俺は君のおかげで生きる意味を知った。2
まだアパートへ帰る気がしないので。
適当に街をふらふらしていた。が、その時またあの女が現れた。
しかも、今まで何も誰もいなかった所に幽霊のように。いや、
「ゆ、幽霊ー!!」
と、俺は叫んだ。
「ひどいな。幽霊ー!!、なんて」
「どう見たって幽霊だろうが! 俺にとりついているのかよ、理由は!? 俺はお前みたいな知り合いは居ないはずだ」
もう言ってることがめちゃくちゃになっていた。
「私はまだ幽霊じゃないよ。たまたまあのCDショップに入ったら。つまんなそうに仕事していた、君に話かけちゃた」
と、幽霊の女は舌を出して言った。
無視だ、無視だ。喋ったら駄目だ。
絶対にこれ以上幽霊を見るな、と俺は自分に言い聞かせて。
幽霊の傍を素通りして、早歩きですたすたと歩いて行った。
ところが、
「ちょっと待ってよ」
と言って追いかけてくる。
俺は思わず、振り返り見てしまった。
「あっ」
と、声を出してしまったのは俺。
幽霊の女はとつぜん頭を抱えて苦しみの表情を浮かべながら。
俺の前から消えた。
その時、あの女が何かを俺に言っていたように見えた。
何故か後味が悪かった。
たかが知り合いでもない幽霊の女に。
もう現れることはないんだな、と思うと。
何故だか寂しいと感じた。
アホか! 今日、会っただけの女だ。
しかも、幽霊じゃないか……。
***
俺は甘かった。
それはなぜかと言うと。
あれから幽霊の女は俺の目の前にちょくちょく現れるようになった。
しかも、ウザイことに俺へ説教をする。
将来の夢とかやりたいことはないのかって。
何か探せば見つかるから、そんな死んだように生きるのは止めなよと、幽霊のくせに言ってくる。
「煩いよ!! こんな世の中で何を夢見ても無駄なんだよ。適当にやって老いぼれていきたいんだよ!」
と、そこ迄俺が言い切ると、幽霊の女は泣き出しそうな顔をする。
いつものやり取りになっていた。
でも俺はいつの間にか……幽霊の女がいつもいつも苦しみながら。
目の前から消えるのが心配になってきた。
最近ではそれがどんどん酷くなってきている。
俺は、嫌な予感がした。
いや、まさか、そんなことは……。




