新世界連合軍参戦篇 第4章 宣戦布告と日ソ不可侵条約破棄
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
日本共和区統合省庁舎地下に設置されている国防司令センターに、統合大臣の加藤茂以下、各庁局の長官たちが、席に腰掛けていた。
統合幕僚本部長の、本財保夫陸帥の姿もある。
日付は、3月31日に変わっている。
昨日、3月30日。
イギリス空軍と、アメリカ陸軍航空軍の戦略爆撃機部隊による、本土空襲が行われた。
イギリス空軍の戦略爆撃機部隊は、沖縄県那覇市にある菊水総隊航空自衛隊の施設である那覇航空基地に配備された、F-4EJ改隊が迎撃した。
東京空襲を行ったアメリカ陸軍航空軍の戦略爆撃機部隊は、破軍集団航空自衛隊のF-22UJとF-35Jが迎撃した。
「現在までの、被害状況です」
統合省総務庁消防局長官が、立ち上がった。
「戦略爆撃機及び戦術爆撃機は、大日本帝国軍事施設及び統合省防衛局自衛隊の施設を空襲しましたが、少数の爆撃機が民間の工場を空襲しました。空爆された工場のほとんどは、武器、兵器を量産する施設でしたので、爆撃により、火災炎上中です。水神団特別消火隊が主体となって、消火活動を行っています。工場に勤めていた工員救助のために、ハイパーレスキュー隊とスーパーレスキュー隊が、救助活動を行っています」
「事態は大規模災害に相当すると判断し、緊急医療チームを編成し、現地に出動させました」
統合省厚生労働局長官の野口健が、口を開いた。
「現段階で確認されている、死亡者は?」
加藤の質問に、保安局長官の白河勤が書類を片手に報告した。
「死者は55人、重軽傷者121人です。しかしこの数字は常に変わっていますので、現段階は不明です。この書類も3時間前ですから、もっと増えているでしょう」
白川の報告に、加藤は腕を組んだ。
「陽炎団警備部災害対策課特殊救助隊の状況は?」
加藤の報告に、白川が報告する。
「応援部隊として緊急出動し、ハイパーレスキュー隊と協力し、救助活動を行っています」
「外務長官。帝国政府からの発表は?」
統合省外務局長官の、小関信男に顔を向けた。
「近衛首相が、緊急の記者会見を開き、連合軍による本土空襲を、発表しました。陸海軍大臣も、それぞれ記者会見をしまして、詳しい状況を説明しています。それと、内務省が警保局経由で、全国家地方警察本部と自治体警察部に警戒態勢を強化するよう指示しました。これが、詳細になります」
小関が、スタッフに資料を配るよう指示した。
配られた資料には、国家地方警察本部警備隊と、自治体警察部予備隊を全力出動させて、交通機関、公共機関等の秩序維持に努めさせて、国民に秩序ある行動を呼びかけていた。
これだけでは無く、保安庁警察予備隊にも、出動命令が出た。
「防衛長官。連合軍からの、次の本土空襲に備えた防衛対策は?」
加藤は、統合省防衛局長官の、村主葉子に顔を向けた。
「菊水総隊統合防衛総監部監督下で、帝国本土に配備している陸海空自衛隊に、臨戦態勢が指示されています。上空警戒活動中の早期警戒機及び早期警戒管制機の数を増やし、空の守りを固めます。本土攻撃の再攻撃を想定し、海上警備行動、対領空侵犯措置では対応の限界と判断し、常時防衛出動命令状態を発令しました」
防衛出動は、開戦当初から発令されているが、連合軍からの攻勢の可能性低い場合は、外交的配慮で海上警備行動と対領空侵犯措置が命令されている。
しかし、これらの自衛隊の行動では対応が困難であると判断された場合、現場指揮官による命令又は防衛局長官の命令により、防衛出動にする事ができる。
「長官!」
統合省外務局官房長が、小関に耳打ちをする。
「何だと!?」
小関が、声を上げる。
「どうした?」
加藤が聞くと、小関はうろたえた状態で、官房長が報告した内容を伝えた。
「先ほど、大日本帝国のソ連大使が、大日本帝国外務省に宣戦布告書を提出しました」
小関の報告に加藤以下、各庁局長官たちは、爆弾が炸裂したかのような騒ぎになった。
「宣戦布告・・・」
加藤が、つぶやく。
つまりソ連は、日ソ不可侵条約を破棄し、大日本帝国に、宣戦布告をしたのである。
「村主長官!」
今度は、防衛局官房長が、村主に報告した。
防衛局長官官房長の報告に、村主の表情が変わる。
「大臣!」
「今度は、何だ?」
加藤は、嫌な予感を感じながら、村主の報告を待つ。
「北サハリンに駐留するソ連軍地上軍4個師団が、南樺太に侵攻しました」
