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【黒猫の箱庭】作品集

【黒猫の箱庭】あべこべクエスト

作者: 黒猫の箱庭

作品に関する感想を聞いて今後の参考にしたいと作者(黒猫の箱庭)が言っているので、作品に関する意見(この作品以外も含む)も随時募集しているぞm9っ`Д´) ビシッ!!

良くも悪くも何か感想があればその作品のコメント欄に宜しく!

by ベリア

魔王が勇者を倒した。

この事実に驚いた人々はいなかった。


何故なら、この世界はあべこべだからだ。


勇者が善人とは限らない分、魔王もまた悪人とは限らないのだ。

勇者は勇ましい者ゆえ勇者と呼ばれているが魔王もまた魔族の王ゆえに魔王と呼ばれている。

両者の呼ばれ方の違いはただ、それだけにすぎなかったのである。


また魔族とは地下世界に住んでおり人々がそこを魔界と呼んでいる為、そう呼ばれている。

他にも空に天界と呼ばれる神や天使が住む場所、妖精界と呼ばれる妖精や精霊が住む場所があり

地上には地妖精界や人間界がある。ここ数年、魔族と諍いを起こした者はなく至って平和だ。


なのに何故、勇者は魔王に倒されたのか?


それは一週間ほど前に遡る。

勇者は世界各地を旅する冒険者達が所属するギルドに入っていた。

彼は冒険者なら一度は頭に思い浮かべるだろう竜退治について思いを馳せていた。


「なあ、盗賊。ここいら近くでドラゴンについて何か情報は知らないか?」


「知らねーよ、そんなもん。大体、俺みたいな軽業師が竜なんて物騒なもん相手にする訳ねぇだろ!!」


「ま、それもそうか!お前に俺みたいな能力なんて、ないもんな!!」


ゲラゲラと下品な笑みを浮かべ勇者は嗤った。

反面、盗賊は勇者のことを冷ややかな目で見ていた。

何故なら勇者の言葉の中に自分への侮蔑があることに気がついていたからだ。


「仕方ねぇな。他の奴に聞いてみるか。」


そう言いながら勇者は盗賊の横を通り過ぎ同じバーにいる冒険者達を物色し始めた。

剣士や闘士、魔術師に賢者。吟遊詩人にも話を聞いてみたものの今までの態度が悪かったのか?

