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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
5章 ≪サマー・バケーション編≫
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7話・ULTIMATE MAGIC

―――side鈴音

 「お前もんな顔すんな!スズ・・・。もういっちょやる・・・ぞ」


 リュウ君が倒れた。

 そして、倒れたお腹のあたりから血の海ができる。

 何で?

 わたしには・・・どんな魔法も、攻撃からも守れる盾があったのに・・・。

 ・・・死んじゃうの?


 「イヤァァァァアアアアアア!!!」


 嫌だ!

 そんなの!

 だって、せっかく友達になったんだよ!?

 でも、わたしのせいで・・・?

 わたしに力が・・・もっとあれば!!

 周りから何かが聞こえ気がする・・・。

 でも、今はそれどころじゃない・・・。

 わたしは、自分の杖、『世界樹の杖ユグドラシル』をつかんで、頭に浮かんだ言葉を言った。



―――side空志

 「なにあれ!?」


 「暴走!」


 「あれが!?」


 スズを中心にして魔力が暴風のように荒れ狂う。

 運営が事態の収拾に挑んだが魔力にはじかれている。

 そこまでの密度を保てるのはスズの魔力量だからこそだろう。


 「おい!じゃあ、やばいんじゃないのか!?」


 「はい。魔力を使い続ければ無くなり、無くなれば生命力を変わりに使います」


 「そして・・・死ぬですぅ」


 「は、早く助けないと!!」


 「無理だ!みんなじゃはじかれる。・・・ボクが行く

 ―――其は魔に属す法則!!」


 ボクは真言で魔力を斬りながら進もうと真言を紡ぐ。

 それと同時にスズの声が聞こえた。

 ボクは驚きに目を開いてスズを見ると、そこには杖を構えて詠唱をするスズの姿があった。


 「―――我、紡ぐは世界の理」


 「何を詠唱してるの!?」


 「解析!・・・ダメだ。魔力が乱れすぎて特定できない!」


 「―――闇あれば光ある。

     絶望あれば希望がある。

     裏あれば表あり、それが逆の理。

     有を無へ、無を有へ。その力をここに!!