この報告に、各庁局の長官たちは、立ち上がった。
「4個師団だと!?」
「想定と、違い過ぎるじゃないか!?」
「どうなっているのだ!?」
「防衛局に届いた情報によると、ソ連軍地上軍4個師団が、本日の午前1時丁度に南下を開始、国境警備についている内務省警保局直轄の国境警察隊の抵抗を排除し、国境線を突破しました」
村主は、冷静に報告する。
「どこからの情報だ?」
加藤が、そこまでの詳細な情報は、どのようにして入手したのか聞いた。
「南樺太に配備しています。南樺太監視隊からの報告です」
防衛局長官直轄部隊陸上自衛隊の麾下部隊に、沿岸監視隊がある。
南樺太監視隊は沿岸監視部隊では無いが、監視部隊の1つとして編成されている。
情報科部隊と通信科部隊で編成された樺太監視隊は、ソ連領の北サハリン地区の通信傍受と、目視による監視を行っている。
「それと、ソ連軍地上軍だけでは無く、空軍にも出動命令が出ており、南下中のソ連軍地上軍は、空軍の上空援護下で、侵攻しています。そのため、南樺太監視隊長の判断で、分屯地を放棄、資材等は、すべて爆破したとの事です」
「・・・コストが・・・」
統合省財務局長官の出雲武が、放心したように、つぶやく。
「待って!」
統合省副大臣の白井由美子が、声を上げた。
「国境警備に、陽炎団警備部国境警戒隊が、配置されていたはずです。彼らは、どうなりましたか?」
白井の質問に村主は、「不明です」と答えた。
「白河長官」
加藤が、白河に顔を向ける。
「確認します」
白河がそう言って、保安局官房長に振り返ると、スタッフが、保安局官房長に耳打ちをしていた。
「長官」
保安局官房長が、白河に報告する。
「わかった」
白河はうなずき、各庁局長官たちを見回す。
「先ほど、陽炎団を経由して、警察総監部から報告がありました。南樺太の国境に配置されていた陽炎団警備部国境警戒課傘下の国境警戒隊は、ソ連軍地上軍の侵攻に対し、持てる火力のすべてを投入して、強固に抵抗しました。しかし、戦車や装甲車で固められた部隊には遠く及ばず・・・最終的に、隊長判断で、降伏しました」
「「「・・・・・・」」」
その報告を聞いて、加藤たちは、言葉を失った。
国家元首であるヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリンが、行方不明だといっても、ソ連が崩壊した訳では無い。
捕虜についての扱いは、各軍管区で様々である。
情報では、極東軍管区での捕虜に対する扱いは、劣悪なものでは無い。
しかし、収容所に入所させられるのは、変わらない。
菊水総隊統合防衛総監部が置かれている、長野県松本市にある松本駐屯地の駐屯地業務隊舎の地下にある司令部会議室に、3人の陸海空総監と、その幕僚たちが詰めていた。
「ソ連大使が、外務省に宣戦布告書を提出した15分後に、北サハリンに配備されているソ連陸軍極東軍管区第16軍が、南下を開始しました」
統合防衛総監部陸上総監部情報部長である、1等陸佐が報告した。
「国境警備として配備されていた、内務省警保局国境警察隊と、陽炎団警備部国境警戒隊が、強固に抵抗しましたが、半自動小銃及び自動小銃等の個人携行火器レベルの武装では、戦車部隊や装甲車部隊等で編成された機甲部隊、機械化歩兵部隊、自動車化歩兵部隊には敵う訳が無く、壊滅又は降伏しました」
国境警備という事もあり、国境警察隊は、陸海軍で導入されている一式半自動小銃が導入されている。
樺太国家地方警察本部に所属する警察官全員にも、一式半自動短小銃が導入されている。
他地方の国家地方警察本部は、警備隊を除き、一般警察官には、三八式手動装填式小銃やイ式手動装填式小銃が導入されているのに対し、陸上の国境がある樺太国家地方警察本部のみ、警察としては珍しく重武装だ。
国境警察隊及び樺太国家地方警察本部警備隊には、半自動小銃だけでは無く、軽機関銃も導入されている。
「陸軍は?」
「南樺太に北部に配備されている第11独立機甲旅団は、臨戦態勢に入っておりましたので、麾下の戦車聯隊、機械化歩兵聯隊等の戦闘部隊が、全力出撃しました」
第11独立機甲旅団は、陸軍で編成された3個機甲師団と別に編成された、機甲部隊である。
旅団編成であるため、師団程の規模は無い。
1個戦車聯隊と1個機械化歩兵聯隊、砲兵部隊、工兵部隊等で編制された1個機甲旅団である。
戦車聯隊も主力戦車で編成された中隊が1個、汎用戦車及び支援戦車で編成された戦車大隊が2個で編成されており、戦闘能力は極めて高い。
