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戦争の裏側篇 第3章 ジェネラルとアドミラル

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 日本の防空識別圏に接近する、アメリカ軍のマークを付けた、レシプロ輸送機であるC-46は、ニューワールド連合軍連合空軍から護衛機として派遣された、F-16C[ファイティング・ファルコン]のエスコートを受け、どこまでも青い空を飛行していた。


 C-46には、フィリピン戦で捕虜とならず、賓客待遇で迎え入れられた、ダグラス・マッカーサー陸軍大将と、トーマス・チャールズ・ハート海軍大将の2人に、アメリカ陸海軍から一部の将兵とイギリス軍海外派遣軍(ドイツ第3帝国国防軍がヨーロッパ大陸に電撃的侵攻を行った際に派遣された海外派遣軍と同じである)司令官であるアーチボルト・パーシヴァル・ウェーヴェル陸軍大将と、一部のイギリス陸海軍将兵が随行している。


 3人の大将は、それぞれの副官と座席に座り、窓を眺めていた。


 その時、C-46に搭乗する通信担当の将校が報告した。


「閣下。日本の防空識別圏に入りました。日本共和区統合省防衛局破軍集団空軍のジェット戦闘機を、迎えに寄越すそうです」


「そうか」


 マッカーサーが、代表して答えた。


 3人の大将は、窓に顔を向ける。


「未来の日本空軍の、ご登場だ」


 答えたのは、ウェーヴェルだった。


 マッカーサーとハートの2人が、近付いてくる灰色の機体を視界に納めた。


「これほど落ち着いた状態で、未来の日本空軍のジェット戦闘機を拝めるのは、初めてだ」


 ハートは、日の丸がついたその機影を、しっかりと確認する。


「あの機体は・・・」


 マッカーサーは記憶を探りながら、その機種を思い出そうとしている。


「閣下。F-35です」


 マッカーサーの副官が囁いた。


「ああ、そうだった。確か未来のアメリカ航空産業が、世界の主要航空産業と共同して開発したジェット戦闘機だったな」


 マッカーサーは、事前に未来の兵器については、ある程度の知識を得ていた。


 しかし、覚えなくてはならない物が多いため、あまり覚えられていない。


「しかし、80年後にはこれ程の高性能な戦闘機や艦船が登場するのに、陸軍はあまり進化していないな。戦い方も、ほとんど変わらない。我がイギリス海軍のネルソン提督や、アメリカ海軍のマハン大佐の戦略論は、50年後も100年後も変わらない」


 ウェーヴェルが、つぶやいた。


「どんなに兵器が進歩しても、戦い方は古代からまったく変わらない。私は海軍だから、あまり陸軍の意見は分からないが、騎兵が機械化歩兵、戦像が戦車、弓兵が砲兵になっただけで、戦法は古代のまま」


 ハートは、彼ら未来の日本軍の戦い方を思い出しながら、つぶやいた。


 実際、兵器が進歩しても、その戦い方は、ほとんど変わらない。


 変わったと思うのは、単に気のせいである。


 50年前の軍人が、50年後の戦法を見ても、単にスケールがでかくなっただけで、戦略、戦術の基礎は変わっていない。


 これは、海軍戦略家でもあったアルフレッド・セイヤー・マハン少将(退役後に昇進)が述べている。


「過去の戦いは過去の出来事だと思ってはいけない。戦いの基礎は古代からまったく変わっていない。古代から存在する戦略、戦術を研究すれば、新戦略や新戦術を駆使して戦ってくる近代軍の思わぬ弱点を見つける事ができる」


 この教えには、根拠がある。


 例えば、アメリカでの政府軍とネイティブ・アメリカンとの戦争は、近代軍と非近代軍との戦争だが、近代軍は自分たちよりも劣る弓や槍、火縄銃等を武器にして戦うネイティブ・アメリカンの部族と戦ったが、犠牲者の数は近代軍が上回った。