     ≪リバース≫」


 スズの属性と同じ名前の魔法。

 でも、この詠唱の長さ、そして一つ一つが全部力を持つように感じられる・・・。

 これが示すのは一つしかない。


 「『リバース』の真言!?」


 「何で!?」


 「坂崎さんは真言ができたんですか!?」


 「知らなかったですぅ!」


 「ボク等も知らないよ!」


 田中達が置いてけぼりだけど今はしょうがない。

 魔法が発動すると、スズを中心にまぶしい光が発生。

 その光は拡大し、ボク等までも包み込んだ。

 あまりにまぶしすぎてボクは目を手で覆う。

 そして、唐突に光がやむ。

 そこには既に暴走した魔力は無かった。


 「・・・なんとも無い?」


 「・・・うん」


 「・・・ですぅ?」


 そう、まるで何事も無かったかのように・・・。


 「え?何で!?」


 「どうしたの?」


 「気づかないの!?何も無かったかのようになってる!」


 「・・・三谷、大丈夫か?何も無かったんだろう?」


 「田中、その節穴の目を開いてよ~っく見ろ!」


 「あ?何も無いじゃないか。ここで戦闘なんか無かったみたいに」


 「あ!?アタシの壊した・・・・・・・壁とかクレーターが無い!?」


 そう。

 まるで、何事も無かったかのようにフィールドが元通りになっていた。

 クレーターも、壁も。

 そして、リュウの怪我・・・・・・まで。


 「・・・あ?・・・何でオレは外で寝てんだ?」


 「リュウ君!」


 スズはリュウに抱きつく。

 ・・・熱々ですな。


 「うぉい!?何だ!?オレは確か大怪我させられて・・・」


 「やっぱり自覚あったんだね~!?」


 「あ・・・・・・まぁ、何だ・・・」


 「リュウ君のバカ!!・・・でも、よかっ・・・た」


 そこでスズが倒れた。

 ボク等は急いでスズとリュウの元に行く。


 「シャン!」


 「もちろんですぅ」


 シャンちゃんは気功術で疲労や簡単な怪我なら治せる。

 双子はなれた動きでスズの介抱を始める。


 「リュウ、大丈夫か?」


 「あぁ。なんとも無い。・・・何があった?」


 『あ~・・・いったい、何があったんでしょう?』


 ボクは司会を無視してリュウにかいつまんで話す。

 でも、リュウにもこの現象はよくわからないみたいだった。


 「・・・後でジジイに聞く。それしかねぇな」


 「そうだね」


 「・・・あの~」


 ボクは声のしたほうを向く。

 そこには相手さん達が。・・・そういえば試合中でしたね。


 「そろそろ事態を何とかしたいんだけど?」


 「話は簡単だ。オレ達の負け」


 「ちょっと!?あたしは!?」


 「お前な・・・。オレはあの攻撃で戦闘はできない。それにスズは今倒れた。負けじゃねぇか」


 「いやいやいや!?でも、それは事故で!!」


 「がたがたうるさい。お前が次出て勝ちゃぁいいんだよ」


 そういうとリュウは立ち上がろうとする。

 そこで少しだけよろめいて、ボクは反射的に肩を貸そうとする。

 でも、リュウは大丈夫だというと自分で歩いていった。


 「何だったんだ?」


 『さぁ!思わぬハプニングでしたが、試合は同点!泣いても笑っても次で決まる!!』


 「あ、ボク等も戻ろう」


 「誰が出るの?」


 「インチョーと・・・」


 誰が出るか考えていると、向こうからピエロさんが出てきた。


 「うちの者がすまない」


 そう言って頭を下げる。

 ・・・ピエロの衣装で謝るとか。


 「まぁ・・・。事故ですし・・・」


 しょうがないっちゃしょうがない。


 「そう言ってくれれば助かる・・・。次の試合なんだが・・・君達がよければその子と私の一騎打ちにしないか?」


 「え、でも「お願いします」何で!?三谷君!?」


 「ボク等で戦えるのが後は田中か宇佐野さんだけど?」


 双子ちゃんはスズの介抱中だから無理。

 つまり、戦力になるのはまだ出ていない田中か宇佐野さん。

 でも、ボク個人としては宇佐野さんが出る事態だけは避けたい。理由はかなり危険すぎるからだ。

 ・・・相手の精神が。


 「・・・わかった」


 「おい!?何故だ!?」


 「・・・足手まとい」


 リカの一言は田中を撃沈させた。

 まぁ、ホントのところは田中がいるとインチョーの魔法の威力が落ちる危険性があるかなぁって思っただけなんだけど。


 「ま、そういうわけでお願いします」


 「わかった」


 そういうと、ピエロさんはフィールドの真ん中に歩いていった。

 ・・・よし。


 「インチョー」


 「え?何?」


 「ほれ」


 ボクはインチョーに一枚の魔術符を渡す。


 「何これ?」


 「新作。今回は・・・ま、使えばわかるよ。でも、実験中のヤツでさ・・・だから、本当にやばいときに使ったほうがいいと思う」


 「・・・うん、わかった」


 そういうとインチョーもボク等に背を向けてフィールドのほうに歩いていった。

 さて、ボクも行きますか。


 「じゃ、リカ。もしものときのためにここにいて。ボクは少し行くところがある」


 「え~」


 「だって、ここに魔法に関わってるのがリカしかいないし」


 リュウ達は救護室に行ってる。

 必然的に魔法で対処するようなことがあったらリカしか残らない。


 「む~・・・。でも、アタシも鈴音心配だけど茜も少し心配だからわかった」


 「よし。後で何かおごるわ。ついでにレオも置いてくから」


 「みゃ」


 ボクはレオをリカ渡しながらそう言うと、リュウ達のところに向かった。



―――side茜

 「なんだろう?」


 ま、考えてもしょうがない。

 坂崎さんのことも心配だけどあたしも自分のことがかなり心配だ。

 だって、負けたら何かよくわからないけどみんなとお別れしそうなんだよ!?

 そんな事態は避けないと!


 「・・・いざというときは宇佐野さんの情報による脅迫チカラで・・・」


 「あの~・・・。大丈夫かい?」


 ハッ!?

 あまりの窮地に考えが危ない方向に!?

 ・・・宇佐野さんは最終手段にしよう。


 「大丈夫です」


 『・・・ハイッ!というわけでハプニングもありましたが再開です!!今回、対戦相手は双方一対一で行う模様。ま、自分ごとに他人が首突っ込むなってことですか?・・・とにかく三回戦目、『全てを具現化する者パントマイマー』ピエロ!そして『魔術符使い』多湖茜!両者、始め!!』


 まず、あたしは両手に一枚ずつ魔術符カードを構える。

 三谷君みたいに相手のことがわからないから、相手を観察するのが基本だろう・・・だといいな。

 でも、ピエロさんは特に何もしない。

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。


 「・・・あの~・・・何もしないんですか?」


 「いや、むしろそっちからしないの?」


 「いや~。あたしは三谷君を真似て相手の出方をみてからにしようかな~って」


 「それは相手によりけりだよ。特に、君みたいにこういうことの初心者ならなにか打って出たほうがいい。そうすれば相手がひょっとすると手の内の見せてくれるかもしれない」


 何だか親切に教えてくれた。

 ・・・裏とか無いのかな?


