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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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11話・HARD GAME

―――side風葉

 「・・・だいひょ~。向こうは本気で掛かってきました。」


 「やっとか。・・・つか、お前のそれってもはや千里眼だよな?」


 「いやいや。アレは対象がどんなところにいても見れるけど、わたしの『照準サイト』は目の前のところしかムリ。簡単に言うと、千里眼は後ろのものも見れるけど、わたしは目の前にあるものオンリー。」


 まぁ、その代わり距離もわかって狙撃スナイプには向いてるけどね~と言いながらSがいるであろう方向を見る。


 「まぁ、そのうちここもバレるだろう。」


 「どうしますの?」


 「・・・オレッチは楽したい。」


 「くたばりなさいませ。」


 「・・・丁寧なのか言葉遣いが悪いのかよくわからない。」


 「とりあえず、半分のヤツ等は自分の装備のチェックだ。全員の準備ができ次第さっきの説明どおり攻める。そうだな・・・まずは銃器系の武器のヤツ等からだ。」


 とりあえず俺は夫婦漫才を始めた二人を完全に無視して全員に指示を出す。

 そして、各々が地面に座って、魔法工学の得意なやつを中心に武器のチェックを行う。魔法銃系は魔法回路にほんの少しの異常があれば何かしらの不具合が生じる。

 具体的には暴発に爆発、引き金を引いても魔法弾が射出されないとかだ。魔法を使って制御してるためか、かなりデリケートな代物だ。ソラの武器には刃がついていて接近戦も想定されたような形状だが機術士マシンナリーにしてみれば誰がこんなアホな武器を作ったと聞きたくなるようなものだ。だが、どういうわけかヤツの武器は一度も整備をしてるところを見たことが無い。・・・実はしてるのかもしれないが。


 「・・・本当にワケがわからん。」


 「それがソラ君だよ~。」


 坂崎が突然おれに言う。

 ・・・心でも読んだのか?


 「・・・・・・お前はその武器を見なくてもいいのか?」


 「コレはソラ君にしかできないよ~。」


 そういうと坂崎は自分の杖――『世界樹の杖ユグドラシル』を見せる。


 「・・・ホントにお前等は何者だ?」


 「う~ん・・・まぁ、少しいろいろなしゅらばをくぐって来た『まほーつかい』だよ~。」


 坂崎は満面の笑みでそういう。

 修羅場って何だ?

 ・・・まぁ、適当にはぐらかされたってコトは聞かないほうがいいんだろう。


 「そうか。」


 「そだよ~。」


 俺はなんとなく今だ漫才を続ける二人を見る。


 「そんなですから貴方は女性の方にモテないのではなくて!?」


 「う~ん・・・別にオレッチにはリオちゃんいるからいいや~。」


 「!?っな!?・・・そ!?・・・いい加減になさい!!」


 「えぐふぁふfぎやkj!?」


 そういうとリオネは自らの拳でレクトを地に沈めた。


 「・・・リオちゃん、味方の戦力減らしてどーするの?」


 「アスカさん!?貴女もいい加減にしてくれません!?」


 「そうだよ~リオちゃんって呼んでいいのはオレッチだけなんだし~。」


 「・・・無駄に回復が早いですわ。」


 ・・・・・・・・・なんというか・・・緊張感ないな・・・。

 俺は自分の武器を取り出してみる。

 俺が使うのはナイフだ。

 それもたくさんの。あちこちに隠し持ったたくさんのナイフを地面に出していくと十数本で構成された小さな山ができた。

 用途としては主に投げる。それと相手に切りかかる。以上。


 「すっごいたくさんだね~。」


 「あぁ。俺は風系統の魔法使いだからな。自然とスピード重視の戦い方になる。それに俺の家系は狩人でこういうヤツの扱いがそれなりにできる。」


 「へぇ~。」


 俺は周りを見る。

 ・・・ほとんどのヤツ等は整備を終えたようだ。

 俺は残りのヤツ等もチェックするようにいうと自分の整備をさっさと済ませる。

 ・・・・・・よし。武器以外も特に問題はない。

 そう確認すると俺は今だバカ騒ぎをしてるバカトリオに魔法を放つ。・・・いや、アスカはダメだ。・・・しょうがない。


 「おい。いい加減にしろ。つか、お前等は人形とかいいのか?」


 「ですから・・・はい?何か問題がありますの?」


 「いや、オレッチの見たところ特に何もないよ。リオちゃんの切り札も完璧。」


 ・・・こいつらまだ隠しだまを持ってるのか?


