第5話 竜とドラゴン
俺たちは迷路のようになっているダンジョンをひたすらに進んでいた。
倒したオークキングの数はもうすでに10体を超えている。
「また行き止まりかよ!」
そう。このダンジョンにはやたらと行き止まりが多く、少しも進めないのだ。何故か同じところをぐるぐると回っている気がしてならない。
一度壁を魔法で壊そうとしたのだが、壁に虹色のバリアが形成され、俺のウィンドウに、「破壊不能オブジェクト」と表示される始末である。
「飽きたー。帰ろうぜー。」
「馬鹿かお前は。帰ろうにも道がわからないから困っているのだろう?」
そうなのだ。先に進んでるうちに帰る道が分からなくなっていた。というより、道が消えたような気がしているのだが……まあ気のせいか。
「グァァァァァァ!」
お、今度は新しいドラゴンだ。
名前 エンペラードラゴン
種族 ドラゴン族
体力 600
魔力 80
攻撃力 400
守備力 150
スキル
属性耐性LV2
魔法
炎のブレス
だいぶ強い。多分ここのボスなのかな?なんせエンペラーですし。皇帝ですし。
「よっしゃ!多分こいつ倒せばダンジョンクリアだ!行くぞシロナ!」
「ああ!」
シロナもやっとダンジョンが終わる喜びからか、若干ニヤついている。
余談だが、この世界では、ダンジョンの奥に行くとボスモンスターが現れ、それを倒すと出口が出現する仕組みらしい。
俺がぼーっとしているといきなりドラゴンがブレスを放ってきた。
俺が自分の身を盾にしてブレスを受け止めると、その隙をついてシロナがドラゴンに斬りかかる。
幾度に渡るオークキングとの戦いの末、俺とシロナはこの辺りのモンスターなら瞬殺できるほどの連携を手に入れていた。
俺とシロナはそのまま連携を駆使し、斬って斬って斬りまくった。ドラゴンには、小さいながらも確かな傷が増えていく。
剣をうざったく感じたらしいドラゴンはフロアごと焼き尽くさんばかりの出力でブレスを放つ。
俺は、自分を盾にしシロナを庇うと、エレメントボールのチャージを開始する。
「シロナ!時間を稼いでくれ!」
俺は魔法をチャージするために、シロナに時間稼ぎを頼む。
「分かった。早くしろ!」
シロナは快く引き受けてくれた。
俺は即座に魔力を両手に集中させる。
ドラゴンには属性耐性が付いているため、エレメントメテオボール(無)を放つため、魔力付加を始める。
シロナは剣、ドラゴンは爪を使い、高速で切り結んでいた。
「シロナ!退避!」
シロナは即座にドラゴンから離れた。
「エレメントメテオボール!」
俺は魔法を放つ。存分にチャージしたエレメントメテオボール(無)は、凄まじい速さでドラゴンを貫く。
「ギィィィァァァァァァ!」
ドラゴンは断末魔の悲鳴をあげて、死んでいった。
俺は焼かれ、消えていくドラゴンを一瞥してから、シロナに話しかける。
「あー疲れた。早く帰って飯にしようぜ!」
俺はそう言うと、出口につながる扉を探すがどこにも見つからない。
「あれ?どこだろ?おーい!シロナも手伝ってくれ……ってシロナ⁉︎」
俺がシロナにも手伝ってもらおうと後ろを振り返ったが、シロナがいない。
「シロナ?シロナー!」
大声で呼びかけるが、出てこない。
俺はシロナを探すために歩き出すと、あっさりシロナは見つかった。
ただし、シロナの前にはさっきのドラゴンなんてまだ可愛い方だと思えるほどの巨体のドラゴン……いや、恐竜に近いモンスターがいた。
まさかさっきのドラゴンは中ボスだったのか?
名前 キングレックス
種族 竜族
体力 5000
魔力 500
攻撃力 600
守備力 270
スキル
自然回復LV4
皮膚硬化LV1
竜技
メテオスマッシュ(防御力低下 絶)
は?なんだこれ……ゲームバランス崩壊どころじゃねー。不可能だ。こんな奴と戦えと?
膝がガクガクしている。我ながら情けない。
「だ、大丈夫だ。俺の防御力は神レベルだからな」
俺は少しでも場を和ませようと声を張り上げるが、シロナはまるで魂が抜けたようにただ突っ立っていた。
「シロナ?しっかりしろ!シロナ!」
俺の不安を形にしたように竜の咆哮が響いた……
更新遅れて申し訳ありません。
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