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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
5章 ≪サマー・バケーション編≫
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9話・BRIEF REST

―――side冬香

 あいつはわたしが呆れた顔で見てやると、にやっと笑って会場に歩いていった。

 まるで、こっちに引きずり戻してやるから覚悟しとけって感じで。


 「・・・さすがにこれは無理よ」


 「姉さん!」


 わたしが声のしたほうを向くと、そこには一人の少年。わたしの弟がいた。


 「ちょ!?何でここにいるのよ!?」


 「抜け出してきた」


 「バカ!帰りなさい!!」


 「少しなら大丈夫だって」


 弟は無邪気な笑みを浮かべて言う。

 ・・・しょうがない。


 「わかったわ。少し見て回ったら帰りなさい」


 「わかってるって。姉さんも行こう!・・・どうせ暇なんだろ」


 「どうせって・・・ま、確かに暇よ」


 「じゃ、行こう!」


 元気に駆けていく弟の後姿を見つめながらわたしは人ごみの中へと歩いていった。



―――side空志

 さて、冬香は信じる。

 とすると、何か脅されてる可能性がある?

 ・・・でも、何でだ?

 正直、冬香の力があれば大抵の事は返り討ちにできる。


 「あ、ソラ!」


 「おぉ?みんな~いたよ~」


 「・・・さすがアンジェリカさんの三谷君レーダー」


 なら、考えることは簡単。

 冬香の力をもってしても不可能なことでってことになる。

 ケースとしては、相手が冬香より遥かに強すぎる。

 ・・・でも、ボクの目をもってしても今のところは優子さんレベルの魔導師はここに一人もいない。智也さんレベルは・・・いない。

 なら、必然的にこれは無いな。

 後は別にそんなにスゴイ人は・・・そういえばあの占い師の人・・・あのあたりで何か感じたんだよな~・・・。あ、今はそっちじゃなくて冬香だ。


 「・・・ダメだ。気付かねぇ」


 「す、スゴイ集中力だね・・・☆」


 「・・・無理に星をつけなくていいと俺は思うぞ?」


 『あ?何して・・・ぶわははは!!!何だよこれ!?』


 「何で額に『肉』って描きたくなるんでしょうか?」


 「ここはヒゲも描くですぅ」


 「みゃ~」


 「ちょっと!?ソラに何するの!!」


 なら、恥ずかしい過去とかで?

 ・・・・・・無いね。

 冬香なら、きっと相手に自分以上のえげつない過去で逆に脅し返す気がする。

 ・・・借金?

 おぉ!!

 これならありそう!

 ガメツイからね!!


 「今なら・・・ちゅーしても気付かないかな?」


 「・・・お前は公衆の面前で何をしようとしてる?」


 「もちろん、愛のかた「もういい。黙れ」・・・ちぇ」


 「熱々ですぅ!」


 「・・・シャン、そんなに目をギラギラさせて見るな」


 じゃぁ、おそらくそうだとして・・・。

 ・・・・・・はぁ、いい加減に現実を見よう。情報が少なすぎて判断ができない。


 「あぁ~!!!」


 「なんかソラ君が危ない人になってるよ!?」


 「え!?何でみんなここに!?」


 いつの間にかボクの周りにみんながいた。


 「気付いてなかったのかよ・・・。まぁいい。ソラ、勝ったぞ」


 「ふ~ん」


 「それだけ!?あたしの勇姿を聞いてくれないの!?」


 「いや、信じてたからね」


 「で、三谷っちは何か考え事でもしてたのかな~?」


 「うん、冬香のコト」


 「「「!?」」」


 ・・・ん?

 何でみんな驚きの表情に・・・。


 「はっ!?」


 ボクはさっきまでリカのいたところを向いた。

 そこからは何故かブラックモードのリカ様が御降臨なさっておられた。


 「ソラ?」


 「何でございましょう、姫」


 「・・・一緒に「よくわからないけどそれは誤解だ!!」あの世で暮らそ」


 「・・・ソラ君、今まで楽しかったよ」


 「あぁ、オレもだ」


 「俺も短い間でしたが忘れません」


 「がんばるですぅ」


 「・・・あの世でも元気でね」


 「・・・くっ」


 『タロウ、笑うところか?』


 待って!?

 ボクが死ぬことが決定事項になってますよ!?


