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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
5章 ≪サマー・バケーション編≫
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10話・IN THE MORNING

―――side空志

 結局、昨日は男子で調べたけど何もわからなかった。

 まぁ、不定期に出てきては必ず優勝をしてくっていうのだけはわかった。そして、今回も着々と優勝へのコマを進めていることも。

 そして後は、そのチームに冬香がいるだろうってことも。

 でも、人数ぐらいはわかって欲しいんだけど?

 ある人は三人とかある人は十五人・・・挙句、百とかいう人までいた。

 大会の規定をちゃんと読め。


 「まぁ、そんな事いってもしょうがないか」


 ボクはとりあえず宿のベッドから降りる。

 ・・・みんなは結構熟睡してるようだ。

 何もすることが無いから、とりあえず外に行って魔法の練習でもしてこよう。

 寝巻きはジャージだから特にこのまま出て行っても問題ない。後は適当に靴を引っ掛けて外に行く。

 外はまだ早いからか人はいない。

 宿の中庭のようなところでボクは胡坐をかいて座る。


 「ま、ボクにはそのほうが好都合だ。・・・来い『サルでもわかる大魔導書』」


 ボクはそう言いながら右手を前に出す。

 すると、そこに一冊のハードの本が現れる。

 ボクはページをめくり、目的の魔法陣が描かれたところを開ける。


 「・・・≪突風トップウ≫」


 本の魔法陣が光り、ページから浮かび上がる。

 すると、魔法陣から風が吹き荒れる。

 ボクは魔力をコントロールして勢いよく吹く風をそよ風程度にとどめる。


 「・・・よし、『ボール』」


 ボクはテニスボールほどの大きさのゴムボールを取り出すと、魔法陣から吹く風に乗せて宙に浮かせる。

 ここからが本番。

 精神を集中してボールをどこかに吹き飛ばさないように風を強くしたり弱くしたりしてボールをコントロール。ボールは見えないエレベーターに乗ってるように上下に動く。

 ま、こんなもんかな?

 ボクはまたまたページをめくる。

 そしてとある魔法陣のところで手を止める。


 「・・・魔術変更≪風円刃フウエンジン≫」


 ボクは起動していた魔法陣と入れ替わりに別の魔法陣を起動。

 これは新作。風が竜巻のように回転して、一つの輪を形成。それが回転して切り裂く。簡単に言うと、チャクラム的な魔法。ま、チャクラムと違ってこれは魔法だからボクが好きに移動させられる。


 「・・・でも、どうしてチャクラムって投げた後に自分のところに戻ってくるんだろう?」


 ・・・ま、今は練習、練習。

 ボクは≪風円刃フウエンジン≫で風のチャクラムをいくつか造り、それで一人卓球的なことをする。

 ・・・いや、これ大変なんだよ?

