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日常
 ̄ ̄ ̄キンコンカンコーン ̄ ̄ ̄
放課後を知らせるチャイムの音が学校中に響き渡る。その音を待ってましたと言わんばかりに、生徒は皆、勢い良く立ち上がっていく。
さっきまで、授業を右耳から左耳へとうけながし、魂の抜け殻のようにしていた様子が嘘のようだ。
それぞれの生徒の表情に生気が宿りだす。眠い授業から開放され、これからの放課後をどう過ごすか考えているみたいだ。
部活の猛練習に励む者。帰りに、新しくできた駅前のケーキ屋さんに行こうとはしゃいでいる者。教室で、放課後のおしゃべりに花を咲かせようと、机を寄せ合っている者。
様々な形で、放課後という時間を満喫する準備をしていた。
・・・そんな中、一人だけぽつんとたたずむ少女がいた。彼女は、誰とも目を合わせず、会話を交わすこともなく、ただ・・・かばんを片手に教室を出て行く。
彼女の動きに数人が一瞬だけ目を向けたが、すぐに反らし、再び話題を元に戻す。
扉が閉まる音が静かに響いた。