 「ソラ」


 「・・・リカ」


 ボク等は互いに見つめあう。

 リカのほうは鎌を構えて・・・。

 何故だろう?鎌がなければ、ドラマだとかなりいいシチュエーションだと思うのに・・・。


 「じゃ、先に逝っててね」


 「・・・お願いだから弁解のよぎゃぁぁぁぁああああああ!!??」


 後になって聞いた話だけど、この近くにいた人は夏にもかかわらずものすごく震えていたらしい。






 「ごめんなさい」


 「・・・うん」


 ボク等は宿泊してる宿に戻ってきた。

 ちなみに男子で借りているほうに集合した。・・・さすがに十人近くもいると狭い。


 「毎度毎度、飽きねぇな」


 「でも、ソラ君もよく生きてたよね」


 うん。ボクもそう思う。


 「・・・そろそろ優子さん恐怖症以外にリカ恐怖症が入ってきそうな気がする」


 「・・・・・・え。そんな!?嫌だ!!それだけは嫌だよ!!」


 リカがいきなりボクの服をつかんで泣きながら懇願してきた。


 「え!?何で泣くの!?だ、大丈夫だから!!冗談だから!!」


 「ホント?冗談?アタシのこと、嫌わない?」


 どことなく言動が幼い。

 ・・・幼児退行を起こしてる?


 「そうそう。冗談冗談。嫌わない。怖がらない(たぶん)」


 「ホント?アタシのこと好き?」


 「うん。好き好き。マジで。ホントに」


 「ホント?えへへ~」


 「・・・こいつは自分で首を絞めてることに気付いてないんだよな」


 「それが三谷君だし」


 幼児と化したリカがボクにぐでーっともたれてくるけどこの際いろいろと無視しよう。

 ボクの精神的疲労も何とかなるはずだ。


 「で、お前は冬香に会ったんだな?」


 「うん。と言うか追い詰めた」


 「・・・何してんだ?」


 「いや、逃げそうだったから」


 「・・・まぁいい。何を話した?」


 ボクは冬香と話したことを全部話した。

 ・・・特にないけど。


 「――って感じかな?」


 「・・・ふ~ん」


 「・・・で?」


 「でって何?」


 「・・・まさか、それだけですか?」


 「うん。これで全部」


 「・・・本当の本当ですぅ?」


 「うん」


 「すーすー」


 ・・・あれ?リカがいつの間にかボクの背中で寝てるし。

 だからレオがボクの膝の上でお腹出して寝てたのか。

 ・・・てか、レオの野生の本能がいろいろと・・・。


 「おい!?お前バカか!?」


 「俺もお前がバカだと思っていたがそれほどだとは!」


 「本当だよ!」


 「信じられない!」


 「インチョーとスズに言われたくない!!」


 「それでもワタシの後を継ぐ気!?」


 「無いよ!?・・・それに、冬香が理由もなしにそんなことするヤツじゃ無いって信じてるから」


 「・・・だがな」


 「リュウ、冬香はボク等の仲間だ。それに、みんなも冬香のことはそれなりに知ってるでしょ?」


 「・・・まぁ、な」


 みんなが控えめにうなずく。

 ボクは言葉を続ける。


 「とにかく、冬香には何らかの理由でアレをした可能性がある。だから、情報を集めよう」


 「おっけ~。そこはワタシに任せなさい!」


 「わたしもがんばるね~」


 「あたしも手伝えばいいんでしょ」


 「メンドイが・・・やるしかねぇか」


 「俺もがんばるか・・・うまくいけば好感度が」


 「俺でよければ・・・」


 「私もやるうですぅ!」


 「おっけ~。野郎ども!なんとしてでも冬香ちゃんを助けるぞ!!」


 「「「おう!!」」」


 よし、そうとなれば、あのギルドについて調べるのが・・・。

 ・・・・・・・・・・何か一人多くなかった?


 「・・・番号!1!」


 「2だよ~」


 「3だ」


 「4」


 「5☆」


 「「6、7」」


 「さすが双子・・・8」


 「9だぜ」


 なんだ。ばっちり・・・・・・じゃない!?

 リカは寝てるから返事できない!?

 そして、周りを見渡すとそこには耳のとがった・・・。


 「ハロー!みんなのアイドル、ア「≪雷燕ライエン≫!!」いきなりぃぃぃいいいい!?」


 感電する物体X。

 そこへリュウはすかさず魔法剣を叩き込んで窓(二階)から外にぶっ飛ばす。


 「・・・よし、じゃぁとりあえず、今日はまだ時間があるし、冬香のギルドのことを調べてみよう」


 「そうだな。おし、行くぞ」


 「・・・ソラさん、リュウさん、華麗に誰かをいなかったことにしてますよね?」


 「「誰かいたっけ?」」


 「・・・いないです」


 「シャ、シャオに武器をむけるなですぅ!だからって私もだめですぅ!!」


 おかしいな。ここにはボク等9人とレオの一匹しかいないじゃないか。

 つまり、あれは空耳だったんだよ。


 「さっきの、アリ・・・」


 「だれそれ?そんな天災ボクは知らない。リュウは?」


 「あぁ。オレも知らんな、そんな災厄」


 「ちょっと待ったぁぁぁぁああああああ!!!」


 「「ッチ!」」


 「今、『ッチ』って!?久しぶりなのにその反応!?」


 「・・・やっぱ、ここは消し炭にしとけばよかった」


 「オレももっと細かく刻めばよかった」


 「アリアっちじゃん!」


 「美未ちゃん?久しぶり~」


 ま、そんなこんなで魔窟で服屋を経営してる厄介事の詰まったパンドラの匣だった。


 「で、何か用?」


 「もちろん、みんなの応「お帰りはあちらです」何で!?」


 あんたがどれだけボク等(特に自分)に迷惑かけてると思ってるの!?