 本来、斬る魔法で切り裂かないように、かつ、五つぐらいの≪風円刃フウエンジン≫を縦横無尽に移動させてボールを地面に落とさないようにしてるんだから。

 これが地味にいい訓練になるんだよ。

 魔力操作コントロールの。


 「うわぁー、すげぇ!!」


 「!?」


 ボクはいきなり後から声を聞いて驚き、思わずゴムボールを切り裂いてしまった。

 ・・・また、新しいの買ってこよう。

 後を向くと、そこには中学生か小学生ぐらいの男の子がいた。


 「あ、すみません。邪魔しました?」


 「いや、いいよ。ボクも適当に切り上げようと思ってたし」


 そろそろみんながおきだす時間になるからか宿の厨房から料理のいい匂いがここまで漂ってくる。


 「そうですか?・・・でも、さっきのって、数法術ですか?」


 「あ~・・・内緒にしてくれる?」


 この子がものっすごく目をキラキラさせて尋ねてきてボクはむげにできなかった。

 ま、別に隠すほどの事でもないし。


 「はい!」


 そういうと男の子はボクの目の前に正座して身を乗り出すようにして座る。


 「おっけ。・・・これはさ、魔法陣による魔法の発動なんだ」


 「魔法陣による?・・・古代の魔法ですか?」


 「ま、そんなところ。ボクに魔法を教えてくれた人がこんなふざけた本を渡してきてさ」


 そう言いつつ『サルでもわかる大魔導書』を見せる。

 それを見せた途端、男の子は笑いをこらえていた。


 「ま、そんなわけ」


 「へ~。世界はスゴイ!数法術と詠唱しか見たこと無いからな~」


 「そうなの?珍しいね」


 「そうなんすよ~。姉さんが数法術士で僕も少しかじったことがあるんですけどね、全然ダメでした」


 まぁ、普通はそうでしょ。

 数法術は結構使い手を選ぶ。

 確かに、数法術を使えたら詠唱よりも効率よく自分の魔力を魔法につぎ込め、さらにはコントロールできる。でも、基本がものすごく難しいらしい。

 ボクも冬香から魔法の参考に聞いたことがあったけど、未知の言語を聞いてるようにしか思えなかった。

 だから、そんなわけのわかんないものよりも詠唱使うほうがいいって人がたくさんなわけ。


 「でも、ちゃんと刻印をしてもらったんですけどね~」


 「刻印?」


 「はい数法術を使う際、魔術機械デバイスと魔力を同調シンクロする必要があります。そこで、初心者の人のために魔力の通路パスを設けるんです。僕の姉さんもまだまだだとか言って刻印をつけたままです」


 へ~。じゃ、さっきから感じた違和感はそれか。数法術士に会うたびに変な違和感を感じてたからね。冬香とこの子だけだけど。


 「・・・ボクのところにも数法術使う女の子がいるよ」


 「そうなんですか!?珍しい!!」


 「うん。でも、わけあって今は別行動。大体、あれは賢いけど変なところでバカだから・・・」


 ・・・うん、冬香は数字以外はホントにバカだ。

 俗に言う『賢い馬鹿』だ。


 「そうなんですか?・・・僕の姉さん、つい最近元気ないんですよ」


 「そうなの?」


 「はい。本人は隠そうとしてるみたいですけど・・・」


 ・・・どこぞの冬香さんに似ていらっしゃる。

 そして、男の子はやべっといいながら急に立ち上がる。


 「すみません!実は、抜け出してきたもんで・・・。そろそろ戻らないとバレて姉さんに殺されるんで!」


 そういうと風のように走り去っていった。


 「・・・面白い子、だったね」


 ボクの声は早朝の空気にとけて消えていった。



―――side隆介

 「ソラがいなーいっ!!??」


 オレは甲高い叫び声で目が覚めた。

 声の方向を向くと案の定と言うか・・・。


 「アンジェリカさん、おはようございます!!今日もいい朝で「ソラどこ!?」・・・」


 田中の野郎がリカにガン無視されて泣き崩れた。

 シャオのヤツはまだ寝てやがる・・・。どんだけだよ。


 「オレは知らん。ついさっき起きたところだからな」


 「むぅ~・・・血が欲しいのに・・・」


 いや、お前はソラが欲しいんだろ?

 それにお前は何でソラの寝ていたベッドの枕を抱きしめている?

 しかも、オレの見間違いじゃなけりゃニオイかいでるよな?

 これは既に末期だ。いろいろとダメすぎるだろ。


 「アンジェリカさん!!俺の血でよければ!!」


 「ね~ソラどこ~?」


 さりげなく田中をスルー。

 ま、いつものことだが。


 「知らん。お前のセンサーのほうが高感度だろ」


 「・・・あれ?どうしたの?」


 噂をすればなんとやら、か。

 話題のソラが帰ってきた。


 「ソラ~!おはよう~!!」


 「あ、おはげぶぅ!?」


 ・・・朝っぱらから元気なバカップルだ。


 「いやん」


 「・・・何でお前はそういう言葉には心の声まで反応できる?」


 「愛の力ゆえに・・・」


 ・・・こいつは何がしたい?

 ま、いいが。

 オレはベッドから降りるとシャオのやつをたたき起こす。


 「ソラ。リカに血を飲ませたらメシにしろ」


 「あ、おっけ~」


 「アンジェリカさん!今回は俺が!「太郎は出てって!!」ぎゃぁ~!?」


 田中はリカの蹴りであいていた扉から廊下へ吹っ飛ばされた。


 「あれ?田中君が飛んできたけど~?」


 「どうせ、アンジェリカさんに何かしたんでしょ」


 「私もそう思うでうすぅ」


 「田中っちも懲りないね~」


 「リカさん!?何でそんな風にボクに迫るの?」


 「え?別にソラを襲って既成事実とかまったく考えてないからね?・・・じゅるり」


 「リュウ!!何故かよくわからないけど貞操の危機を感じアァーッ!!」


 オレは何も言わずにそっと扉を閉めた。

 まぁ、ここから先は本人達だけで楽しんでもらおう。



―――side空志

 「・・・マジで死ぬかと思った」


 「お前は朝から何をしてんだ?」


 「いやぁ、リカがさ、『ソラの朝を起こすのはアタシの役なのに!!』とか言って何故かボクは罰ゲームという名の死刑にされそうになった」


 だって、全身の血を吸おうとしたのかめっちゃ迫ってきたんだよ!?