 「あぁ。これはサービスだよ。ウチの馬鹿が君の仲間を怪我させたからね」


 「だから、あれは事故・・・!!」


 「はいはい。お前はやりすぎだから加減をそろそろ覚えろ」


 ・・・踊り子の人が向こうで仲間っぽい人たちに取り押さえられてた。


 「ま、そういうわけだ」


 「じゃ、≪水の槍アクア・ランス≫!」


 空中に水が集まる、そして一本の水の槍を形作るとピエロさんに放たれる。


 「やはり、『水』の属性か」


 ピエロさんは手を動かす。

 すると、水の槍は見えない壁にぶつかったみたいに空中で防がれた。


 「と、まぁこれが私の『手品マジック』だ」


 「へ~・・・」


 「・・・え?驚かないの」


 ・・・え?

 ここって驚くところなの?

 だって、三谷君とか間君はもっとえげつないことしてたような気がする・・・。

 それに、三谷君も≪月守ツキモリ≫という魔法は手をかざしただけで相手の魔法も攻撃も防御してたし・・・。


 「・・・よし、気にしないでおこう!!」


 「え、えぇ~・・・」


 あたしは魔術符を取り替える。

 片方は≪水の弾丸ウォーター・ボール≫、もう一つは≪飲料水ドリンク≫の魔術符カード。≪飲料水ドリンク≫は飲み水を生み出す魔術符。・・・実はこれ、魔術符って言ってるけど見た目は金属製のコップだ。はたから見たら何してるんだろうこの子?見たいな感じで見られているだろう。でも、ここで天才のあたしは考えた。滾々と湧き出る水に、水の弾を組み合わせたら・・・ふふふ。


 「≪水の機関砲ウォーター・マシンガン≫!」


 コップの飲み口を相手に向ける。

 そこから勢いよく水の弾丸が高速で放たれた。


 『おお!?多湖選手、いきなりコップを取り出したときには何をトチ狂ったかと思いましたが・・・まさかこんな使い方をするとは!?まさか、あれも魔術符の一種なのか!?』


 「ちょ!?何これ!?コップから!?」


 「初めてだけどこれも使うよ!!」


 コップを構えたまま今度は≪水の鞭アクア・ウィップ≫の魔術符を取り出して左手に持つ。そして更に魔術符カードを手に持つ。選んだのは≪洗濯ウォッシュ≫の魔術符。


 「≪絡みつく水鞭アクア・トゥウィンズ≫!!」


 二枚の魔術符カードから螺旋を描いて水が放たれる。


 「さっきから!・・・これならどうだい!?」


 相手は剣を抜くモーションを行い、居合い切りのような動作をあたしの水の鞭に放つ。

 すると、その部分がまるで刃物によって切られたみたいにぶつりと切れた。

 でも、まだあたしの魔術符カードからは水があふれ出る。


 「しつこいな・・・」


 ピエロさんはそこでさっきのように手をかざし、攻撃を防ぐ。


 「えい!」


 そこであたしは水の鞭を適当に振る。

 すると、水は鞭のようにしなってループを描き、相手に届く。


 「な!?射出系が曲がった!?」


 「ふっふ~。これは水の鞭なんだよ!」


 「ウソォ!?」


 何故か周りの人もすごく驚いている。

 ・・・何でだろう?


 「ま、そこは気にしない!!」


 「っく!?」


 相手に水がぶち当たる。

 これで準備オッケ~!


 「な!?何だこれは!?」


 そこには水の鞭でぐるぐる巻きにされたピエロさん。

 ・・・てか、何で頭から水を被ってピエロのメイクが落ちないんだろう?


 「よし!エリア!」


 エリアは魔術符を取り出さなくても呼べば来てくれる賢い子だ。

 空中に水が集まり、小さな人の形を造る。


 『きゅ!』


 「来たな・・・」


 「じゃ、エリア!トドメお願い!!」


 『えりあ、がんばる』


 エリアはそういうと水を操作。

 手を上にかざすと、大きな水塊を作り出す。それをピエロさんの頭の上に持っていく。

 そして、エリアが手を振り落とし、水塊をピエロさんに叩きつけた。

 ・・・って!?