 できるだけ早くお帰り願いたい!!


 「今回は純粋に仕事よ!」


 「仕事?」


 「・・・ゴメンね~。わたしが頼んだの~」


 以外にも、スズがアリアさんに頼んだらしかった。

 ・・・でも、何で?


 「だって、リュウ君の服が破れちゃったでしょ~?」


 「・・・あ?確かお前の魔法で元通りになったはずだぞ?」


 「・・・なるほど、ボク等は魔法防御の特殊加工の服着てるけど、インチョー達って着てないよね?」


 「そんなのあるの?」


 「ワタシはアリアっちに貰った」


 「さすが魔窟の技術です」


 「その技術ってまだまだ実験段階のはずですぅ」


 「ふっふっふ・・・。この私、アリアちゃんに不可能はないのだよ、キミ!」


 アリアさんがびしっと双子ちゃんたちをさして言う。

 ま、この人のオーバーなアクションはいつものことだ。放っておこう。


 「ま、隆介達の服も最新の一番魔法防御の高いやつに変えておこう」


 「いいのか?悪いな」


 「その変わり、優勝賞金で払って」


 「わーってる。オレ達を誰だと思ってるんだよ」


 「おっけーおっけー。じゃ、コーディネート開始!」


 そういうと、アリアさんはポケットの魔術符カードからカバンの魔術符カードを大量に出した。

 それぞれに色で印が付けてあるみたいで、これが帽子、これがズボンとか言ってる。

 そして、何着かの服を取り出す。


 「よし。じゃ、これが女子」


 「ホント~?やった~!」


 「わ~い!」


 「やったーですぅ!」


 「ワタシは出ないからいい・・・」


 そして、女子がバサッと広げて自分の体に合わせてみると・・・。


 「「「「メイド服じゃん!?」」」」


 「おう!安心しなさい。オプションもちゃんと・・・」


 そういってアリアさんは猫耳とかもはや狙ってるとしか思えない衣装を取り出す。


 「・・・リュウ」


 「あぁ。今、お袋に電話「ジョークッ!!イッツ、ジョーク!!これが本物!」」


 「間!お前、何で止めた!?女子(特にアンジェリカさんの)メイドが見れたんだぞ!?」


 「黙れ廃人」


 「みゃ」


 「・・・さすがに俺も引きます」


 「・・・ソラ、田中がやらしい目で見てくる」


 例のごとく、田中は部屋の隅に行って床にのの字を書き始めた。

 あれって、実際に見ると引く。

 田中はみんなから無かったことにされた。


 「じゃ、男子は出てって」


 「あ?今着るのか?」


 「いいじゃんいいじゃん。ま、私が持ってきたのはぶっちゃけ、キミらの戦闘服だけど、それなりにおしゃれにしといた・・・と思うよ?」


 「・・・何で自身が無いんだよ」


 ボクとシャオ君で田中をズルズルと引きずっていって、廊下に放り出した。

 いまだに変なオーラ出していじけてるのを見ると何だか無性に・・・腹が立つ。

 レオも何故か田中にぺしぺしと小さな前足で叩いてる。


 「田中だからかな?」


 「・・・どうでしょう?」


 「ま、女子が中で騒いでる間、オレ達は適当に冬香の情報を探るぞ」


 「わかった」


 「にゃ~」


 「わかりました」


 ボク等はそれぞれの方向に向かって走っていった。

 田中を放置して。



作 「と言うわけで『つかの間の休息』でした」

ガント 「おい。俺の出番は?」

作 「しばらくは無いです」

ガ 「なんだと!?」

作 「別にいいじゃん。ガントさんは何気に出てるし」

ガ 「いやいやや!!俺の勇姿はもっと魅せるべきだ!!」

作 「字が違う気がするけど気にしない。でも、忘れ去られていたアリアさんよりマシ」

ガ 「だが、つい最近は俺が忘れられそうだと宇佐野に聞いたが?」

作 「・・・次回!」

ガ 「オイ!!」

作 「邂逅、そして・・・ついに最終兵器が・・・」

ガ 「オイ!?何の次回予告だよ!?」

作 「その先に見るものとはいったい・・・」

ガ 「この作品の趣旨にあってねぇ!!」

作 「・・・次回、『邂逅と情報』」

ガ 「・・・オチが見えてきたぞ」

作 「乞うご期待」

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