 何故か服を無理矢理引っぺがそうとしたし・・・。


 「・・・たぶん、それは違うと思うよ~」


 「違う?」


 「・・・ま、話しちゃうと確実にR18な内容だから気にしないで」


 「さて、三谷っちがついに大人の階段の~ぼる~♪っと」


 何故だろう?ものすごくいろいろな人に誤解されそうだ。そんな気がする。

 ボク等がそうこうしてるうちに闘技場に到着。

 昨日にもまして活気がある。


 「ま、今日もがんばりますか」


 「『夜明け(サンライズ)』だ」


 リュウが受付の人に言う。

 そして、受付の人は何かの紙を取り出して確認を取る。


 「確かに。・・・ですが、一人足りませんよね?」


 あれ?

 ボクは周りを見渡す。

 まずはボク、そして、腕に引っ付いてるリカ、受付に話しかけたリュウ、スズ、インチョー、宇佐野さんに双子ちゃん。


 「完璧だと思いますが?」


 「いやいやいや、魔力無効化体質キャンセラーの方がいませんよ?」


 「「「あぁ~!」」」


 田中がいたか。


 「わかりました。問題ないです」


 「・・・はい?」


 「田中さんは言っちゃ何ですけどザコですぅ」


 「太郎がいなくてもまったく問題ない」


 「おし、じゃー行くぞ~」


 唖然とする受付の人を放置してボク等は控え室に向かった。






 「俺はホントに『夜明け(サンライズ)』のメンバーの一人だって!!」


 「はぁ?お前みたいな不細工がそんなわけ無いだろ!あのチームは顔がいいやつの集まりだぞ?お前、あそこの女性選手に近づこうとしてんなこと言ってんだろ!?」


 「違ぁ~う!!」


 一人のアホな少年がボク等の女子目当てに身分を偽って会場の選手控え室に入ろうとしたとか。ま、ボク等には関係の無い話だね。






 『レディース・エンド・ジェントルメ~ン!!闘技大会本戦、二日目を始めるぜ!!』


 「何で控え室まで響くかな?」


 「まぁ、別にいいんじゃない?」


 リカの言葉にそれもそうかと思ってボクはみんなを見る。

 ま、みんなの服が変わってる。

 リカはショートパンツに半そでのピッタリとしたシャツ。・・・いつものことだけど、腕に例のブツが当たっております。でも、さすがにこれは・・・いや、なれたけど。慣れたらダメなのに・・・。

 そして、リュウは全身を黒で固めてる。

 黒のジーンズに黒の半そでTシャツ。・・・以上。暑くないのかな?

 双子ちゃんは中国の拳法をする人が着るような服を青と赤の色違いできている。

 で、スズは制服のようなカッターシャツとスカートをはいて、その上に絵本の中から飛び出してきたような魔法使いの服を装備していた。三角帽にマント。ただ、色が白だったりする。

 で、インチョーは長ズボンのジーンズに上はタンクトップ。

 腰にはアリアさんが用意してくれたのか魔術符カード入れのような革のホルダーがつけてあり、そこに金属の魔術符カードが入っていた。

 ・・・で、ボクはいつもの服の上に何故かフードが大きめな空色のローブの様な物を装備してた。


 「何でボクはこれだけ?」


 「何か、アリアさんが必要ないって言ってたよ~」


 「何で!?」


 「むしろ、お前の服が一番防御が高いらしい」


 「・・・何でボクが一番高いかは聞かない」


 予想はつくけどね!!

 レオは既にボクのローブのフードの中でご満悦のようだ。

 後から女の人の声であの猫ちゃん顔だけ出して可愛くない?とか欠伸したー!とか騒いでる。

 ・・・で、一番問題なのが。


 「何で宇佐野さんがメイド服なの!?」


 ボクの目の前にはツインテールのフリフリなスカートのメイドさんがいた。

 しかも見た目が小学生だからある性癖の持ち主の方はものすごくうれしいに違いない。


 「なんでしょうかゴシュジンサマッ☆」


 黙れ!

 こいつは確かに見た目小学生のロリだけど中身はそこらの悪知恵の働くおばあちゃんよりも恐ろしい!!