 未来の日本空軍から2機のジェット戦闘機が、エスコートとしてC-46に同行し、これまで護衛とエスコートしてくれた、F-16Cは旋回し、当空域を離れた。


 ウェーヴェルは、機内の窓から主翼に日の丸を付けたF-35Jを観察する。


(彼らは、いつでも我々を殲滅する事ができた・・・)


 ウェーヴェルは心の中で、つぶやいた。


 イギリスは、大日本帝国が宣戦布告した際に、大日本帝国海軍の空母機動部隊が南方進出した時に備えて、フィリピン防衛のために、イギリス陸軍の海外派遣軍をフィリピンに派遣した。


 コレヒドール島に司令部を置いた米比英連合軍は、バターン半島にいくつもの防衛陣地を築き防衛態勢を整えたが、マッカーサー、ハート、フィリピン大統領等は、日本軍の巧妙な罠にはまり、全員が拘束された(後に解放される)。


 ウェーヴェルは1人で、米比英軍の指揮をする羽目になった。


 彼は、その日の激戦を、昨日のように覚えている。





 1941年12月12日。


 コレヒドール島司令部では、ウェーヴェルは副官からの報告に作戦机をバンと叩いた。


「なんだと!マッカーサー大将やハート大将が日本軍に捕まっただと!!」


「サー。アメリカ陸軍の偵察部隊が、両大将閣下たちを乗せたジープを発見しました。護衛兵たちの死体も確認されました」


 副官の説明に、ウェーヴェルは肩を落とし、そのまま椅子に崩れ落ちた。


「何という事だ・・・」


 ウェーヴェルはつぶやく。


 東洋艦隊Z艦隊は壊滅し、司令官は旗艦と共に海に沈んだ。


 ネルソン提督の「艦隊を二分するな」の教えに敢えて背いて、艦隊を二分したのも、ウェーヴェルらがコレヒドールにいたからである。


 フィリピンと東南アジアを結ぶ補給路は完全に遮断され、退路も無い。


 コレヒドール島は、戦艦並の大口径砲や巡洋艦並の砲が多数設置され、周囲は厳重なコンクリートで固められた海上要塞であり、爆撃機等に対処するために対空砲や対空機銃等の対空兵器も設置されている。


 ほとんどが地下陣地であり、武器、弾薬、飲料水、糧食、医薬品は大量に備蓄されている。


 地上の司令部は、帝国海軍第2艦隊の凄絶な艦砲射撃と電撃的な強襲上陸作戦によって、あっと言う間に制圧された。


 しかし、極秘裏に建設された地下司令部は、そう簡単に発見はされまい。


 戦闘状態になっても、しばらくは持つ・・・その間に、シンガポールから増援が来れば、反撃に転じる事もできる。


 しかし、それはイギリスやアメリカ等が把握している、大日本帝国軍の情報だったらである。


 想像を超えた超兵器を数多く駆使して、戦いを挑んでこられるとは。


「あのような兵器や兵法で攻められたら、どこまで戦えるか・・・」


 すでにアメリカ軍、フィリピン軍の士気は低く、自分たちの最高指揮官はどうなった、この疑問がさまざまな疑惑や不安を生んでいた。


 バターン半島で築かれた、4重の防衛陣地は3つが突破され、第4次防衛陣地の防衛部隊と後退した残存部隊を再統合し、防衛陣地の防衛態勢を強化し、抵抗を続けている。


 第4次防衛陣地には戦車、重砲、高射砲等をできる限り送った。


 コレヒドール島には、アメリカ陸軍8000人、アメリカ海兵隊4000人、イギリス陸軍海外派遣軍8000人、フィリピン陸軍1万人(ただし、陸軍予備部隊であり、9割の将兵たちはまともに小銃や野砲等を使う事ができない)、米比英軍従軍後方支援団(民間の医師、看護婦等)が同島にいる。