「南部に配備されている、第88歩兵師団にも非常呼集が出され、出動準備中との事です。第30警備隊も、常設部隊の警備隊に非常呼集が出され、非常設部隊の特設警備隊に防衛招集命令が出されました」
第30警備隊は、他の軍下で編成されている警備旅団と同じく、鉄道等の部隊展開等に必要な交通網等の後方を警備、防衛をするのが目的だ。
そのため、常設部隊は、1個ないし3個の警備大隊が編成され、必要に応じて、特設警備隊を編成して、警備大隊の補助等を行う。
特設警備隊は、陸軍予備軍に所属する予備役兵では無く、補助兵である。
補助兵である以上は、軍事教練も最低期間で、戦闘部隊として使う事はできない。
あくまでも、兵站の防衛及び警備が、主任務である。
「機甲旅団はともかく、第88歩兵師団は軽戦車や中戦車で編成された戦車大隊と自動化歩兵聯隊が3個の歩兵師団。そして、旧式小銃で武装された陸軍籍の民兵で編成された、第30警備隊では、ソ連軍とは十分には戦えないのでは無いか?もしも、南部方面の沿岸部で上陸作戦が行われたら、どうする?」
海上総監の篠野真人海将が、口を開く。
「第11独立機甲旅団は、61式戦車改、一式汎用戦車、一式支援戦車で編成された戦車聯隊と、60式装甲車改で編成された機械化歩兵聯隊が1個ずつあるが、第88歩兵師団は、一式中戦車と九五式軽戦車で編成された戦車大隊が1個、自動車化部隊である歩兵聯隊が3個、さらに常設警備大隊と非常設警備大隊で編成された第30警備隊がある。兵力だけで言うのなら、4個師団程度の南下は、これだけで阻止する事は可能だが、上陸作戦が行われたら、南樺太の防衛は困難だ」
陸上総監の御蔵隆陸将が、説明する。
「南樺太に駐屯する、第11機動旅団の状況は?」
航空総監の小川俊空将が、聞く。
「南樺太防衛の先任指揮官である峰木十一郎中将が、ソ連軍が国境線を突破した事を知ると、第11機動旅団司令部に、防衛出動要請を出しました」
「旅団長は、要請による出動を承認し、麾下部隊に出動命令を出しました」
情報部長が、説明する。
「防衛部長。第11機動旅団の部隊行動について、報告してくれ」
統合防衛総監部陸上総監部防衛部長の1等陸佐が、南樺太の配置されている第11機動旅団の配置図を、端末機に表示する。
「第11機動旅団は、第10即応機動連隊を南部に、第11戦車隊と第28普通科連隊を北部に配置しています」
第18普通科連隊は、北方領土の防衛部隊として配備されている。
「細かな部隊運用は、第11機動旅団司令部で議論されますが、基本的な部隊運用は、ソ連軍陸軍戦車部隊の南下に備えて、第11戦車隊と96式装輪装甲車で編成されている、第28普通科連隊で対処する手筈です。万が一にも史実と同じく上陸作戦が実施された場合、即応展開部隊である第10即応機動連隊が対処します」
第11戦車隊は、90式戦車で編成された戦車中隊が2個ある。
90式戦車は、第3世代主力戦車に区分される主力戦車であるため、ソ連軍の重戦車であるIS-2の攻撃力でも、90式戦車の正面装甲を貫く事は、そう簡単にはできない。
「ですが・・・兵力は4個歩兵師団に2個独立戦車旅団です。第11機動旅団が備蓄している弾薬では、足りない可能性があります」
防衛部長の言葉に、海上総監部運用部長が口を開いた。
「具体的には、どのくらいの弾薬量がありますか?」
「第11機動旅団は国境線に面している内地であるため、他の師団や旅団よりも弾薬の備蓄は多くしています。他の師団、旅団が3日分ですが、第11機動旅団は1週間分の弾薬があります」
「ソ連軍の侵攻は、ここだけでは無いだろう」
御蔵が、つぶやく。
「その通りです。恐らく他の地区でもソ連軍による攻勢があるでしょう。そうなれば、増援部隊を送る事も困難です」
「陸海空軍首脳部は?」
御蔵が、聞く。
「ソ連軍による南樺太侵攻により、北部軍全軍に非常警戒態勢が発令されました。すべての部隊が臨戦態勢となり、必要となれば増援部隊の派遣も行うそうです」
陸上総監部情報部長が、説明する。
「海軍でも、ソ連軍による侵攻に乗じて、他から本土空襲等が行われると想定して、各鎮守府の警備戦隊に出動命令を出し、海上警備を命じています」
「航空予備軍も、同じように臨戦態勢が、発令されています」
海上総監部、航空総監部の情報担当の幕僚が報告する。
新世界連合軍参戦篇 第4章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。