 「あらら~ゴシュジンサマ、つい最近、またまたクラスの女子・・の方に何か頼まれて手伝ったようですね」


 「ん?あれ?確か・・・財布をなくしたとかで・・・てか、何で女子を強調「ソラ?」・・・何でございましょう、姫?」


 何故かリカがものすごく爽やかな笑顔を浮かべていた。

 この笑顔を見れば、誰もが見とれただろう。

 ・・・膨大な魔力を垂れ流していなければ。


 「どういうこと?」


 「いや、だから、その・・・ただ、財布を捜すのを手伝っただけで・・・」


 「・・・後でお願い一つ聞いてもらおうかな~?」


 「・・・・・・このボクにできることであれば何なりとおおせください」


 みんながボクに合掌をする。

 うん、宇佐野さんに逆らうとこうなるってことを忘れてたよ。

 ・・・みんなも気をつけてね。

 リカが後でソラには執事服着てもらおっかな~とか言う恐ろしい言葉が聞こえるけどあれは幻聴だ。全力でそうだ!


 『じゃ、次の試合を始めるぜ!!まずは・・・』


 「確か次はオレ達だ。だが、今回は勝ち進めばもう一回ある。その辺を踏まえてやれよ」


 ボク等が話している間にボク等の前のチームの試合が終わったようだ。

 そして、リュウの言ったとおりボク等の名前が呼ばれる。

 ボク等は普通に中に歩いていく。


 『対する相手は・・・これまた少年少女のチームだ!今大会初出場の傭兵ギルド、『七つの罪セプテム・ペッカータ』だ!!』


 その言葉と同時に向こうから七人の人影が。

 なるほど。だから『七つの罪』か。

 ・・・あれ?何だか見覚えのある人が?


 「ん?君は・・・おぉ!いつぞやのダサ男君といた女性じゃぶぎゃ!?」


 「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません。本当にすみません!!」


 一組の男女のペア。

 方や金髪で薔薇を手に持った貴族風の頭のおかしいナルシーなお方。

 そして、地味ながらもどこかほっとさせる雰囲気を持つ少女。

 ・・・確か、金髪はルクスでその彼女がジュリア・・・だったかな?


 「おぉ~君は鈴音くんではないか~!」


 「あぁ~!?ライニーちゃんだ~!」


 こっちは・・・大食い大会で・・・。


 「何だ!!お前等知り合いか!!」


 ごつい男が大声で言う。

 ・・・てか、うるさい。


 「・・・ウチ違う。・・・欝だ。・・・眠い」


 ・・・ものすごく無気力な女子がぼそぼそとしゃべる。

 ホントに今にも寝そうだ。


 「俺にかかりゃぁ。ザコだがな!!」


 ものすごく小物臭がする線の細い男子が言った。


 「ねーねー!リンゴアメ欲しい!!」


 まったく関係の無いことを・・・男子かな?女子かな?何だか中性的な顔立ちの子が言う。


 「中々に個性的な人達だね☆」


 「お前が言うか?一人だけその道の廃人を狙った衣装にしか見えないお前がだぞ?」


 リュウの言うことは最もだと思う。

 宇佐野さんは本気で何がしたいのかわからない。

 このメンバーの中で一番カオスである意味において最凶の人だと思う。


 『では、サイコロの目は七!早速、第一回戦といきましょう!!』


 いつの間にかサイコロが振られたらしい。

 偶然にも向こうの人数と同じだ。

 どういう風に来る?