 司令部には、米比英軍1000人以上がいる。


「将軍!」


 地下作戦室に、伝令兵が突撃するかのように入室し、報告した。


「日本軍からの攻撃です!奇妙な航空機群で攻めてきました!」


 伝令兵からの、曖昧な報告について怒鳴る事も無く、ウェーヴェルは作戦室を飛び出した。


「将軍!?」


 副官からの制止も聞かず、地下司令部から観測所に出た。


「あれは・・・」


 小さな覗き窓から、双眼鏡でその航空機を見た。


 機体の上に、巨大なプロペラがあり、それが高速回転しながら、空に浮かんでいる。


 ウェーヴェルが見た航空機群は、日本共和区統合省防衛局自衛隊菊水総隊陸上自衛隊第12機動旅団第12ヘリコプター隊第1飛行隊(UH-60JAで編成)と、第2飛行隊(CH-47JAで編成)等である。


 当然、機内には第12機動旅団第2普通科連隊である。





 コレヒドール島全域に防空配置警報が発令され、対空砲陣地が火を噴いた。


 しかし、対空砲陣地は艦砲射撃を受けた。


 それも正確に対空砲陣地に、砲弾が直撃する。


「何だ!?」


「どこから、艦砲射撃を!」


 コレヒドール島沿岸砲兵連隊に所属する、砲兵部隊の兵士たちが叫ぶ。


 沿岸砲兵隊の観測所では、固定設置の双眼鏡で周辺の海上を見回す。


「あそこだ!」


 観測兵が、旭日旗(自衛隊旗)を掲げる、灰色の駆逐艦サイズの軍艦を確認した。


 艦首に駆逐艦クラスの主砲を1門搭載しているが、恐ろしく発射速度が速い。


 観測兵が確認した日本帝国海軍の軍艦は、菊水総隊海上自衛隊第2護衛隊群第6護衛隊汎用護衛艦[たかなみ]と汎用護衛艦[てるづき]である。


 どちらも対地攻撃能力が高い127ミリ速射砲叉は、5インチ速射砲とそれに連動される火器管制システム、対地攻撃用長距離砲弾は確実に沿岸砲陣地を破壊している。


 コレヒドール飛行場は先日、クラーク空軍基地が空爆されたのと同じ日に、日本軍に爆撃されたが、工兵隊の奮闘により、何とか使用可能にまで修復した。


 虎の子として、18機のP-40[ウォーホーク]等がある。


 ただちに緊急発進命令が出て、P-40が離陸準備に入るが、島に隠密上陸した水陸機動団第1連隊第1中隊は飛行場への航空攻撃誘導を行った。


 上空から2機のA-10[サンダーボルトⅡ](真珠湾攻撃の際に出撃したA-10飛行隊から派遣された機である)が、機銃掃射を行った。


 たちまち、P-40等の離陸態勢を取っていた機は、滑走路か誘導路で炎上した。


「コレヒドール全将兵に告ぐ!日本軍の航空部隊が接近中!ただちに全将兵は個人携行火器を武装し、島を防衛せよ!」


 コレヒドール島の戦闘部隊だけでは無く、通信部隊、衛生部隊、補給部隊等の兵站部隊も戦闘部隊の指揮下に入り、徹底交戦の態勢に入る。


 大日本帝国軍からの見慣れない航空機群が空中で停止し、その機内からロープが降ろされ、次々と森に溶け込むような迷彩服を着た兵士たちが地面に着地する。


 島では、非戦闘員や傷病兵を巻き込む激戦が繰り広げられた。





 ウェーヴェルは、司令部観測所で、その光景を眺めていた。


「将軍!」


 副官が、報告する。


「どうした!?」


「ここ司令部にも、日本帝国軍が襲撃してきました!」


 副官からの報告に、ウェーヴェルは絶叫した。


「何だと!!?馬鹿な!!!」


 電撃戦を、超えている。


 その時、ウェーヴェルたちがいる観測所内に、何かがコロコロと転がってきた。


「手榴弾だ!?」


 誰かが叫ぶ・・・その瞬間、その手榴弾が炸裂した。


 強力な閃光と、ジェット機並の爆発音が、狭い観測所内に響き、ウェーヴェルたちは視覚と聴覚を奪われた。


 その後、室内に突入して来た、日本帝国軍の兵士たちに制圧された。


 突入して来た兵士たちは、高度な戦闘訓練を積んでいるのか、まったく無駄の無い動きで自分たちを取り押さえた。


