も多く見受けられます。しかしその多くが、評価を受けずに埋もれていっています。
本ページを開いてくださった方は、詩作をなさる方でしょうか。恋の詩を書いていらっしゃる? それとも孤独を? 苛立ちを? そして、プレビューやポイントが伸びないことで悩んでいらっしゃるのでしょうか?
残念ながら、プレビューやポイントが伸びないのは、あなたの詩が良作でないからという理由だけではありません。ましてや、テーマが悪いわけでもありません。では、どんな理由からか? おそらく、意識的であれ、無意識的であれ、多くの方がご存じのはずです。
昨日、筆者は近所の図書館でとある詩集を借りました。無名詩人のものではありません。高名な詩人の作品集です。おととし刊行され、昨年その図書館に配架された、比較的新しい本でした。しかし、それにしても綺麗すぎるのです。紙折れが見当たりません。手垢もありません。まるで売り物の本のように、ぴしっと行儀よく、書架に正座していました。
いかがでしょう。詩をめぐる環境について、お心当たりがありませんか? 詩を書いているというあなた。あなたの本棚には、いったい何冊の詩集が収められていますか?
拙文を読んでくださっているあなた、あなたはきっと、より深い感動を伝えることのできる詩を作りたいと願っておいででしょう。しかし、あなたは今までどれだけの詩を読み、そこから感動を受けてきたのでしょうか。
なろうに限って言えば、どれだけの詩を読み、どれだけ評価し、感想を書いてきましたか。それが、プレビューやポイントの伸びない理由です。
リアルで言えば、どれだけの紙の詩集を購入し、自分の血肉としてきたでしょうか。それが、「詩がお金にならない」と言われる所以です。
詩を書く人は、良質な詩を読みましょう。当たり前のことです。小説においても同じ、小説を書く人は、良質な小説を読みましょう。小説であれば、書くために読む人はたくさんいます。それが詩となると、途端に読み手がぱったりといなくなってしまう、そんな印象を持っているのは、筆者だけでしょうか。
良質な詩を求めるのであれば、手っ取り早く、商業作品たる市販の詩集を購入して読むことです。もちろん、図書館で借りるのも良いですが、対価を支払って読むほうが、身になります。そして詩作をめぐる環境の改善にも寄与することとなります。WEB上の詩作品の全てが悪いとは言いませんが、やはり玉石混交です。WEBから良作を探すよりは、名作と呼ばれる詩集から手を出す方が、時間を浪費せずに済みます。
そうして良質な詩の雨をたっぷりと浴びた上で、WEB上で参考となる詩を探すのは、悪手ではありません。ただ、その場合は用いうるあらゆる手段を使って、作者に対して返答を送りましょう。なろうでは、便利な評価システムがあります。しかし、できれば感想を送るのが一番です。そしてほかの方にも見てもらいたいと思えるような作品であれば、詩であろうとも積極的にレビューを書きましょう。
感想を書くのが難しいですか? レビューを書くのが難しいですか?
詩の書き手が、詩の感想を書けないんですか。詩の書き手が、人に詩を勧められないのですか。
自分が、詩の書き手であることにどうか誇りを持って、その誇りに見合う行動をとってください。詩の感想を書くことは、自身の詩作の豊饒な土壌となります。どうか恐れないでください。
そして、自らが詩の書き手であることをどうか恥じないでください。詩作をすることが、多分に自己愛の強い、偏執的な趣味であると受け取られる場合もありますが、どうかそれを恥じないで。いえ、恥ずかしい行為であるのに違いはありません。詩作は、他人の前で服を脱ぐも同然の行為なのですから。でも、そこで委縮しないでください。堂々としていてください。
どうか、強い詩人であってください。そして、自分が詩の世界を支えるんだという気概を持って、他の詩人が詠んだ詩に、真剣に向き合ってみてください。そこから、詩の再興が始まると信じています。