 「ならいい。準備できたか?」


 「おっけ。」


 「こっちも。」


 「あと少し。」


 ちらほらと報告の声が聞こえる。


 「・・・アスカ。向こうは?」


 「ん~・・・ダミーを破壊してるっぽいね。たぶん誰もわたしたちの位置を確認できなかったんだね。」


 「それでまずはダミー潰しからはじめたか・・・好都合だ。」


 向こうが魔力を消耗してくれるのならそれ程うれしい事はない。

 まぁ、それでも確実に俺たちより強い。こっちが全力を出しても相手はその魔法を数発は撃てる余裕があるだろう。


 「勝手に消耗してつぶれてくれるのが一番いいんだけどね。」


 「・・・杏奈、お前今までどこにいた?」


 こいつは俺達が合流してすぐにどこかに消えた。

 まぁ、敵はここから遥か遠くだから問題なないとは思ったが・・・。


 「ん?わたしはちょっとトモダチに頼んできた。」


 「・・・?まぁ、いい。お前も武器を何とかしろ。」


 こいつの言うことはたまによくわからなくなる。

 まぁ、大丈夫だったんだから問題はないか。


 「ん~・・・わたしの鈴だから整備とかないし・・・。」


 ・・・・・・お前の武器は俺と同じでナイフじゃないのか?つか、鈴ってそのナイフの柄尻についてるヤツか?

 こいつは魔法力はあるが何故か魔法を行使できないという珍しい人間だ。

 それでDに落とされた。俺達も大体のクラスメイトの属性は知っているがこいつだけはよくわからない。わかっているのは武器はナイフ。魔法使えない。運動神経が中の上。要するに何でここに入った?と疑いたくなる人間だ。

 他のやつら・・・リオネは人形師だし、レクトはその護衛兼機術士マシンナリー。アスカは魔法こそあまり使えるものが無いが狙撃手スナイパーとしての技量はかなりのものだ。忍も覚える魔法が極端だがおそらくDで最強だろう。

 ・・・何で俺が代表してるのかわからなくなってきた。


 「簡単ね。バカザハ以外の人の人間性が崩壊してるからね。」


 「・・・あ~・・・。」


 何だか納得できた気がする。そして、そこにはお前も含まれるな。

 俺がこの中でまだまともな存在だったのか・・・。


 「だいひょー。そろそろダミーが残り少なくなってきたからこっちの居場所がばれるかも。」


 「・・・わかった。全員武器と魔法を使えるようにしろ。」


 そういうと全員俺の指示に従って武器を構える。

 あるいは呪文の詠唱を始める。

 俺はそんなDの前で何か言わなくちゃいけない気がした。


 「・・・みんな、すまないな。こんな無謀なことにつき合わせて。」


 「「「・・・。」」」


 全員何も言わない。

 だが、俺は言葉を続ける。


 「確かにソラの野郎に煽られてやった部分もある。・・・だが、俺はあいつに煽られなくてもいつかはこんな無茶なことをしていたと思う。正直、ランクがDってだけでこんな扱いを受けるのがイヤだったからな。」