 「エリア!?あんなことして大丈夫なの!?」


 『きゅぅ?』


 「可愛い声だしてもダメだよ!?」



―――side空志

 「よっ。リュウ元気~?」


 救護室に行くと、リュウは椅子に腰掛けていた。


 「あ?オレは別になんともねぇよ」


 「だろうね。魔力の感じからしても普通だし」


 「で、だ。問題は坂崎だ」


 「だね」


 リュウの睨みつける先、そこにはカーテンで仕切られているけど・・・ベッドにスズが寝ているんだろう。今は双子ちゃんが介抱をしてるはず。


 「てか、勝手に救護室使っていいの?」


 「いいですぅ!許可は取りました!」


 「・・・シャン。あれは明らかに無理矢理だろう?救護の人が泣いていたぞ?」


 ・・・そうか、何かしくしく聞こえると思ったら・・・。

 声のほうを見てみると、隅に何やら黒いオーラ的なものは確認できたけど・・・。ボクにはこれ以上確認する勇気は無い。見たらいろいろと鬱になれそうだ。


 「・・・んん・・・」


 「気がついたですぅ!!」


 「鈴音さん。大丈夫ですか?」


 「・・・あれ?シャンちゃんにシャオ君?」


 「入っていいか?」


 「大丈夫ですぅ」


 リュウが確認を取るとカーテンを開けて中に入っていく。

 中には少し疲れた表情のスズにほっとした双子の姿があった。


 「・・・あ・・・リュウ君!?」


 「おわぁ!?」


 スズはいきなりリュウの服を引っつかむと服を捲り上げてわき腹の辺りを見た。


 「あれ?大丈夫なの~?」


 「・・・あぁ。お前のおかげでな」


 「へ?わたし~?」


 「うん。たぶんだけどね。・・・で、スズそろそろリュウの服から手を離したほうが言いと思うよ?」


 「・・・そうですね」


 「いろいろと誤解をうむですぅ」


 「・・・きゃ!?」


 スズは一瞬だけきょとんとすろとすぐに状況に気づいたのか少し顔を赤らめて手を離す。


 「・・・・・・男の子の裸を・・・/////」


 「おい。オレは裸になってねぇぞ」


 「それは些細なことだよ~」


 「些細にするな!!オレを変態にする気か!?」


 いつもの調子に戻ったみたいだ。

 まぁ、特に何も無くてよかった。


 「じゃ、本題に行こうか」


 「本題~?」


 「・・・お前の力だ」


 「力?」


 ボクはあのときに起こった事をできるだけ細かく話した。

 リュウが庇って、スズが暴走みたいなことになったことを。


 「・・・で、オレの怪我、そしてフィールドが修復された、と」


 「そうとしか表現できません」


 「あれは驚いたですぅ」


 「うん。それで、ボクは・・・あれは真言なんじゃないかって思ってる」


 「「「「はい?」」」」


 みんな疑問に思うのも仕方が無いだろう。

 『リバース』は魔法を消す魔法。

 そんなもので真言を使ったらそれに関係することが起きるはず。

 でも、今回はまったく関係が無い。別に解除された魔法も無ければ無効化した魔法も無い。


 「でも、今回のこれは確実にスズが起こしたものだ」


 「確かにそうかもしれませんが・・・」


 「・・・真言は決まっていない」


 「リュウ、さん?何を言ってるですぅ?」


 「真言はな、コレといって詠唱法や展開法、その他もろもろのことに決まりが無い」


 「は?それってどういうこと?」


 「・・・ソラ、お前が真言を始めて使ったとき、お前はそれが真言と知って・・・・・・使ったのか?」


 「・・・いや、全然知らなかった。ボクは・・・ただ、そのときみんなを守りたいって思って、頭に浮かんだことを実行したら・・・」


 ボクはあのときのことを思い出す。

 智也さんにみんなが倒されて・・・。そしてリュウ達が励ましてくれて・・・。全ての攻撃や魔法を薙ぎ払う力があればって思ったら・・・。≪月夜ツキヨ≫が構築できるようになった。


 「あ、わたしも同じだよ~」


 「そう、真言は本人のみが使える固有の究極魔法なんだよ」


 「・・・ゲームで言うそのキャラのみの必殺技?」


 「そんなトコだ。強い願いさえあれば真言は別に赤ん坊でも使おうとしたらできるものもいる。実際に世界でほんの数件だがそういった事象はある」


 ・・・そこで何でボクを見るのかな?

 聞きたくないけど!!

 聞いたらいろいろと変なレッテルを貼られそうだし!!