 向こうは七人で話し合うとすぐにルクスとジュリアさん、そして小物臭のする男の人が出てきた。

 じゃ、ボク等は・・・。


 「ここはワタシが行くよ☆」


 「いやいやいや!?宇佐野さんはダメだよ!(相手が)危険すぎる!」


 「大丈夫!手加減(そこはかとなく廃人にする程度で)抑えるから!」


 「どのあたりが大丈夫なんだよ!?」


 「そうだよ~!相手の人がかわいそうだよ~」


 「おい!?お前等、俺がそんなガキンチョに負けるってか!?上等だコラ!この『傲慢』を司るこの俺様、安藤剛あんどうごうがぶっ潰す!来いや!」


 スズのうっかり発言で小物臭の男、安藤剛さんはブチギレてしまった。

 ・・・どうしよう。


 「ほらほら~。ワタシがやれば万事解決だよ~。って言うか行くよ☆」


 「「「・・・あ」」」


 ボク等が頭を抱えてる間に宇佐野さんはフィールドに行ってしまった。

 ボク等はこのとき思った。相手は終わったなって。それも人生的な意味で。

 ボク等はとばっちりが嫌だからおとなしくベンチに座っていた。


 『おぉ!?『七つの罪セプテム・ペッカータ』が三人に対して『夜明け(サンライズ)』は一人の女の子だ!・・・何故かメイド服の』


 観客席からは一部の男共が歓声をあげている。

 ・・・知らないって幸せだよね。


 『えぇ~・・・登録情報によりますと・・・宇佐野美未さん、『情報屋』だそうです・・・。戦えるんですか?』


 「もちろん!情報は剣となり、盾になるだよ☆」


 核兵器の間違いじゃないかと思う。

 相手にはできれば今すぐ降参して欲しいと思う。

 特に、ルクスとジュリアって人の末路が既に見えてる。


 『では、試合を始めます!!』


 フィールドには貴族風なルクスにごく普通の少女ジュリア、そしてチャラい格好の剛。

 対するこっちはメイドさんの皮を被った情報魔。

 そして、向こうはすぐに剛のほうが宇佐野さんに距離を詰める。いつの間にか手には剣を持っていた。


  「死にさらせぇぇぇぇええええええ!!!」


 すると、宇佐野さんは慌てず一枚の紙を取り出す。

 ・・・あれは写真?


 「な!?お前、な、何でそれを!?」


 「ふっふっふ~。ワタシは情報屋!これしきのこと、三秒でわかっちゃうのだ~」


 「嘘だろ!?」


 ・・・何の写真だろう?すごく気になる。


 「じゃ、これをばら撒かれたくなかったら・・・わかるよね?」


 宇佐野さんはものすごくいい笑みで|お願い(脅迫)する。

 相手は迷って考えた後、剣を握りなおす。

 そして、更に宇佐野さんは写真を取り出す。


 「おぉ?手が滑っちゃった・・・てへ☆」


 「何でこれまで!?」


 「あぁ~どうしよっかな~・・・この試合の後、ワタシがうっかり写真を落としそうだな~」


 ・・・相手はその言葉に蒼白になる。

 ところどころで俺の地位がとか言ってる気がする。


 「・・・わかった。降参だ」


 ・・・ドンマイ。

 ボク等は敵ながら同情の視線を向ける。

 相手はお前等もか・・・と言う表情で見て、ベンチに戻っていった。


 「剛さんが・・・」


 「っふ。剛君は何の弱味を握られたか知らないがこの僕には通用しないよ!「昨日、ルクスさんは通りがかった女の子にナンパしてましたね」ノォォォォオオオオオオ!!??「ルクス?」いや、違うんだ、違うんだよジュリア。僕はキミ一筋「ちょっとお話しましょう」イヤァァァァアアアアアア!!??」


 ・・・ルクスはジュリアに引っ張られて場外へ行った。

 ま、ある程度は予想してたけど、ルクスは『色欲』でジュリアが『嫉妬』だったんだね。

 なんというか・・・最悪の組み合わせだ。


 『・・・・え~・・・宇佐野さんの勝ちです』


 そして、断末魔の悲鳴が聞こえた気がするけど気のせいだ。

 そうに違いない。


 「勝ったよ☆」


 「・・・あぁ。そうだな」


 「・・・お疲れ様です」


 「・・・お疲れですぅ」


 ボク等は今後一切宇佐野さんの力を闘技場で使わせないようにしようと心から誓った。


作 「いえい!久しぶりだぜ!!」

龍 「そうじゃの」

作 「まぁ、そんなわけで『早朝にて』をお送りしました」

龍 「・・・別に関係なくないかの?」

作 「何言うか!?これはあからさまだがフラグだ!!」

龍 「・・・ぶっちゃけるの」

作 「っふ。だが、読者さんが考えてるフラグと僕のフラグが重なるとでも!?」

龍 「そういえば、自分でひねくれとるとか言っておったの」

作 「イエス!今回も作者パゥワ~でやっちゃうぜ!!」

龍 「で、正直のところどうなのじゃ?」

作 「・・・次回予告!!」

龍 「・・・逃げおったの」

作 「次回は・・・ついにやつ等がタッグを組んだ!!」

龍 「・・・じゃが、わし的には微妙じゃの」

作 「ふっふっふ。・・・サーセン」

龍 「・・・おぬしは何がしたいのじゃ?」

作 「ま、敵の『怠惰』のお方に注目ってことで」

龍 「・・・」

作 「ま、次回もよろしく!!」

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