俺は君のおかげで生きる意味を知った。
俺はお前のおかげで
マジで自分の人生を生きてみることにしたよ。
お前に初めて
逢った時は“何だ、こいつ!?”って思ったけどさぁ。
マジだぜ!
***
あー! かったりなぁ!
バイト行かなきゃいけねぇ。
休みてぇ!
でも休むと携帯電話の金が払えなくなって、
また止められる。
服が買えなくなる。
遊ぶ事も出来ない。
このアパートの家賃と生活費は親が仕送りしてくれるけどさぁ。
まさかこれからは自分で携帯電話代くらいは出せって言われたのはなぁ。
マジできついぜ!
高木 拓哉《 たかぎ たくや 》
は心の中でぐたぐたと思いながら、だらだらとアパートの部屋からようやく出て鍵をかけて。
アルバイト先へ向かった。
拓哉はCDショップでアルバイトしている。
金さえ入るなら仕事なんて何でもよかった。
独り暮らしを始めて。
早く金が欲しくて、友だちがちょうど人手不足だという話を聞いてとび付いた。
何がやりたい訳でも無い。
将来の夢も希望も無い。
何のとりえも無い。
あるとしたら。
あの有名アイドルと同じ名前たけだ。
笑えるよなぁ……。
***
バイト先に着いて、
「おはようございます!」
と、元気良く挨拶する。
今日の午前中に入荷した商品を店内に置いてくれるか? って言われた。
「あっ、はい! 分かりました」
と、返事をして商品をチェックしてみる、と。
やっぱり思ったとおり、山ほどの箱の数があった。
ふざけんな!
午前中から来ている奴が何でやらないんだよ!!
と、俺は怒りながらもこれも金の為だと思いながら店内にCDを並べ始めた。
「何で、そんなにつまらない顔してるの?」
と、突然に俺の右隣から女の声がした。
客なのはわかっていたが。
思わず、声のした方向を見てしまった。
「うわぁ!!」
俺の右隣にすぐ女の顔があったので、驚きの声を上げた。
女はひとなつこい笑顔を見せている。
しかも案外と可愛い顔立ちをしている。
客だ。いや、金だ、と思い。
となかく愛想良くしてと自分へ言い聞かした。
「何かお探しですか?」
と言った。
「君のことを訊いているんだけど……」
「は・・・い?」
何だ? この女は?
「だから! 君は何でそんなにつまらなそうな顔をしているの?」
こんな変な女とは関わり合いにならない方が良い、と思い。
「他にも仕事がありますので」
と言ってこの場を離れることにした。
ここに置くCDはあまりなかったので。
とっくに終わっていた。
俺がそそくさと歩いて行くと、背後から女が。
「ちょっと待ちなさいよ! 無視するの!?」
と言ってきた。
当たり前だろが!!
***
さっきから俺はずっと苛々していた。
原因は ……あの女が店に何時間も居るからだった。
女はずっと何をしているか?
というと。
店に置かれている試聴をし続けている。
たまにこういう人間はいるけど、ここまで苛立たせているのはあの変な女のせいだ!
店長が気分でも悪いなら今日はもう帰っても良いよ、と。
俺の苛立ちを誤解して言ってきた。
俺は、
「じゃあ、すみません」
と言って仕事を途中で上がった。
でもその時。店内を見渡すともうあの変な女は居なかった。
マジかよ! だったらバイト早退しなかったのに、と思った。
現に俺はまだ三時間しか仕事をしていなかった。




