第8話 帰還
俺は山に囲まれた何の変哲も無い舗装路を走っていた。
「ブロォォォ」
俺が運転している車の音だけが鳴り響く…………………………………なんかデジャブ?
さっきまで竜と戦っていたような気がするのだが………………
隣では奈津美が気持ち良さそうに寝ている。
「この後確か俺は天使に会うんだっけ?」
俺は馬鹿馬鹿しいと思いながらもUターンして、来た道を引き返す。
天使視点
なぜ来ない?この後、勇者として召喚される大刀黒亜が乗っている自動車?がここを通り過ぎる手筈になっているのだが……おかしいな
「少し見に行ってみるか」
天使はそう呟くと動き出す。
シロナ視点
私が創ったブラックホールにクロアまで巻き込んでしまった……どうしよう。
「とりあえず魔王様に連絡しよう」
シロナはそう呟くと動き出す。
奈津美視点
私は寝たふりをしながら、本来天使のいたところを通らずに、引き返し始めた黒亜に内心舌打ちし、今まさに起きたふりをする。
「おはよー!」
奈津美はそう言うと動き出す。
黒亜視点
奈津美が起きた。
さあどうしよう。
森を抜ける時に一緒だったアンドーとかいう商人が言っていた事を思い出す。
確かこの世界とシロナがいた世界の時間は流れが違うとか何とか……向こうでの1日がこっちでの10分だっけ?今考えたらなんでアンドーがこんなこと知ってるんだろう?まあいいや。
とりあえず戻る方法を考えよう。
「奈津美?もう少し寝ててもいいぞ?目的地変更だ」
俺はそう言うと動き出す。
奈津美視点
ここまで来て目的地変更か……やっぱり黒亜も向こうの世界での出来事覚えてるんだ……
なんとかしないと……今度こそ召喚を成功させる!
体に魔力を纏い、天使に知らせる。
天使視点
奈津美の魔力を感じる。
あっちか……
天使は奈津美の魔力の方向に向かって動き出す。
黒亜視点
なんか奈津美の体光ってないか?
これはどこかで見たような……魔力だ!
まさかこの世界でも魔法が使えるのか?
ならば…………
俺は指先に魔力を集中し、魔力付加をし、エレメントメテオボール(闇)のチャージを開始する。
シロナ視点
あれから2日、私はアンドーの力を借り、凄まじい速さで休まずに魔王城へと帰ってきた。本当にアンドーは何者なんだろう?まあいいや。
「魔王様、クロアが消えてしまいました。もう一度召喚できないでしょうか?」
「シロナ自身がブラックホールに入ることは出来ないのか?」
盲点だった……
私は早速ブラックホールを自分のすぐ前に設置する。
「無に帰せ!ロスト・ゼロ!」
天使視点
天使は待っていた。車を先回りし、待ち伏せていた。
すると、車が見えてきた。
何だか早すぎるくないか?
ていうかなんで黒く光ってるんだ?
それに奈津美とは違う魔力を黒いやつから感じるのだが……
「ギャァァァァァァァ!」
黒亜視点
俺の放ったエレメントメテオボール(闇)が天使を焼いていくのを確認すると、俺は車のアクセルを限界まで踏み、天使に体当たりをかます………
瞬間、虚空に穴が開き、中から何かが飛び出してきた。俺は驚きつつも、アクセルを踏みっぱなしにした。
シロナ視点
ブラックホールから解放された瞬間、何かが私に向かって、凄まじい速さで突っ込んできた。
ぶつかってきた物をちらっと見ると、一瞬クロアが見えた気がした。
今回も読んでいただき、有難うございます。
次の更新は3日後、21日木曜日です。
明日には、これまた3日に1回ペースでもう一つ小説を作ろうと思っています。