 俺は自分の心情を語っていく。

 周りが静か過ぎて耳が痛くなるような錯覚を覚えるほどだ。


 「だが、俺一人じゃここまではできなかった。・・・・・・だから――。」


 こんな俺に付き合ってくれてありがとう。

 そう言おうとした。


 「それは全部終わってから言うことだよ~。」


 「この人は・・・何を勝手に終わらせようとしていやがるのでしょうか?」


 「・・・リオちゃん。言葉遣い。」


 「やっぱ、代表バカだな!!」


 「まぁ、Dだし?」


 「・・・しょうがない。」


 「俺たちバカの集まり。」


 「アンタが一番バカだけど。」


 「・・・否定できねぇ。」


 口々にみんながそういう。

 そして、俺は肩をぽんぽんと叩かれる。

 振り返るとそこには杏奈。


 「アンタ以外にもそんなのここには山のようにいたの。そんなの今更。」


 そして、その可愛らしい顔で不適な笑みを浮かべて彼女は言う。


 「コレが終わったら打ち上げよ!!もちろん、祝賀会の!!」


 「「「おう!!」」」


 そういう顔は全員笑っていた。

 自分たちは負けの色が濃いにも関わらずだ。

 ここからするのは正面衝突以外にすることが無い。

 だが、俺達は笑っていた。理由なんてないんだと思う。ただ、この瞬間を大切にしたいと思ってるだけだろう。

 俺も、自然と笑みが浮かんだ。






 「あ、さっきの雄たけびで場所がバレたっぽい。」






 「「「・・・うそぉ!?」」」


 「あ、今度は進軍スピードが上がった。」


 「おい!?全員戦闘準備!!迎え撃て!!」


 「「「了解!!」」」



―――side空志

 「・・・なんて言うか・・・バカだね。」


 ボクは大きな声を上げてしまったがために見つかったDの方々に対してそう言う。

 ・・・ホントにバカだ。


 「・・・そんなストレートに言うなよ。」


 「でも、アタシもそう思う。」


 ボクは解説席でそういう。もちろん声は会場に届いてます。


 「でも、ボクさ、地味に副代表の杏奈さんの魔法がよくわかんないんだよね。」


 「え?そうなの?」


 「うん。まぁ、あえて言うなら・・・『友好』?」


 「・・・なんだそのジャ○プ的な属性は?」


 「さぁ?てか、こっちもジャ○プあるんだね。ボクはリ○ーンとかよく読む。」


 「どうでもいいから仕事しろよ。」


 「いやぁ、魔法が出てないからいいじゃん。」


 「・・・その魔法すら俺にほとんど説明させてただろう?」


 「まぁ、ボチボチ戦闘開始、かな?」


 ボクはロイの言葉を華麗にスルー。


 「でも、DがSと正面から当たって勝てるの?」


 「いや、さすがにムリでしょ。」


 ボクはリカの疑問を一刀両断する。


 「・・・だからお前のクラスのヤツなのにドライだな。」


 「ま、それだけの差があるんだよ。ボクも自分の内包魔力で≪雨雷アマイカズチ≫って魔法を使うとゼロになる。」


 「そうなのか?それ程スゴイ魔法か?」


 「いや、普通にただの上級下位の広範囲系雷属性魔法。」


 「・・・お前の内包魔力、カスだな。」


 「うん。だからあまり使わない。ボクが使うのはマナ。そゆこと。」


 ひょっとすると、それが『月』の属性の制約なのかもしれない。

 もし、何らかの方法で一定範囲内の魔力をなくすとかの方法があればボクはほんの少ししかない自分の魔力で何とかしなくちゃいけない。

 それに、マナの使いすぎでもボクは何故か寝て、その後は揺すろうが何をしようがまったく起きないらしい。

 まぁ、それを補って余りあるメリットがあるけどね。


 「ま、ボクのことより目の前の試合だよ。」


 「あ、Sの人間がDの人間見つけた。」


 「・・・やっぱ魔法の質が違うね。」


 ボク等は目の前で展開される集団魔法戦闘を見てそういう。

 簡単に言うと魔法では確実にこっちが劣ってる。

 ・・・後の要素はDが何をしようとしてるか、かな?



―――sideジグ

 ついにDの連中を見つけた。

 双方は互いを認識した途端に魔法を放つ。

 こっちは移動してたために詠唱をしてる時間はなかった。

 そして、向こうはやはりというかこっちの動きがわかっていたかのように魔法の準備や武器を構えていつでも戦えるような状況だった。

 だが、そんなものは些細なものでしかない。

 そして、俺はヤツを見つけた。

 俺はヤツに近づくと剣を振り下ろす。


 「おわ!?・・・コレはSの、代表さん・・・元気です、かっ!!」


 ヤツ――風葉とか言うDの代表はギリギリで俺に気づいて二振りのナイフで俺の剣、バタードソードを受け止める。不意打ちが効かなかったため、俺は距離をとる。

 普通なら間合いが長いほうが有利だがヤツはそれにもかかわらず簡単に受け止めた。おそらく、ナイフの扱いに相当長けているのだろう。


 「そういうDの代表も鬼ごっこはやめたのか?」


 「あぁ。今度は俺達が鬼だ!!」


 そういうとヤツは手に持ったナイフを投擲してきた。


 「―――ひれ伏せ!!

     ≪加重グラビ≫!!」


 俺は魔法で目の前の一時的にナイフへ重さを与え、地面に落とす。ナイフが落ちたところでドンと鈍い音が響いて少しだけ土煙が舞う。


 「な!?・・・重力操作系か!?」


 「まぁ、な!!」


 俺は今度は剣をヤツに振り下ろす。そこに魔力をこめて剣に重さを与える。

 ヤツはそれを察知したのか今度は魔法で自分の機動力を上げ、一気に後ろに飛ぶ。

 一瞬前までヤツがいたところが爆音のような音と共に土煙を巻き上げ、地面を割る。


 「おい!?さすがにそれは死ぬぞ!?」


 「・・・。」


 さすがにコレは俺も予想外だ。

 いつもはこんな威力じゃないんだがな。

 それにさっきも下級だが魔法の展開がいつもより速く感じる。

 ・・・何故だ?

 まぁ、そんなことより今はヤツを叩くことだな。


 「―――力よ、彼の者にその重圧を!!

     ≪重圧プレッシャー≫!!」


 そういうと俺はヤツの上の空気に・・・質量を加える。

 こうすると、相手は自分の体が重くなったように感じ、大抵はこれで動きを鈍らせると勝てる。普通なら、だ。

 だが、向こうには坂崎がいる。おそらく、ヤツはDの指揮官の近くで致命的な魔法をガードするためにどこかに隠れているだろう。


 「≪相殺殻アンチ・シェル≫!!」


 俺の魔法は思ったとおり、坂崎の六角形の盾のような魔法で無効化される。

 だが、コレが俺の狙いだ。


 「ランド!!今だ!!」


 俺の言葉に後ろから表れたランドの凶刃がDの代表を切り裂こうとする・・・。



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