 「・・・真言を使う赤ん坊ですか・・・中々にシュールです」


 「あぁ。で、だ。真言と言えど、自分の属性に沿った力しか発言できない」


 「・・・まさか、真言を使えるのが少ない理由って、自分の強い思いとその属性でできる力・・・つまりは本質みたいなのが完全に一致してできるの?」


 「あぁ。それが一番有力な説だ。つまり、坂崎が真言を使えたのはオレを助けるっつー強い願い。それと『リバース』属性の本質を使ったんだ」


 「・・・難しいよ~」


 「・・・真言っつーのは簡単に言うとパズルのピースみたいなもんだ。坂崎は自分の思いっつーピースと属性のすっげー力っつーピースをうまくはめれたからパズルが完成して真言を使えるようになったんだよ」


 「おぉ~!?わたしすごい!?」


 「おぉ。すごいすごい」


 ・・・子供と親の会話に聞こえる。

 リュウがパパでスズが子供・・・ヤバ、何かめっちゃはまった!?


 「でも、何で他の人はできないの~?」


 リュウがこいつは話を聞いてたのか?って顔でスズを見る。


 「あぁ。だが、ピースの組み合わせが山のようにあって結構なやつはそれをはめられないことが多いんだよ」


 「へ~」


 「ま、戻すぞ。つまり、坂崎が真言を使えたってことは『リバース』の本質をこいつは無意識に使ったってことだ」


 「・・・で、本質がリュウの傷を治して、フィールドをも修復する、と」


 「明らかに治療系ではありえないですぅ」


 「・・・俺もそう思います。・・・鈴音さんの力はこう・・・もっと根源的な感じがした気がします。・・・法則を操るような」


 「そんな法則って・・・・・・・・・あ」


 「どうした?」


 ボクは唐突に思い出した。

 ルーミアさんに出会ったときに見せてもらった。属性の樹形図のような石版を。

 確か、スズの属性は・・・三魔源素スリーシンボルの星のマークのすぐ外側の円の中に・・・。

 そして、ルーミアさんは三魔源素スリーシンボルは魔法の根源とか言ってた気が・・・。


 「・・・ひょっとすると、スズの力はボク等が想像してるよりもやばいのかもしれない」


 「どういうことだ?」


 「わからないけど・・・」


 「むぅ~・・・考えてもしょうがないよ!」


 考えることに飽きたのかスズはベッドから起きて立ち上がる。


 「おい。大丈夫なのか?」


 「もちのろんだよ~。じゃ、リュウ君」


 「あ?」


 「リュウ君はわたしに借りができたよね?」


 「・・・まぁ、そうだな。状況からお前が怪我を治してくれたみたいだしな」


 「ふむふむ。じゃ、お願い聞いて!!」


 「・・・おい」


 ボクはリュウから視線を外す。

 双子ちゃんもだ。こういうのはさっさと出て行くに限る。


 「じゃぁ~・・・リュウ君はこれからわたしのことを『スズちゃん♡』って呼んでね~」


 「呼べるか!!何が楽しくてオレが女子を『スズちゃん♡』って呼ばなきゃいけねーんだよ!?」


 「だって~。冬香ちゃんもリカちゃんも名前なのにわたしだけ名字だよ~!?ずるいよ!」


 「知らねーよ!?最初からだろ!?今更だぞ!?」


 「いいじゃんいいじゃん!よきにはからえ~」


 「ワケがわからんわ!?」


 ボクはこの二人の不毛な口げんかを見て双子に言った。


 「なんだかんだでリュウが折れるほうに千円」


 「残念です。俺も千円です」


 「な~!?私もそっちに賭けようと思ったのにですぅ!!」


 賭けが成立しなかった。

 数十分後、リュウがスズにボクと同じように『スズ』って呼ぶことで決着がついた。

 なんだかんだでこの二人は仲がいいよね。



作 「と言うわけで『真言』をお送りしました!」

美 「ついにスズっちも真言を使えるようになったんだね☆」

作 「イエス!そして、謎の多いスズの属性の力の一端を見せました!」

美 「あり?スズっちは魔法の無効化じゃないの?」

作 「・・・っふ。甘いよ、お汁粉より甘い!!」

美 「作者は甘党の癖に」

作 「ぶっちゃけ、僕はひねくれてるからね!そんなメジャーなものにするわけが無い!」

美 「自覚あるならやめろとお便りをいただいております」

作 「ま、とにかく次回は今回の続き!」

美 「話にまとまりが無いネ☆」

作 「事態はどんどん加速!!さて、主人公達はどうなる!?」

美 「・・・なんでここに来たか忘れてる気がする」

作 「次回もよろしく!」

美 「読まないと(以下略)」

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