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1.突然の婚約者

ただ広い庭に少女が1人きりで、しゃがんだままジッと花を見つめていた。


その少女の年の頃は、およそ16~18歳くらい。

上質のドレスを身にまとっている同年代の少女たちに比べれば、ほんの少し日に焼けた肌。

爪には土が挟まっており少女が綺麗なドレスさえ着ていなければ、どこぞの庶民の娘と言われても疑うものはいなかっただろう。


あっ、とどこか間の抜けたような、のんびりとしたような口調の声がしたとき、花が開いた。


少女は、大輪の笑顔を咲かせる。

心から笑う可愛い笑顔は、見る者を引きつけるような魅力があった。


少女

「うん、今日も時間ぴったりね!」


少女は満足そうに花に話しかける。

花は少女の声を聞いたあと、風は吹いてはいないはずのに嬉しそうにゆらゆらと揺れた。








庭の真ん中には、四方に行ける通路が延びている丸い円形の建物がある。

中心の建物の周りには様々な花が植えられている。

少女は花から視線を外すとそこへ向かおうと足を向けた、その時。


大きな影が少女の頭上を通り過ぎ去る。

少女が驚いて足を止め、上を仰ぎみたときには何もない。


少女

「おかしいな……。鳥?」


独り言を呟いたとき、


????

「どうかしましたか」


少女

「だれ?!」


低い心地よい声が真後ろから発せられ、あわてて振り向くと黒一色に染め上げられた礼服を来た青年がいた。


????

「こんにちは。ステラ嬢」


先ほど、ステラと呼ばれた少女の耳に入ってきた声の持ち主は口元だけを動かし笑顔を作る。


ステラ

「きゃっ!」


ステラは驚いて後退しようとした足を滑らし、そのまま尻餅をつく。


ステラ

「あ、貴方だれ?ここはアルメリアの屋敷よ」


????

「知っています」


尻餅をついたままのステラを見下ろし、青年は一瞬だけ困った表情をしたものの直ぐに元の表情を作り上げる。


????

「君はステラだろう?

俺はノーチェ。さあ、手を」


青年は迷いのない瞳を、真っ直ぐにステラに注いだまま話しかける。


ステラ

「そうだけど……その瞳……」


ステラは、そのまま青年の瞳を見続けた。

青年の瞳は虹のような光彩を宿しており見入ってしまっていた。


ノーチェ

「この瞳が、どうかした?」


そう言った青年の瞳は、まばたきを終えたあと黒い瞳へと変わる。


ステラ

「なんでも……」


ステラは、がっかりしたように青年から視線を外す。


ステラ

(変わった瞳の色の持ち主だと思ったのに……。見間違いだったの?)


思っていることを態度に出したままノーチェと名乗った青年の手を掴まず立ち上がる。


ステラ

「それより、この屋敷になんでいるの?

お父さまや屋敷の者たちは貴方が居ること知っているの?」


ノーチェ

「知っているさ。

俺は、君の婚約者(フィアンセ)になったから」


ステラ

「今、なんて……?」


ノーチェ

「君の婚約者」


ステラ

「そ、それは聞いたわ!」


ステラ

「わたしのこと怖くないの?貴方、本気なの?どうしてなの?それはお父さまの考えなの?ごほっ、ごほっ」


息継ぎもせずに一気にまくしあげたせいか咳き込んだ。


ステラ

「わたし聞いてないわ」


ノーチェ

「俺が頼んだから。秘密にしていたほうが楽しいかなって」


ステラ

「なっ……」


青年に対してムッとした表情をしたあと隠しもせずに、青年とは反対方向にあるど真ん中の東屋(あずまや)に向かって走る。


ステラ

(レディの作法なんか気にしてられないわ!)


四方どの方向にも進める東屋を抜け一番違い屋敷への扉へ入った。

すぐさま鍵を掛けると息をつく。


ステラ

(お父さまに聞かなきゃ)


思い気分と足取りのまま父がいるだろう方向へ歩を進めた。

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