誰も勇者の望むような有益な情報は持ち合わせていなかった。或いは意図的に提供しなかった。


「もしもし?そこのお兄さん。何か、お悩みですか?」


勇者がバーにいる冒険者達全員に情報提供を求めた結果、何も得られなかった直後、

バーに入って来た一人の青年がいた。青年は勇者に対し、臆せず話を掛けてきた。


「ん?誰だ?お前。」


「僕?僕はただの村人ですよ。」


青年は穏やかな笑みを浮かべながら、そう答えた。

対する勇者は青年の様子を見て首を傾げた。

と言うのも今日、初めて青年と顔を合わせたのである。


「そうか?ま、別にお前が何者でもいいけど……」


勇者は言葉を濁しつつも青年に対して他の人達と同じ質問をした。


「ここいら近くでドラゴンを見るないし何か情報を知らないか?」


すると青年の方はしたり顔をして、こう答えを返した。


「えぇ勿論、知っていますよ。貴方も驚くような、とびっきりのやつを。」


「お!知ってるのか?そう勿体ぶらずに早く教えろよ!!」


勇者は青年の言葉を聞いて喜びも露わに先を促した。

青年は勇者の言葉に静かに頷くと、こう言葉を続けた。


「実は、この近く住んでいる竜はベイオウルフの伝承やニーベルンゲンの歌に出てくる

リンドドレイクとは違い空を飛ぶことが出来るリンドヴルムなんですよ。それに……」


と青年は一度、言葉を区切るとまるで内緒の話をするように小さな声で勇者に語り掛けた。


「雷竜って国によっては神として扱われる存在なんですよ。」


それでも竜を倒してみたいですか?と青年は勇者に聞いた。

周囲の人々はその異様な雰囲気に呑まれ気圧される中、勇者だけは不敵な笑みを浮かべ言った。


「是非、戦ってみたいな。竜と戦った後その骸を防具の材料にしてやるんだ。」


「まだ戦ってもいないのに、もう勝ったつもりなんですか?随分、勇ましいですね。」


青年の皮肉の籠った一言に悪意が滲んでいることを周囲は気が付いたが勇者は全く気が付かなかった。

青年は勇者の性格はおろか、その立ち振る舞いや蛮勇ぶりをひそかに軽蔑していたのだ。


「どうでも良いけどよ早く居場所を教えろよ。」


勇者は早く竜が倒したくて青年を急かしつけた。

対する青年の方は落ち着いた態度で勇者に言った。


「この街から北に出て10km先にある峰々の一番高い山頂にいますよ。」


「それだけ解れば十分だ。ありがとよ!!」


勇者は誰にも止められることなく、そのまま街を出て北にある山へ向かった。

山までの道程は馬を使って移動していたが入口に到着した瞬間、怯えたので勇者は馬を放した。

結局、勇者が山頂に辿り着いたのは街を出て一週間、経った後だった……


「ふぅ……やっと着いたぜ。しかし、こんなところに城があるなんてな。」


勇者は山頂に聳える黒曜石の城を見て目を白黒とさせた。

何故なら勇者は今まで宝石で出来た城を一度も見たことがなかったからです。


「けど、こんなところに本当に竜なんているのか?」


不思議に思った勇者は周辺をキョロキョロと見渡しながら城へと入って行った。

城の中は意外と明るく隅々まで様子を窺うことが出来た。

廊下を照らす照明は金のシャンデリアや金の燭台に乗った蜜蝋と言った高価なものだ。


「これだけ豪華な建物じゃ人間が住んでるんじゃないか?」


勇者は王族が住んでいるような内装の状態を見て思わず、そう呟いた。

実際、雷竜と言う存在は国によっては神のように崇められているのだから

城や神殿と言った建物に住んでいても少しもおかしくはないのだか勇者の頭にはなかった。


「おーい!誰かいないのか!?」


「煩いな。そんな大声で叫ばなくても聞こえているのだが。」


勇者は廊下に響き渡るほど大きな声で叫んだ。

すると奥の方から身なり良い男性と執事の格好をした女性が姿を現した。

そこで勇者は二人に何か情報を得られないかと声を掛けた。


「なぁ、お前達。ここで竜を見なかったか?」


「見なかったも何も今、目の前にいますが。」


勇者の質問に対して女執事はやや硬い表情で答えた。

その顔は明らかに勇者のことを警戒しているように見えた。

人の心を察することに疎い勇者は笑いながら、こう返した。


「は?何、言ってるんだ?冗談も休み休み言えよ。」


「冗談は嫌いだ。」


不謹慎な態度を取る勇者に対して不快感も露わに男性は攻撃を放った。

勇者は不意の攻撃を受け全く反応することが出来なかった。

黒々とした炎は勇者の全身を包み瞬く間の内に彫像へと姿を変えた。


「アスモデウス様、こんな者が本当に勇者なのでしょうか?」


勇者の最後を見届けた後、女執事はこの城の主である男性にそう話しかけた。

対する男性の方は自身の部下である女執事に、こう答えた。


「アザゼルが私にそう話したのだから間違いはないだろう。

それよりもサタナキア、この彫像を片づけておいてくれ。」


この地方で有名な魔王・アスモデウスは部下のサタナキアにそう命じた後、部屋に戻った。

対する勇者の方は彫像と化した己の身体を南に10km先に行ったところにある街の

真ん中のところへサタナキアに置かれ村人達によって銅像のように飾られてしまった。


「だから僕はリンドドレイクとリンドヴルムは違うって言ったのに……」


その様子を見ていた青年は勇者が一週間前に出会った自称、村人だった。

彼の正体は村人などではなく人間に紛れて生活している魔王・アザゼルだったのである。

実は先にpixivに投稿してるぞ!

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25772012

↑これ

by ベリア

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