 なんとか視覚と聴覚を回復させたウェーヴェルは、彼らの姿を見た。


 黒色の覆面を被った、迷彩服姿だ。


「ご安心ください。抵抗の意思がなければ、我々は危害を加えるつもりはありません」


 自分の視線に気付いたのか、長身の男は日本語訛りの英語で囁いた。


 しかし、抑揚された声は、自分たちの思考を読まれないようにしているようだ。


「お前たちは、何者だ?」


 ウェーヴェルは、自分の側にいる長身の男に質問した。


「日本国陸上自衛隊。新世界構築のために、この世界に来た派遣された1つの国です」


 男はそう答えた。





 C-46が、日本共和区統合省防衛局と国土交通局が共同運用している日本共和空港に、着陸した。


 民間空港兼軍用飛行場機能を併せ持つ大規模空港施設であり、3000メートル級滑走路がいくつも設置され、日本共和区統合省防衛局長官直轄部隊である陸海空自衛隊で編成された統合運用部隊で運用されている航空自衛隊の政府専用機(ボーイング747-400)2機と、アメリカ空軍から購入し、日本仕様に改良されたE-4J[ナイトウォッチ]2機等の統合大臣や副大臣、各庁局長官、副長官の要人輸送機、日本共和航空が運用する民間旅客機等が使用する。


 大規模空港施設であるが、主要滑走路は予備を含めて3つが完成したレベルだ。


 C-46が滑走路から、誘導路に移動した。


 マッカーサーは陸軍の制帽を被り、C-46から降りた。


「お待ちしておりました。マッカーサー大将、ハート大将、ウェーヴェル大将。私は日本共和区統合省防衛局統合幕僚本部長の、本財(ほんざい)保夫(やすお)陸帥です」


「初めまして、ニューワールド連合軍最高委員長、ケネス・ケインです」


 本財の隣に立つ黒色の肌の、アフリカ系アメリカ人の、長身の男が手を差し出した。


 ケインは白髪でかなり老けているが、声や目力はとても老人とは思わせない。


 因みに彼は、アメリカ合衆国空軍元帥(退役後大将から昇進)であり、軍服を着用する事も可能。


 そのため、普段着ている背広姿では無く、空軍の制服姿である。


 マッカーサー、ハート、ウェーヴェルは内心では驚愕していた。


 自分たちの時代では、アフリカ系アメリカ人は軍務に付く事はできるが、その職務は雑用が多く、ヨーロッパ系アメリカ人出身の兵士から差別や侮蔑を受けていた。


 彼らの待遇が良くなるのは、第2次大戦末期であり、初期である今の時期はそうでは無い。


 しかし、彼らは軍人であるから、上位者に対し、そのような事を悟られないように振る舞った。


「では、こちらへ」


 本財は、統合省が用意した公用車に案内する。


 彼らの警護として、統合省防衛局長官直轄部隊統合警務隊陸上自衛隊警務隊保安警務隊第1中隊から派遣された警務官(MP)たちがいる。


 陸上自衛隊警務科部隊が運用している白色に塗装され、赤色灯等が追加設置された軽装甲機動車と輸送防護車が公用車を護衛する。


 もちろん、白バイに乗った警務官(MP)たちが、前方と後方に展開する。


 緊急事態に備えて、特殊作戦群が菊水総隊指揮下から本来の指揮下である防衛局長官直轄部隊に戻り、最寄り駐屯地等で緊急出動に備える。


 陽炎団からも、警備部警察官と他の部から派遣された警察官2000人が、白バイや覆面パトカー等で警戒する。


 私服姿の警備担当者が、主要ルート及び予備ルートの3つのルートを、徒歩や自転車でパトロールする。


 陽炎団警備部指揮下で特別高等警察局の特高警察官や、統合警務隊の指揮下で国家憲兵隊の憲兵が派遣されている。

 戦争の裏側篇 第3章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

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