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ネコ耳ばすた~ず The Bridge 弐  作者: 七海玲也
3/8

御礼の謎

「…………で、流騎(ル キ)達が来たってワケにゃ」


 こじんまりとした食事処で今までの経緯を間単にだが話した。

 明日菜(ア ス ナ)は頷きながらしっかりと聞いてくれてる様子だったが、流騎はというと目の前の料理しかみておらず、まるで興味がないとの態度だった。


「それでだ、明日菜。

 今の話のどこに(・ ・ ・)お宝が絡んでた?」


 ちゃんと聞いていたのか、食事を頬張りながら明日菜をじっとり見ている。


「いっ、いや、まぁその、あの」


 こめかみにうっすらと汗が流れている。そんな様子に何だか私まで心苦しく感じてしまう。


「お宝か分からないけど、これならあるにゃ」


 少しでも機嫌が良くなるようにと、袋から魔石を取り出しテーブルに置いた。


「どうしたの?

 こんなに大きな魔石」


「つい少し前に大陸で拾ったにゃ」


 私に価値は分からないが、二人とも目を丸くして驚いているのを見ると結構な物なのだろう。


「いやいや、流石にお宝だがこれは貰えないな」


 今までの流騎の感じだとすぐにでも欲しがると思ったのだが、受け取ることを

躊躇っている。


「いらないにゃ?

 魔力をすごく感じるけど、お宝じゃないにゃ?」


「いや、確かにお宝なんだがさ、助けたくらいでこれは多すぎる。それに――いや、何でもない」


 何かを言いかけた流騎だったが、あえて聞こうとはしない。それとは反対に明日菜は目を輝かせ今も魔石を眺めている。


「私から提案していい?

 これを受け取らないなら、ミィちゃんに少しついてきてもらうってのはどう?

 お手伝いしてもらってチャラにするの」


「明日菜、結局そうなるんじゃねぇか。

 だから――」


「流騎、あんたが受け取らないって言うからでしょ?

 受け取れば終わり、受け取らないなら来てもらう。

 簡単な問題だわ」


 明日菜はしてやったりの表情をすると、流騎の困り顔を覗きこんでいる。


「お前なぁ…………仕方ない、か。

 だったら、ついて来てもらうか」


 私はどちらでも恩返しさえ出来ればと思っていたので良かったが、どうにも流騎は不服そうではあった。


「それでいいなら手伝うにゃ。

 で、何をするにゃ?

 あてもなく、お宝を探すとかじゃないよね、まさか」


 そうなるとレイヴと合流するのが遅くなってしまう。出来ることならそれだけは避けたいと思っているが。

 そんな不安をよそに明日菜は得意気な顔で腕を組み始めた。


「そんなことすると思ってるの?

 甘い甘い。

 ちゃぁんと目的も、あてもあるんだから。

 そんな無意味な宝探しするほど暇じゃなくってね」


「だったら、どんなことを手伝えばいいにゃ?」


「それはね、ある人を解放して欲しいの」


 人助けがお宝に繋がるとは思ってもみなかったが。いまいち意図が読めないので詳しく聞いてみようとするが、流騎が私を遮り明日菜を制止した。


「それ以上は言わなくていい。

 それに人猫に出来るかも分からないだろ。

 だったら、宝を探しだすのが先だ」


「どっちでもいいけど、詳しく教えてくれなきゃ出来るかも知れないにゃ」


 どんな思惑があるのか分からない以上、話だけでも聞かなければ出来ることも出来ない。


「ミィはさ、魔法――というか、魔力が備わっているんでしょ?

 その力で魔力のあるお宝とか探し出せる?

 もしくは、魔力のあるものを壊したりとか」


 明日菜が遠回しにだろうか、言葉を選びながら手伝って欲しいことを話してくれた。


「どっちも出来ないことはないにゃ。

 探すのは近づかないと分からないし、壊すのはやってみないことには」


「ほら、流騎!

 話して連れて行ってみよ!

 闇雲に探したりするよりは絶対いいよ!」


 明日菜は流騎の肩を叩きながら説得している。それに対して迷っているのが見てとれるが、急に顔を上げ私を見据えた。


「だったら――あまり言いたくはないんだが、一緒に来てくれ。

 あるものを見せたい」


 私は頷き片目を瞑ると分かったと意志表示をした。




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